政治思想史の古典『法の精神』と『社会契約論』を学ぶ
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
モンテスキュー「三権分立」の特徴は司法権の独立の主張
政治思想史の古典『法の精神』と『社会契約論』を学ぶ(2)権力分立の強調
川出良枝(東京大学名誉教授/放送大学教養学部教授)
モンテスキューの『法の精神』では、政治的自由の本質として、権力が他の権力を制限することを重視している。これを実際に達成したのは、名誉革命後のイギリスである。ロックなどが評価する合意による政府の運営よりも、権力の分立を捉えたという意味で、一風変わった解釈である。この権力分立の考え方は、アメリカ建国期の政治制度の成立に、大きな影響を与えた。(全11話中第2話)
時間:8分24秒
収録日:2020年8月17日
追加日:2020年9月26日
≪全文≫

●権力を制限することがモンテスキューにとっての政治的自由


 それでは、モンテスキュー『法の精神』についてお話ししたいと思います。

 『法の精神』は大部の著作ですので、今回はもっぱらその権力分立論に密接に関わる部分についてご紹介しようと思います。このモンテスキューの権力分立論を考える際に重要なのがイギリスです。モンテスキューはフランス人でしたが、隣国イギリスについて政治的自由が発見できる国と表現しています。

 これは大きなポイントです。このようにイギリスを称賛するにあたって、政治的自由に関して、モンテスキューは独自の解釈替えを行い、以下のように論じています。

 「多くの人は政治的自由とは、自ら為政者や政治家を選び、暴君を追放できる権能や、あるいはよりシンプルにいうならば、望むことすべてを実行する能力それ自体だと考えているが、それは誤りだ。より正確に述べるならば、為政者の選出や、暴君の追放の権能が国民の一部もしくは全体に属していたとしても、それだけで政治的自由が保たれるわけではない」

 このように、少し謎めいたことをいっています。

 そしてこのように切り返すのです。なぜなら、「およそ権力を有する人間がそれを濫用しがちなことは万代不易の経験である」からです。要するに、誰が掌握しようと権力は必然的に濫用されるという、強力なメッセージを放つわけです。

 また徳でさえ制限を必要とするとも主張しています。まさに国民の利益のことのみを考える有徳な政治家(一人ではなくて複数でもかまいませんが)を集めて、彼らに権力をゆだねて、思う存分統治してもらうという考え方もあると思います。徳治主義に似た考え方ですが、これもモンテスキューは否定しています。先ほど述べたように、「徳でさえ制限を必要とする」と主張するのです。

 モンテスキューにとって、政治的自由にとって本質的なのは、制度的に権力が権力を抑止するようにすることだというわけです。権力同士が抑止し合うような制度をつくり上げることがとても重要なのだということです。


●名誉革命後のイギリスに政治的自由を見いだした


 ではイギリスの話に戻りましょう。

 実は、このような政治的自由はイギリスで発見できるというのはモンテスキューの議論...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
イラン戦争とトランプ大統領の戦争指導(1)米軍式戦略リーダーシップによる評価
イラン戦争…トランプ大統領の戦争指導のどこが問題なのか?
東秀敏
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
トランプの誤謬…米国製造業を壊した犯人は米国の経営者
島田晴雄
独立と在野を支える中間団体(1)「中間団体」とは何か
なぜ中間団体が重要か…家族も企業も学校も自治会も政党も
片山杜秀
イラン戦争と終末論(1)イラン戦争の戦略的背景と米国の政策
なぜイラン戦争がこのタイミングなのか?戦略的背景に迫る
東秀敏
教養としての「人口減少問題と社会保障」(1)急速に人口減少する日本の現実
毎年100万人ずつ減少…急降下する日本の人口問題を考える
森田朗

人気の講義ランキングTOP10
老子の神髄(1)「絶対自由の境地」を求めて
『老子』が求める「絶対自由の境地」とは?…そして創造長寿へ
田口佳史
日本の財政の真実を検証する(1)膨らむ借金の知られざる実態
日本の財政の「真実」をデータで徹底検証…国際機関の分析は?
宮本弘曉
ギリシア神話の基本を知る(1)「ゼウス以前」の神々の戦い
ギリシア神話…ゼウスの「父親殺し」とオリュンポス十二神
鎌田東二
ラカンの精神分析~心の謎を解き明かす(4)欲望と欲求と欲動
ほしいものが、ほしいわ。…欲望の無限運動が資本主義の基盤
斎藤環
キケロ『老年について』を読む(1)キケロの評価と「老年の心構え」
幸福な老年への智恵をキケロに学ぶ…惨めな老年の4つの理由とは
本村凌二
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か(7)自分の人生のために
AI時代こそAIでなく「生きた学び」で自分の人生を膨らませる
橋爪大三郎
AI大格差~最新研究による仕事と給料の未来(1)最新研究から見えてくる未来像
AI大格差…なぜ日本の雇用環境では「ショックが大きい」のか?
宮本弘曉
日本神話の基本を知る~世界・人間・文化のはじまり
「国生み・国作り・国譲り・国治め」と「むすひ」の力
鎌田東二
地政学入門 歴史と理論編(1)地政学とは何か
地政学をわかりやすく解説…地政学の「3つの柱」とは?
小原雅博
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫