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健康経営実現の鍵となる「ワーク・エンゲイジメント」とは

健康経営ブランディングのすすめ(4)健康経営ブランディングの仕組み

阿久津聡
一橋大学大学院経営管理研究科国際企業戦略専攻教授/DBAプログラムディレクター
概要・テキスト
企業ブランディングの枠組みの中で健康経営をどう推進できるか。そこで今回は「健康経営ブランディング」について考えていく。鍵になるのが「ワーク・エンゲイジメント」という概念である。それは、仕事への活力・熱意・没頭が向上し、「バーンアウト」といわれる、ストレスが恒常的にある状態が緩和されることを指し、それによって健康増進、生産性・パフォーマンス向上などにつながるという。ではその中身はどのようなものなのか。(2021年7月29日開催日本ビジネス協会JBCインタラクティブセミナー<リモート講演>「健康経営を企業ブランディングの枠組みで実践する」より、全5話中第4話)
時間:07:05
収録日:2021/07/29
追加日:2021/12/01
タグ:
≪全文≫

●企業ブランディングの枠組みで健康経営を推進する


 では、そうした(企業ブランディングの)枠組みの中で健康経営をどう推進できるかですが、それを考えるのが「健康経営ブランディング」という概念です。

 そこで前回お伝えした発想を展開していくのですが、スライドをご覧いただくとお分かりの通り、企業ブランドの理念(メッセージ)が三角形の頂点にあります。左下が企業の文化・能力(社内の組織の中のアイデンティティ)で、右下が外部の評価です。

 ただ、健康経営は個々の従業員が健康になっていかなければいけないので、組織レベルで見ていくだけでは足りず、ミクロの個人までしっかりと見ていかなければいけません。ここで、スライド内のグレーの枠で囲った部分(左が仕事の資源、右が個人の資源)にインタラクションがあります。

 組織の中にいる個人は、仕事の中、つまり職場での資源です。それが企業の文化・能力であり、上司の価値観や上司の個人特性、内発的な動機付け、リーダーシップといったものも組織の資源になります。また、企業のブランド理念自体が個人の資源にプラスになっていきます。特に個人の価値観が会社の理念に共鳴している場合には、それが個人の心理的な資源になり、個人の健康にプラスになっていきます。つまり、企業ブランド理念への共感と共鳴自体が動機付けにつながり、さらに健康にもつながっていくのです。

 それがどういう形で具体的にできるのかですが、そのときに「ワーク・エンゲイジメント」という概念が入ってきます。仕事そのものに対して活力・熱意・没頭が向上して、「バーンアウト」といわれる、ストレスが恒常的にある状態が緩和されます。これが健康増進、病気予防、そして生産性・パフォーマンス向上につながります。それから組織としては、理念に基づいた行動を従業員がしてくれて、アブセンティーイズムやプレゼンティーイズムが低下します。


●経営理念とワーク・エンゲイジメントには相互的な関係性がある


 今の話で、ワーク・エンゲイジメントというコンセプトを初めて聞いた方もいると思います。これは背後に、非常にしっかりした学術的な研究があります。ここで全てお話しすることはできないのですが...
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