●外交を政争の具にしなかった政界の心強さ
皆さん、こんにちは。
引き続き、イスラム国の問題と、それに対する日本国内の対応について、考えるところを少し申し述べてみたいと思います。今日は、特に政治家や政界の反応などについてです。
今回の後藤健二さんたちの問題が起きた時に、最大野党の民主党を含め、拉致問題と政府の対応ぶりを内政に絡めることがなく、安否確認や人質解放などの外交を政争の具にしなかったことは、誠に心強い限りです。とはいえ、今後国会が始まって論戦が激しくなると、こうした点はまた違った装いを呈してくるかとも思います。
いずれにせよ、事件が起きて、このような不幸な結果になる前からすでに、政府や安倍晋三首相の対応について、かなり批判的な声が政界の一部からは上がったことも事実です。私から見て、やや不見識と思われる発言の最たるものは、「生活の党と山本太郎となかまたち」の共同代表たちの発言でした。
●小沢議員の「支援表明は宣戦布告」発言と非難
共同代表の一人、小沢一郎衆議院議員は、2015年1月25日放映のNHKの番組において、日本政府が行っている人道支援とそのために提供する2億ドルの供与について、「日本も敵だと取られても仕方がない」という発言をしました。
日本政府の支援は、イスラム国のテロや暴力に反対する中東各国の政策、特に難民政策を主な対象として行われているものです。これに対して小沢議員は「政府の支援表明が、イスラム国には宣戦布告とも言える」という、かなりきつい批判を行ったのです。
安倍首相と日本政府が、難民への人道支援の面を強調しているにもかかわらず、小沢議員は「人道支援の名前で言おうが、後方支援、補給が戦争そのものだ、あいまいなごまかしの話はやめるべきだ」と明言しました。さらに加えて、「政府はあたふたしているだけだ」と非難しましたが、これは、あまりにもむごい発言ではなかったでしょうか。
小沢氏は、日本外交と安保政策の伝統的で重要な要である「非軍事的な人道支援」の本質を、いともたやすく軍事的な後方支援と置き換え、二つを混同していたからです。
●後方支援と小沢氏、そして山本氏発言の超歴史性
もし仮に「後方支援」と言うのならば、小沢氏自身が自民党幹事長として湾岸危機と湾岸戦争に対処した時に支払った総額135億ドルの方が、よ...