「武士の誕生」の真実
この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
律令国家から王朝国家へ、採用された「請負」システムとは
「武士の誕生」の真実(4)2つの軍事的緊張と軍事の請負
関幸彦(歴史学者/元日本大学文理学部史学科教授)
「兵(つわもの)」の登場を考える際にポイントとなるのが、当時の日本の対外問題である。アジアに位置する日本は、北と南の辺境地域における軍事的課題を抱えていた。そうした対外的な緊張に対応するため、始まったのが軍事の「請負」である。当時の日本の対外関係から、兵が要請されていく背景について考える。(全8話中第4話)
時間:11分10秒
収録日:2021年10月22日
追加日:2022年1月5日
≪全文≫

●北と南の辺境地域における軍事的緊張


 「将門の乱」では、将門は「兵(つわもの)」と呼ばれました。「将門の乱」については、「将門の乱」の道筋を追った『将門記(しょうもんき)』という有名な軍記作品があります。また、院政期に登場した仏教説話集である『今昔物語』でも、「将門の乱」や「純友の乱」について、いろいろと記しています。

 そういう作品の中で、将門のことを「武士」と呼んでいる資料はありません。資料に登場するときには、いずれもみんな「兵」と呼んでいました。最初に少しお話ししたように、兵は「うつわもの」からきています。つまり武器、武具を自由に操り駆使する存在を「兵」と呼ぶとすると、兵はそもそもどういう要請の中で登場したのかという問題に立ち至ります。

 その際に少し考えておかなくてはいけないことがあります。日本は東アジアの一環に位置していることを以前に申し上げましたが、日本には対外的な緊張がいくつかありました。その状況の中で、古代の国家に軍事的に大きな課題としてあったのが、ご承知のように8世紀の段階から9世紀にかけて行われた「蝦夷(えみし)戦争」です。坂上田村麻呂や文室綿麻呂という人たちによって蝦夷の制圧、いわば「征戦」が成されました。

 一方では、日本は東西に、また南北に弓なりの列島なので、その意味では大陸との関係に最も近い九州、北九州、壱岐対馬を含めた地域もまた海防という軍事的な緊張の問題があります。日本を取り巻く北と南の状況として、北は蝦夷との問題、南は新羅(朝鮮)との対抗問題がありました。われわれはどうしてもそのあたりのことを忘れがちですが、そういう軍事的な課題を古代以来ずっと担っていたことをまずは頭の中に入れておく必要があります。それは、兵の登場という問題と対を成す課題でもあったのです。


●2つの軍事的緊張の解消が10世紀の王朝国家の課題


 10世紀の初頭に醍醐天皇という第60代の天皇がいました。醍醐天皇の政治的諮問に応えたのが、ちょうど菅原道真と同じように、学者の家の一族で文人貴族だった三善清行です。この人物が「意見封事十二箇条」という意見書を出します。天皇が、どうすれば日本国の中央政治は良くなるのかと諮問し、その内容に対して提案していきます。

 その提案書の中で10世紀初頭の日本国が抱えている最大の課...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
「武士の誕生」の真実(1)10世紀の東アジア情勢と「王朝国家」
武士は「お手本がない時代」だからこそ生まれた…武士誕生の真実と大唐帝国の解体
関幸彦
中国史概説~『皇帝たちの中国』を読む(1)なぜ「中国史はつまらない」のか?
驚きの中国史~「中国史はつまらない」という通説の裏の波乱の真実
宮脇淳子
「三国志」の世界とその魅力(1)二つの三国志
三国志の舞台、三国時代はいつの・どんな時代だったのか?
渡邉義浩
古代中国の「日常史」(1)日常史研究とは何か
『古代中国の24時間』英雄だけでなく無名の民に注目!
柿沼陽平
インテリジェンス・ヒストリー入門(1)情報収集と行動
日本の外交には「インテリジェンス」が足りない
中西輝政
オスマン帝国とは何か~その繁栄と共生の秘密~
オスマン帝国とは何か?その繁栄の理由
山内昌之

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(37)長谷川眞理子先生の公開収録!
【アンケート&公開収録】長谷川眞理子先生:男と女でどう違う?能力の高め方
テンミニッツ・アカデミー編集部
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(2)翻訳に込めた日米の架け橋への夢
アメリカ人の心を震わせた20歳の日系二世・三上弘文の翻訳
門田隆将
ロシア人の見る「ロシアの歴史」(2)タタールのくびきと「第三のローマ」
なぜロシアが「第三のローマ」なのか?…東ローマ帝国とモンゴル帝国の根深い影響を探る
上月豊久
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(1)老年病科と高齢者の疾患・病態の特徴
頻尿、低栄養、転倒、誤嚥、フレイル…増える老年症候群と高齢者の疾患・病態の特徴
小川純人
『「甘え」の構造』と現代日本(1)「甘え」のインパクト
「甘え」は現代においてダメなものなのか…名著『「甘え」の構造』への2種類の誤解とは?
與那覇潤
「満洲」から考える日本とアジア(1)「満洲」を知る意義とは
「満洲史」はなぜ現代日本でタブー視されるのか?…王道楽土の夢とアヘンなどの裏面から見えてくる現代への教訓
宮脇淳子
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
江戸とローマ~日本酒とワイン(2)ローマの酒文化とファストフード
ポンペイのファストフード店、遺跡が物語るローマの酒文化
本村凌二
近現代史に学ぶ、日本の成功・失敗の本質(6)東條内閣で行われた行政改革
悲惨な末路につながった東條英機内閣での兼職と省庁再編
片山杜秀