「武士の誕生」の真実
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
「平将門の乱」でなぜ負けたか…私営田領主と在地領主
「武士の誕生」の真実(3)2つの領主制と「平将門の乱」
関幸彦(歴史学者/元日本大学文理学部史学科教授)
兵(つわもの)と武士を分ける最大の違いは地域との関わり方にある。「私営田領主」と呼ばれる兵は、領地を広く浅く支配する一方で、「在地領主」と呼ばれる武士は、その地域に土着し、狭く深い関係を築く。この2つの領主制の違いに「平将門の乱」敗北の原因があった。将門はなぜ負けてしまったのか。(全8話中第3話)
時間:7分38秒
収録日:2021年10月22日
追加日:2021年12月29日
≪全文≫

●平将門はなぜ負けてしまったのか


 先ほど「兵」と「武士」の違いについて話をしました。兵段階は「源平藤橘」である一方で、住人化し、土着化し、名字を名乗る段階が「武士」であるという言い方をしました。

 当然ながら戦士としての側面は、兵と武士の両様が持っています。そして、領主という側面は両様が持ちつつも、兵段階の領主は「私営田領主」と呼ばれて、武士の段階の領主は「在地領主」と呼ばれます。2つの領主制の最大の違いは、薄く広いのか、あるいは狭く深いのかです。当然、薄く広くの場合の軍事力の動員力(量)と、狭く深い場合の軍事力の動員力(量)は違います。それはある意味では、量から質への転換ともいい換えることができます。

 例えば、10世紀の「平将門の乱」を事例にした場合、将門はご承知のように10世紀前半の939年に坂東で反乱を起こし、間もなく公権に反乱を起こしたかどによって追討軍が組織され、結果的には敗れ去ってしまいます。敗れ去った最大のポイントは、兵隊・兵士の動員力の差が大きかったことです。

 将門が勝利を収めたときは、私営田領主と呼ばれています。私営田領主が兵の段階である以上、広域的に支配している領域から大量の農民の兵力を動員します。

 しかし、農民は年中戦っているわけではなくて、主に農閑期に戦います。農閑期に戦いに集められた人間たちは、農繁期になると結局全て返さなければなりません。動員できる武力はある程度広いのですが、実質上将門のために死命を投げ売ってまでしっかりした主従制で戦う人間たちはそんなに多くありませんでした。将門が不利な状況になっていったりすればなおさらです。そんなこともあって、将門の乱においては動員する兵力、武力の差が影響して、将門は敗北を喫してしまいます。

 このあたりの部分は、将門の乱についての年表をある程度見ていただきながら考えていただくと分かりやすいと思います。

 いずれにしても、(平)将門や(藤原)純友など10世紀に登場する兵たちは、平や藤原と呼ばれるように、まだまだ地名を自分の名字に冠する段階ではありませんでした。それだけ地域との関わりが深くなかったことの証明でもあります。


●どのように兵から武士へと変わっていったのか


 そういう状況の中で、次第に兵...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
最初の日本列島人~3万年前の航海(1)日本への移住 3つのルート
最初の日本列島人はいつ、どうやって日本に渡ってきたのか
海部陽介
天下人・織田信長の実像に迫る(1)戦国時代の日本のすがた
近年の研究で変わってきた織田信長の実像
柴裕之
歌舞伎はスゴイ(1)市川團十郎の何がスゴイか(前編)
市川團十郎の歴史…圧倒的才能の初代から六代目までの奮闘
堀口茉純
「三国志」の世界とその魅力(1)二つの三国志
三国志の舞台、三国時代はいつの・どんな時代だったのか?
渡邉義浩
本当のことがわかる昭和史《1》誰が東アジアに戦乱を呼び込んだのか(1)「客観的かつ科学的な歴史」という偽り
半藤一利氏のベストセラー『昭和史』が持つ危険な面とは?
渡部昇一
戦国武将の経済学(1)織田信長の経済政策
織田信長の経済政策…楽市楽座だけではない資金源とは?
小和田哲男

人気の講義ランキングTOP10
これからの社会・経済の構造変化(1)民主主義と意思決定スピード
フラット化…日本のヒエラルキーや無謬性の原則は遅すぎる
柳川範之
編集部ラジオ2026(2)「時代の大転換期の選挙」特集を解説!
「大転換期の選挙」の前に見ておきたい名講義を一挙紹介
テンミニッツ・アカデミー編集部
プロジェクトマネジメントの基本(8)要求の分類と価値の提供
新規顧客を増やす作戦と顧客リレーションを高める方法
大塚有希子
衰退途上国ニッポン~その急所と勝機(1)安いニッポンと急性インフレ
世界で一人負け…「安い国」日本と急性インフレの現実
宮本弘曉
ポスト国連と憲法9条・安保(1)国連の構造的問題
核保有する国連常任理事国は、むしろ安心して戦争できる
橋爪大三郎
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIは間違いが分からない…思考で大事なのは訂正可能性
中島隆博
「進化」への誤解…本当は何か?(9)AI時代の人間と科学の関係
科学は嫌われる!? なぜ「物語」のほうが重要視されるのか
長谷川眞理子
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――自分にあった「理想的睡眠」の見つけ方
西野精治
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(9)秀吉が作った公武統一政権と歴史のif
公武統一政権を作った秀吉の狙いとその歴史的意味
黒田基樹
会計検査から見えてくる日本政治の実態(3)戦後初となる補正予算の検査
繰越金が4割も…戦後初「補正予算の会計検査」の実態
田中弥生