政治思想史の古典『法の精神』と『社会契約論』を学ぶ
この講義は登録不要で無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
次の動画も登録不要で無料視聴できます!
モンテスキュー「三権分立」の特徴は司法権の独立の主張
第2話へ進む
モンテスキューとルソー…二人の思想家の共通の敵とは?
政治思想史の古典『法の精神』と『社会契約論』を学ぶ(1)二人の思想家
川出良枝(東京大学名誉教授/放送大学教養学部教授)
18世紀フランスの最も重要な思想家は、モンテスキューとルソーである。この二人は、前者が自由主義思想を確立し、後者が民主主義思想を発展させた点や、経済に対する考え方などに関して相違点を持つが、専制に対する手厳しい批判者であった点で共通している。この二人の思想の比較を通じて、現代にまで影響を与える思想家の理論を深く理解していこう。(全11話中第1話)
時間:9分34秒
収録日:2020年8月17日
追加日:2020年9月19日
≪全文≫

●自由主義の思想家モンテスキューと民主主義の思想家ルソー


 皆さん、こんにちは。東京大学法学政治学研究科教授の川出良枝と申します。本日は、モンテスキューの『法の精神』とルソーの『社会契約論』についてお話ししたいと思います。

 この二人は18世紀フランスで活躍した思想家、あるいは作家です。皆さんご存じだと思いますが、モンテスキューの『法の精神』は、権力分立あるいは三権分立こそが政治的自由を確立するための鍵とする主張や、法律や社会や文化の多様性の強調、さらには奴隷制批判などが、重要な貢献として挙げられます。大雑把にいうと、モンテスキューは自由主義思想を確立した重要な人物です。

 他方、ジャン・ジャック・ルソーは、人民に主権が存在し、そのためすべての市民が政治に参加して法律を作るという政治制度を構築する必要があると、『社会契約論』の中で主張しました。ルソーは、まさに民主主義思想のチャンピオンといってもよいと思います。

 モンテスキューの『法の精神』は独立後のアメリカの憲法制定過程に大きな影響を与え、ルソーの『社会契約論』はフランス革命に大きな影響を与えました。この二つの著作は、歴史の大きなうねりの中に重要な足跡を残したという意味でも、非常に重要な作品であるといえます。ここではモンテスキューを自由主義の思想家、そしてルソーを民主主義の思想家として大括りにまとめましたが、さらにこの二人を比較してみたいと思います。


●モンテスキューとルソーはどんな人物だったのか


 まず、モンテスキューは、写真にあるラ・ブレード城というお城の持ち主でした。彼はボルドー(フランス南西部の都市)出身の貴族で、あまり熱心ではありませんでしたが法律家でした。ラ・ブレード城はボルドーのお城ということで、連想された方もいらっしゃるかもしれませんが、それは正解です。ボルドーにあるシャトー(城)ということで、モンテスキューもワインの醸造家として有名です。そして、ワインの輸出にも非常に熱心だったという側面があります。

 モンテスキューに関して、非常に重要なポイントとしてご紹介したいのは、1728年から3年間という長期にわたってヨーロッパを旅行したという事実です。オーストリアやイタリア、ドイツを回り、中でも1年半...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
プーチンのロシア―その思想と戦略―(1)プーチン政治の特徴
ロシア皇帝のように悪者を叱る人…プーチンの思想と歴史観
山添博史
躍進するインドIT産業の可能性と課題(1)下請けから世界の中心へ
インドが世界有数のIT産業の拠点へと発展した理由
島田晴雄
本当によくわかる経済学史(1)経済学史の概観
経済学史の基礎知識…大きな流れをいかに理解すべきか
柿埜真吾
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(1)ポピュリズムの台頭と社会の分断化
デモクラシーは大丈夫か…ポピュリズムの「反多元性」問題
齋藤純一
戦略的資本主義と日本~アメリカの復活に学ぶ5つの提言
戦略的資本主義とは?日本再生へアメリカに学ぶ5つの提言
片瀬裕文
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
トランプの誤謬…米国製造業を壊した犯人は米国の経営者
島田晴雄

人気の講義ランキングTOP10
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(9)ライトノベルへの影響と物語の重要性
現代のライトノベルやゲームにもオデュッセイアの影響…神話は「創作活動」の重要な根源
松村一男
「満洲」から考える日本とアジア(4)蒙古襲来と清朝建国
実は元寇はモンゴル人ではなかった?満洲をめぐる民族興亡史と「漢族」との関係…蒙古襲来から清朝建国まで
宮脇淳子
テロメアから考える「アンチエイジング」(1)老化とテロメアの関係
テロメアの長さが「がんリスク」と「老化」のカギを握る
堀江重郎
ピアノでたどる西洋音楽史(1)ヴィヴァルディとバッハ
クラシック音楽の歴史をピアノ演奏で辿る~ヴィヴァルディ四季
野本由紀夫
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
おもしろき『法華経』の世界(1)法華経はSFだ!
法華経はSFだ!…心を元気にしてくれる法華経入門
鎌田東二
イノベーションの本質を考える(3)イノベーション事例
カシオのデジカメが起こしたイノベーション
楠木建
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(1)神とは何か、そして天皇とは?
日本と世界の「神と信仰」の違いは?…そして天皇の大切な役割
橋爪大三郎
数学と音楽の不思議な関係(1)だれもがみんな数学者で音楽家
世界は音楽と数学であふれている…歴史が物語る密接な関係
中島さち子
ショパンの音楽とポーランド(1)ショパンの生涯
ショパン…ピアノのことを知り尽くした作曲家の波乱の人生
江崎昌子