水から考える「持続可能」な未来
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
日本は山紫水明の国なのに水不足!? お金と同じ水の価値
水から考える「持続可能」な未来(5)「水みんフラ」が水不足を防ぐ
沖大幹(東京大学大学院工学系研究科 教授)
日本は水に恵まれた国であるというイメージがあるかもしれないが、実際にはそうではない。しかし、それでも深刻な水不足に陥らないのには秘密がある。インフラによって水が「均されている」からだ。今回は、その点を啓発するための「水みんフラ」という理念について解説する。(2024年9月14日開催:早稲田大学Life Redesign College〈LRC〉講座より、全8話中第5話)
※司会者:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:11分29秒
収録日:2024年9月14日
追加日:2025年4月3日
カテゴリー:
≪全文≫

●日本の水資源は豊富ではない


 ここまでが気候変動とグローバルの話なのですが、日本の話に入っていきたいと思います。おそらく皆さん、山紫水明の国なので日本は水に恵まれた国だといわれたら「そうだよね」と思われると思うのですけれど、そうでもないのです。

 日本は、実は年降水量は陸地平均の倍ぐらいあるのですけれど、蒸発もそれなりにありますし、蒸発して残った水を年間1人あたりの水の量に直すと、人口密度が高いので、世界平均の半分なのです。関東地方だけを取り出すと、中国の西のほうは全部砂漠ですけれど、そこの半分です。もっというと、今私たちがいる関東臨海部は年間1人あたり400立方メートルぐらいで、サハラ砂漠のど真ん中にあるエジプトよりも少ない水しか使えません。

 本当かと思われるけれど、実際、前の(東京)オリンピックの直前、1964年に80日以上にわたって最大5割という大きな大渇水がありました。オリンピックはどうするのだという状況に陥ったのです。それが30年後の平成6年、このときもちょうど東京の降水量は同じぐらいなのですけれど、給水制限がありました。でも、半分の給水制限、最大15パーセントです。15パーセントだとほとんど水道は止まらないのです。5割だと下手すると隔日給水で、1日水が出たら(次の)1日は水が出ないという状況が60年前には起こったのです。

 これは気候変動ですか? 違います。昭和39年(1964年)、東京は多摩川の水しか使えなかった。小河内ダムがあって、そこにある奥多摩湖の水だけに東京は水がめを頼っていました。それが利根川の上流にダムを造って――利根川の水は放っておいても東京に来ないですから――利根川の水を荒川に落とし、そこから取水して、きれいにして東京に送るような仕組みをつくり、なんとか困らなくしました。なので今、私たちは関東に住んでいて、自然条件としての水資源はすごく少ないのに困らないわけです。


●「水みんフラ」という提案


 そういう意味では、なぜ水不足が生じるのか。アニメーション(で説明します)。

 川に水がたくさん流れているところは青黒い色で、カラカラのところが土気色のところですけれど、今は4月ぐらいでだんだんと川の水の多いところが北に上っていく様...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
水から考える「持続可能」な未来(1)気候変動の現在地
最悪10メートル以上海面上昇…将来に禍根残す温暖化の影響
沖大幹
ChatGPT~AIと人間の未来(1)ChatGPTは何ができて、何ができないか
ChatGPTは考えてない?…「AIの回答」の本質とは
西垣通
五島列島沖合の海没処分潜水艦群調査(1)目的と潜水艦史
海底に突き刺さる旧日本海軍の潜水艦「伊58」を特定!
浦環
ブラックホールとは何か(1)私たちが住む銀河系
太陽系は銀河系の中で塵のように小さな存在でしかない
岡朋治
断熱から考える一年中快適で健康な住環境(1)日本の住宅の実態と問題点
なぜ日本は夏暑く、冬寒いのか…断熱から考える住宅の問題
前真之
生成AI・大規模言語モデルのしくみ(1)生成AIとは何か
10年で劇的な進歩を遂げた生成AIと日本の開発事情
岡野原大輔

人気の講義ランキングTOP10
インテリジェンス・ヒストリー入門(1)情報収集と行動
日本の外交には「インテリジェンス」が足りない
中西輝政
平和の追求~哲学者たちの構想(3)サン=ピエールとモンテスキュー
「国連」の発想の源は?…一方、小共和国連合=連邦構想も
川出良枝
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(1)北斎の画狂人生と名作への進化
葛飾北斎と応為…画狂の親娘はいかに傑作へと進化したか
堀口茉純
熟睡できる環境・習慣とは(4)起きているときを充実させるために
夜まとめて寝なくてもいい!?「分割睡眠」という方法とは
西野精治
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法(1)銀行がお金を生む仕組み
信用創造・預金創造とは?社会でお金が流通する仕組み
養田功一郎
生成AI「Round 2」への向き合い方(2)ハードで動くCopilot
Microsoft Copilotの革新性…想像がつかない世界に
渡辺宣彦
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治