●参拝は「御英霊に哀悼の誠」「恒久平和の誓い」と首相
安倍晋三総理大臣が、昨年(2013年)暮れの12月26日に靖国神社に参拝しました。これについては国内でも賛否両論で、かなりの批判もありますが、国際的に大きな批判にさらされています。この参拝が今後どのような展開になるのか波紋が広がっていますので、今回は靖国神社の参拝問題について、何回かに分けてお話ししたいと思います。
安倍さんは靖国神社を参拝し、談話を発表しています。この参拝は、「安倍内閣発足1周年にあたって、かつて尊い血を流した英霊に報告かたがたお参りした」「今の平和と繁栄は、決して自分たちの手だけでできたのではなく、戦争で倒れた方々の尊い犠牲の上にあるのだ」ということで、「感謝もかねて慰霊に来た」ということでした。それから、「二度と戦争の惨禍に苦しむことのない時代をつくりたい。アジアの友人、世界の友人とともに、世界の平和を考える。そのためにも、そういう誓いをしてきた」というようなことをおっしゃっていました。
●中韓のみならず米欧露の批判も噴出
安倍さんのそういった気持ちを私は疑ってはいません。ただし、実際に参拝したことが、アジアの友人、世界の友人とともに平和をつくることに本当に役立つのでしょうか。
実際にはそうではなく、アジア、特に近隣の中国や韓国の感情を非常に逆なでしてしまい、ただでさえ最近とげとげしくなっている日中・日韓の関係を、非常に厳しいものにしてしまっています。欧米諸国が非常に注目しているのも、そのような点なのだろうと思います。
案の定、韓国や中国からは厳しい批判がありました。例えば、韓国では、政府の報道官が「慨嘆と怒りを禁じ得ない」あるいは「国会で糾弾を決議する」と批判したり、中国では、「人類の良識を踏みにじった」というような批判をしています。
これはある程度予想できたことですが、少し驚いたのは、当日早速、まず日本にあるアメリカの大使館が、この参拝に対し「失望を禁じ得ない」「失望した」という声明を出したことです。さらに大使館のみならず、本国の国務省でも同様に「失望した」という声明が出したということで、アメリカがある種の驚きやとまどい、内に秘めた怒りを表明したというのが事実ではないかと思います。
また、ヨーロッパでも、今までこのようなことにそれほど関心はなかったのではな...