折口信夫が語った日本文化の核心
この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
柳田國男『遠野物語』に感銘、折口が説いた「生活の古典」
折口信夫が語った日本文化の核心(4)折口信夫の「戦後のメッセージ」
上野誠(國學院大學文学部日本文学科 教授(特別専任)/奈良大学 名誉教授)
日本人は明治期に日本が近代化する過程で、自分たちに文化があるのか疑問を持つようになる。そうした中、外国の文化に触れることで日本を自覚する岡倉天心や新渡戸稲造のような青年たちも現れる。一方、日本人の生活を見直すことで、日本文化を語ろうとしたのが柳田國男と折口信夫である。戦後の折口信夫は、愛弟子の戦死という不幸に見舞われながらも講演活動を始める。日本人の心がすさんでいる中、「華道学術講座」で語った貴重なメッセージがある。なぜお花を勉強するところで語ったのか。その意味とともに折口信夫のメッセージを聴いて本シリーズの締めくくりとする。(全4話中第4話)
時間:18分24秒
収録日:2022年9月13日
追加日:2023年1月16日
カテゴリー:
≪全文≫

●外国の文化に触れて日本を自覚した明治の青年たち


 文化は「型」です。外国へ行っても、やはり型ですよね。料理もそうです。スープやオードブルから始まる、シャンパンやワインが出る、などというのは1つの型です。

 こうした型を折口信夫は「生活の古典」と言っています。生活の中にもクラシックな部分が必ず残る。これがグローバルな社会でその国の地域性や国民性をどう生かしていくかという、大きな現代的テーマになっているのです。

 日本の近代化の特徴は、江戸幕府が明治新政府になると同時に文明開化政策によって外国文化を受け入れてきたことです。これは西洋が200年ぐらいかけてやった近代化を70年ぐらいに圧縮して行うということです。西洋の学問や科学、生産技術のほうがずっと進んでいるので、それに追いつかなければということになるわけです。

 そうした状況下にあったこの時代は、明治時代の中でも一番苦しい時代でした。明治10(1877)年頃には西南戦争、神風連の乱など、さまざまな事件が起こります。そんな時代の日本にやってきたお雇い外国人の1人に、エルヴィン・フォン・ベルツがいます。ドイツの最先端の医学を日本に教えてくれた人で、彼が日記を残しています。明治9(1876)年の日記の一文で、少し読んでみます。

 「現代の日本人は自分自身の過去については、もう何も知りたくはないのです。それどころか、教養ある人たちはそれを恥じてさえいます。『いや、何もかもすっかり野蛮なものでした』とわたしに言明したものがあるかと思うと、またあるものは、わたしが日本の歴史について質問したとき、きっぱりと『われわれには歴史はありません。われわれの歴史は今からやっと始まるのです』と断言しました。なかには、そんな質問に戸惑いの苦笑をうかべていましたが、わたしが本心から興味をもっていることに気がついて、ようやく態度を改めるものもありました。」(『ベルツの日記』より)

 明治9年、10年の日本人たちは、自分たちに文化などあるのだろうかと思っていた。ところが、そういう思いでいた青年たちが、外国の文化に触れることによって日本を自覚する時代がやってくるのです。

 最初は美術史を学んだ岡倉天心です。岡倉天心の『茶の本』などでは「東洋の文明も大切にしなければなら...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
資本主義の再定義…哲学で考える(1)アダム・スミスの「市場と感情」
資本主義を哲学する…まずアダム・スミスの見えざる手と道徳感情論
中島隆博
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
プラトン『ソクラテスの弁明』を読む(1)真実の創作
プラトンの『ソクラテスの弁明』は謎多き作品
納富信留
『孫子』を読む :計篇(1)「戦わずして勝つ」の意味
「戦わずして勝つ」ことを唱える『孫子』が注目される理由
田口佳史
日本人が知らない自由主義の歴史~前編(1)そもそも「自由主義」とは何か
消極的自由と積極的自由?…なぜ自由主義がわかりづらいか
柿埜真吾
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(1)アメリカはそもそも分断社会
「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない
橋爪大三郎

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(37)長谷川眞理子先生の公開収録!
【アンケート&公開収録】長谷川眞理子先生:男と女でどう違う?能力の高め方
テンミニッツ・アカデミー編集部
ロシア人の見る「ロシアの歴史」(2)タタールのくびきと「第三のローマ」
なぜロシアが「第三のローマ」なのか?…東ローマ帝国とモンゴル帝国の根深い影響を探る
上月豊久
『「甘え」の構造』と現代日本(1)「甘え」のインパクト
「甘え」は現代においてダメなものなのか…名著『「甘え」の構造』への2種類の誤解とは?
與那覇潤
『万葉集』と律令社会~官僚の心得と歌宴(1)国守・大伴家持と地方社会の日常
『万葉集』でわかる奈良時代の貴族と地方豪族の関係と日常…歌人・大伴家持の歌に秘められた国守時代の苦労話
上野誠
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
「満洲」から考える日本とアジア(1)「満洲」を知る意義とは
「満洲史」はなぜ現代日本でタブー視されるのか?…王道楽土の夢とアヘンなどの裏面から見えてくる現代への教訓
宮脇淳子
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
「進化」への誤解…本当は何か?(1)進化の意味と生物学としての歴史
実は生物の「進化」とは「物事が良くなる」ことではない
長谷川眞理子
万葉集の秘密~日本文化と中国文化(1)万葉集の歌と中国の影響
『万葉集』はいかなる歌集か…日本のルーツと中国の影響
上野誠
江戸とローマ~日本酒とワイン(2)ローマの酒文化とファストフード
ポンペイのファストフード店、遺跡が物語るローマの酒文化
本村凌二