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DATE/ 2018.04.07

相次ぐ女性専用車両トラブル、あなたはどう思う?

 2018年2月16日、東京メトロ千代田線の車内であるトラブルが発生しました。女性専用車両に男性数人が乗車し、女性客や駅員らと言い合いになった結果、電車が15分遅延したというものです。

 女性専用車両は、混雑が激しい朝と夕の一定時間帯に設けられる、原則として女性しか乗車できない車両です。女性への迷惑行為や痴漢行為を防ぐことを主な目的に、2000年代よりJR、私鉄各社が相次いで導入するようになりました。

女性専用車両は男性の理解と協力の上に成り立っている制度

 さて、女性専用車両ですが、スタッフの女性によると、他の車両より混雑がゆるやかになりますし、新聞を大きく広げたり、股を大きく広げて座ったりする方がいません。不快のタネが格段に少なく、比較的快適にラッシュを乗り切ることができます。何より、痴漢被害に遭った方(精神的な傷を負って満員電車に乗れなくなった方もいらっしゃいます)にとって、これほどにありがたい制度はないのではないでしょうか。

 女性専用車両に乗車できる男性について、多くの鉄道会社は「小学生以下」「身体の不自由な人」「身体が不自由な人を介助する人」としています。女性専用車両と知らずに乗り込んでしまった男性が、肩身狭そうに次の停車駅を待っている姿を時々見かけます。

 しかし、女性専用車両はあくまで男性の理解と協力の上に成り立っている制度で、上記に該当しない男性が乗り込んでも法的抑止力はありません。この点を突き、女性専用車両の存在を快く思わない個人・団体がごく普通に女性車両に乗り込み、「ここは女性車両ですよ」「ご協力ください」と別車両への移動を促す人々の言葉を無視し、いくつものトラブルを引き起こしています。冒頭で紹介したのも同様の事例です。

不満を抱く男性も多い!?

 そんな女性専用車両ですが、あなたはどう思いますか。男性の方の中には、言いたいことがたくさんあるという方もいるでしょう。

 例えば、先述したスタッフの女性が使用している東急東横線では、渋谷方面に向かう一番前の車両が女性専用車両とされているということです。彼女は「改札や乗り換え口から近いことが多い先頭車両を使えないことに、行き場のない不満を抱く男性は多いのでは」と話していました。想像するに、すし詰めの一般車両から比較的空いた女性専用車両の利用者の涼しい顔を見れば、当然なんとも言えない気持ちになることもあるでしょう。

 SNSの投稿を見てみると、間違って乗車しただけなのに「なんでいるの?」と言わんばかりの視線や高圧的な態度を感じたという男性も少なくありません。スタッフの女性も「女性専用車両にいる男性を凝視してしまうクセがあるので、気をつけようと思います」と言っていました。

 男性、女性、双方の理解と協力で成り立っている女性専用車両。お互いが思いやりを感謝の気持ちを持って、利用できる車両であってほしいものです。

<参考サイト>
・JCAST:首都圏で頻発する女性専用車両に乗り込む男性の騒ぎ
https://www.j-cast.com/tv/2018/02/27322196.html
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