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メタバース空間とはどんなものか、アバター対談で体感する

ゼロからわかるメタバース(6)アバター対談〈上〉

廣瀬通孝
東京大学名誉教授/東京大学先端科学技術研究センター サービスVRプロジェクトリーダー
概要・テキスト
アバターという新しい身体によって、人の心や感覚はどのように変わるのか。また、合成された世界だからこそ可能な建築物は、歴史解釈をも拡張していくのだろうか。今回から2回にわたり仮想空間内での「アバター対談」をお届けする。(全7話中第6話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:12:36
収録日:2022/03/10
追加日:2022/11/02
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≪全文≫

●通勤やオフィス賃貸の意味合いが問われる


―― 廣瀬先生、今回のシリーズ講義、まことにありがとうございました。

廣瀬 どうもお粗末さまでした。

―― ちょうど今ヘッドセットをつけて、まさにメタバースの空間の中にいるところです。ヘッドセットをつけているので、自分たちが実際どちらをどう向いているのかが分からないのですが、この空間の中で先生と今、コロナ禍ではあり得なそうな距離で向き合っているということになりますね。

廣瀬 リアルワールドでは絶対不可能な距離で向かい合っていますよね。

―― そうですね、非常に面白いというか。

廣瀬 久々というか(笑)。

―― こういう空間感覚は、先生が講義でおっしゃっていたように、ZoomやTeamsのようなTV電話(会議)とは全然違う感覚ですね。

廣瀬 距離感覚というのは、割と大事ですよね。

―― そうですね。実際これを体験してみると、先生が話された「空間における身体性」のようなものが、非常によく分かる感じがあります。

廣瀬 そうですね。

―― 先生の講義の中で非常に印象深かったのは、メタバースが盛んに行われる時代になると、既存の産業を含めてある種の覚悟が必要だというお話です。こういう空間や感覚が普通になってくると、例えば、(通勤のため)誰もが電車に毎日乗るのかどうかを含めて、きっと変わってきますね。

廣瀬 おっしゃる通りです。通勤という概念自体が変わりますね。今、私はテーブルを境にして向かい合っています。こういう状態になると、この電子空間自体がオフィスになるわけです。「ではこのオフィスでいいのではないか」という話になります。そうすると、「今、借りているオフィスって何なの?」という話になりますね。

―― 確かにそうですね。

廣瀬 実際、それに近いことは起こっています。今日はたまたまVRセンターのほうに出てきましたが、コロナ以降、私がこの部屋に来たのは5回目ぐらいではないかという感じです。

―― そうですか。

廣瀬 それでも部屋代は出ていっているわけです。この部屋を借りている意味を考えてみると、とてつもなく高い単価で借りていることになります。だから、会社などの場合、そのオフィスをこのまま借り続けていいのか、あるいはもっとコンパクトでいいかもしれないですよね。

―― 本当にそうですね。リモートで会議をするときの1つの問題点として、...
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