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「眠育」のすすめ~睡眠不足は子どもの脳の発達にも悪影響

「最高の睡眠」へ~知っておくべき睡眠常識(6)子どものための睡眠

西野精治
スタンフォード大学医学部精神科教授
概要・テキスト
子どもにも睡眠負債は広がっている。睡眠時間は60年前と比べて1時間減り、就眠時間も遅くなっている。子どもの睡眠不足は自覚されにくく、ADHD(注意欠陥多動性障害)と診断されることも多く、不登校との関係も高い。成長期の睡眠は脳の発達に関わる可能性も非常に高い。親と地域による、より注意深い教育が必要であろう。(全7話中第6話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:08:45
収録日:2021/06/23
追加日:2021/11/18
カテゴリー:
≪全文≫

●睡眠不足の子どもは別の病気と間違われやすい


―― 続きまして「子どものための睡眠」ということでお話をお聴きしたいと思います。子どもの成長や学力、基本的な生活習慣など、いろいろな課題として感じられる方も多いかと思います。そのために睡眠というのは、どうあるべきでしょうか。

西野 大人の睡眠時間が世界でも一番短い。また、1960年頃からは1時間ぐらい短くなっている。その理由は夜寝る時間の変化です。夜10時前に寝る人が1960年代には65パーセントぐらいいましたが、最近では2割ぐらいでしょうか。

 子どもも同じような傾向があります。やはり1時間ぐらい短くなっているし、夜寝る時間が子どもでも10時や11時になっている。朝起きる時間は遅くなっているのだけれども、夜寝る時間が遅くなるのに追いつかないのです。週末はさらにその傾向があって、土日に40分から1時間長く寝るのが普通で、それは睡眠負債の兆候なのでよくないということです。

 子どももやはり睡眠負債がたまっている。大人の場合であると、「昨日の夜は寝られなかった」とか「眠たい」とか言うのですが、子どもの場合は割とそういうことを言わない傾向があります。どういうことになるかというと、イライラする、キレる、集中力がない、というようなことで、ADHD(注意欠陥多動性障害)のような症状が出てくるのです。

 ところが、子どもでも睡眠不足が30~35パーセントぐらいいるし、ナルコレプシーという過眠症だったりもする。ナルコレプシーは最初は分からないのです。落ち着きがない、イライラするということでADHDの診断を受けたけれども、実は睡眠障害だったというようなことがあります。

 子どもたちの生活習慣病として糖尿病もありますし、夜型になる影響として不登校が増えます。学校へ行っても、午前中はほとんど寝ている。家に帰ってくる頃になると元気になっているから、親もなかなか分からなかったりする。それが高じると、学校にも行けないようなことになる。こういったことが問題として認識されています。

 子どもの睡眠負債が一番少ない3歳児の場合だったら、昼寝もするので、それを合わせても、長い子と比べると1時間ぐらい少ないということです。


●睡眠は子どもの脳の発達「可塑性」にも大きく影響する


西野 子どもの睡眠は大人以上に大切で、脳の発達に関わっている可能性が非常に高いのです。

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