生き続ける松下幸之助の経営観
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
松下幸之助は、お客様の側に立って考えた
生き続ける松下幸之助の経営観(5)常にお客様の側に立つ
江口克彦(株式会社江口オフィス代表取締役社長 /元参議院議員/PHP総合研究所元社長)
松下幸之助は常にお客様の側に立つ経営者であった―株式会社江口オフィス代表取締役社長の江口克彦氏はそう語る。松下幸之助は、社員が持ってきた試作品の価格を設定する際に考えるのは、お客様ならいくらで買ってくれるかということだった。(2018年5月31日開催日本ビジネス協会JBCインタラクティブセミナー講演「生き続ける松下幸之助の経営観」より、全12話中第5話)
時間:10分23秒
収録日:2018年5月31日
追加日:2018年10月17日
≪全文≫

●試作品を入念に確認する松下幸之助


 今回は、松下幸之助さんが従業員に対してだけではなく、お客様の側にも立っていた、というお話をします。

 私が松下幸之助さんのそばで仕事をするようになって5年ほどたった時に、テレビ事業部の担当重役とその技術者たちが、テレビの試作品を持ってきました。松下幸之助さんは、部下が持ってきた試作品や製品に対して、非常に面白い所作をする人で、小さな製品でしたら、必ず両手で持って触りながら話を聞きます。例えば、「これはこういう新しい製品です」と技術者が話すと、松下さんは、「いいものができたし、形もいい」などと言いながら、技術者が昼夜兼行で作った試作品を、両手で触ってみます。

 テレビの試作品だと、わざわざ立ち上がっていって、一通りの説明を聞いた後に、子どもをなでるようにテレビを手で触ります。手で触って裏側も見て、これでいいのではないかと確かめます。当時はテレビにリモコンがなく、ダイヤル式のチャンネルだったので、それをガチャガチャと回して変えて見て、「これもなかなかいいじゃないか」というようなことを言います。それを私もそばで見ていて、今までにない格好いい製品ができたと思っていました。

 そうやって松下幸之助さんが「いいじゃないか」と言うと、テレビの担当役員もテレビ事業部の事業部長も技術屋も、皆ニコニコになります。松下電器の世界では、松下幸之助さんはいわば天皇のような存在ですから、松下幸之助さんに製品がいいと言われたら、うれしく思うのは当然だと思います。


●松下幸之助はお客様の側に立って考える


 さて、試作品をいいものだと言った後、松下幸之助さんは何を言ったかというと、突然、これをいくらの定価で売ろうと思っているのかと尋ねました。すると担当役員は、間髪入れずに「18万円で十分に売れると思います」と答えました。すると、松下幸之助さんは一呼吸置いて、「18万円か」と言ったところで、女性社員がお茶を運ぶために部屋に入って来ました。松下幸之助さんは、その女性社員がお茶を運び終えて部屋を出ようとした時、呼び止めて、「このテレビの試作品をどう思うか」を聞きました。

 周囲に技術屋も担当役員も担当事業部長もいるわけですから、その女性社員にしてみても「いいと思います」としか言えません。そういうわけで、繰り返し、「いいと思います」と言うわけです。す...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「経営ビジネス」でまず見るべき講義シリーズ
本質から考えるコンプライアンスと内部統制(1)「法令遵守」でリスクは管理できない
「コンプライアンス=法令遵守」ではない…実例が示す本質
國廣正
オリエント 東西の戦略史と現代経営論に学ぶ(1)ビジネスのヒントは歴史にあり
『失敗の本質』、中国古典…ビジネスのヒントを歴史に学ぶ
三谷宏治
会社人生「50代の壁」(1)“9の坂”とまさかの坂
サラリーマン人生「50代の壁」を乗り越える生き方
江上剛
東洋の叡智に学ぶ経営の真髄(1)経営とは何かをひと言で?
経営をひと言で?…松下幸之助曰く「2つじゃいけないか」
田口佳史
マザーテレサとの出会い
人生を変えたマザーテレサの言葉…あの人たちはキリストだ
上甲晃
野獣の経営、家畜の経営(1)経営センスが育つ土壌
ファーストリテイリングで経営者が育つ理由
楠木建

人気の講義ランキングTOP10
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
プロジェクトマネジメントの基本(1)国際標準とプロジェクトの定義
プロジェクトマネジメントとは?国際標準から考える特性
大塚有希子
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
内側から見たアメリカと日本(7)ジャパン・アズ・ナンバーワンの弊害
ジャパン・アズ・ナンバーワンで満足!?学ばない日本の弊害
島田晴雄
歴史の探り方、活かし方(7)史料の真贋を見極めるために
質疑編…司馬遼太郎の「史料読解」をどう評価する?
中村彰彦
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(1)内戦と組織動乱の構造
カーク暗殺事件、戦争省、ユダヤ問題…米国内戦構造が逆転
東秀敏
ChatGPT~AIと人間の未来(1)ChatGPTは何ができて、何ができないか
ChatGPTは考えてない?…「AIの回答」の本質とは
西垣通
熟睡できる環境・習慣とは(2)酒、コーヒー、ブルーライトは悪者か
ブルーライトは悪者か?近年分かった「第3の眼」との関係
西野精治