ゴーン改革の反省とグローバル経営の教訓
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
ゴーン事件の核心とそのときの日産内部の状況とは?
ゴーン改革の反省とグローバル経営の教訓(7)ゴーン事件
西川廣人(株式会社西川事務所代表/日産自動車株式会社 元代表執行役社長兼CEO)
グローバル・リーダーには、強さとともにエンパシーが求められる。ルノーからやってきたゴーン・チームのなかでも、最後まで残った人間とは、そのような人々だった。日本人経営リーダー層のなかからも、そのような資質のある人材が育ちつつあった。しかし、そのようななかで、ゴーン事件が起きる。その前後、日産社内では多様な不安や不満が渦巻いていたのも事実である。はたして日産内部で何が起きていたのか。日産の人々の想いとは、どのようなものだったのか。(全9話中第7話)
※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツTV論説主幹)
時間:11分48秒
収録日:2020年11月10日
追加日:2021年6月14日
≪全文≫

●「強さとエンパシーを兼ね備えたリーダー」しか残れない


西川 日本人のトップ層にも、リーダーとしての強さとエンパシーの両方を兼ね備えた人間が必要だと思います。ある状態を見れば、そういう人間が揃っている。たとえば日産ぐらいの規模でいうと、10人ぐらいそういう人がいる。その10人の予備軍がまた20人ぐらいいるという状態だと、かなり強いと思います。そういう状況をつくり出していくことが一番大事なのかと思うのです。

 そこから見ると、いわゆる日本人以外のマネージャーのなかで、エンパシーを持った人がちゃんと来てくれるかというと、これはなかなか難しい。初期のゴーン・チームとして、そう大勢ではありませんが、ルノーから人が来ました。彼らはいろいろなレベルで仕事をしていったのですが、そのなかで専門性とリーダーとしての強さに加えてエンパシーがない人たちは、なかなか最後まで日産のなかに定着しなかったです。

 逆にいうと2005年以降の後半は、そのために淘汰されていった。ルノーから来た人のなかでもピカイチのリーダーのクラス、リーダーとしての資質もあるし、かつエンパシーもある人が残った。そういう人たちがいるから安定したということです。

 そういう経緯で、日本人のなかで同様のリーダー層が出てくるのはちょっと遅れたのですが、今、それが来ていると思いますね。私たちの下の世代のボリュームはあまり多くないですが、そのなかで、社長を含めた今のリーダーの世代たちは、そういうかたちで育ってきた人間として、今引き継いでやっているわけです。それがだんだん40代、30代と若くなるにつれ、今言われたようなフォーメーションを取りやすくなっているということかと思います。


●ゴーン事件の「不正」と「マネジメントの行き詰まり」


西川 そういう状態のなかで、なぜゴーン氏自身がああいう不正を働いたか。少なくとも一部、刑事事件に発展するような不正があったことは間違いないですね。ですから、これはこれで正さなくてはいけないし、その部分に関しては会社としてガバナンスのあり方や監視システムを変えなくてはいけない。私はその通りだと思います。それはやらなくてはいけません。

 一方で、それとは違う異質な問題として、マネジメントとしての難しさや行き詰まりなどが、後半戦にはあったと思います。これは、先ほど言った前半戦のよさと後半戦の問題...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「経営ビジネス」でまず見るべき講義シリーズ
東洋の叡智に学ぶ経営の真髄(1)経営とは何かをひと言で?
経営をひと言で?…松下幸之助曰く「2つじゃいけないか」
田口佳史
キャリア転換で人生を成功させる方法(1)2つの大きな潮流
なぜ40歳でキャリアについて一度考え直す必要があるのか
為末大
野獣の経営、家畜の経営(1)経営センスが育つ土壌
ファーストリテイリングで経営者が育つ理由
楠木建
本質から考えるコンプライアンスと内部統制(1)「法令遵守」でリスクは管理できない
「コンプライアンス=法令遵守」ではない…実例が示す本質
國廣正
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
ハラスメント防止に向けた風土づくり(1)ハラスメントの概要
増え続けるハラスメント…その背景としての職場の特徴
青島未佳

人気の講義ランキングTOP10
インテリジェンス・ヒストリー入門(1)情報収集と行動
日本の外交には「インテリジェンス」が足りない
中西輝政
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(序)時代考証が語る『豊臣兄弟!』の魅力
2026年大河ドラマ『豊臣兄弟!』、秀吉と秀長の実像に迫る
黒田基樹
平和の追求~哲学者たちの構想(4)ルソーが考える平和と自由
ルソーの「コスモポリタニズム批判」…分権的連邦国家構想
川出良枝
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(4)葛飾応為の芸術と人生
親娘で進歩させた芸術…葛飾応為の絵の特徴と北斎との比較
堀口茉純
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(2)バイアスの正体と情報の抑制
『100万回死んだねこ』って…!?記憶の限界とバイアスの役割
今井むつみ
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
熟睡できる環境・習慣とは(4)起きているときを充実させるために
夜まとめて寝なくてもいい!?「分割睡眠」という方法とは
西野精治
編集部ラジオ2025(31)絵で語る葛飾北斎と応為
葛飾北斎と応為の見事な「画狂人生」を絵と解説で辿る
テンミニッツ・アカデミー編集部
死と宗教~教養としての「死の講義」(1)「自分が死ぬ」ということ
世界の宗教は死をどう考えるか…科学では死はわからない
橋爪大三郎
「進化」への誤解…本当は何か?(1)進化の意味と生物学としての歴史
実は生物の「進化」とは「物事が良くなる」ことではない
長谷川眞理子