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全国に創業1000年以上の老舗は何社ある?
東京商工リサーチが自社の企業データベース約310万社からピックアップした結果、明治創業の企業は2万1799社ありました。そして驚くべきことに、明治以前創業の企業も加えると3万3069社にのぼります。つまり、大正以前創業の企業が1万1270社も現役で営業を続けているのです。
では、創業1000年以上の企業は日本に何社あるのでしょうか。答えは7社。なんと飛鳥時代創業の企業が複数あります。このような重みある歴史を持つ企業のラインナップは次のとおり。
・株式会社金剛組(578年創業・建築業・大阪府)
・一般財団法人池坊華道会(587年創業・芸能教授業・京都府)
・有限会社西山温泉慶雲館(705年創業・旅館業・山梨県)
・株式会社古まん(717年創業・旅館業・兵庫県)
・有限会社善吾楼(718年創業・旅館業・石川県)
・株式会社田中伊雅(889年創業・宗教用具製造業・京都府)
・株式会社ホテル佐勘(1000年創業・旅館業・宮城県)
となります。
日本最古の企業、つまり世界最古の企業でもある建設会社・金剛組は、1440年の歴史を誇ります。創業者は、聖徳太子が四天王寺創建のために朝鮮半島から招いた宮大工・金剛重光。2005年までは金剛一族が経営していました。2006年に残念ながら経営破綻しましたが、高松建設のグループ企業となって現在も続いています。
2番目に古い華道家元・池坊華道会も聖徳太子と深い縁が。聖徳太子が創建した頂法寺の住職を池坊が代々務めたため、この創建年が創業年とされているのです。池坊は仏前に花を供えることを重要な職務としていたため、頂法寺は現在も「いけばな発祥の地」として親しまれています。
3番目に古い旅館・慶雲館も飛鳥時代の創業で、世界最古のホテルとしてギネスブックに認定されています。開湯は藤原鎌足の長男・真人と伝わり、武田信玄や徳川家康などが湯治に訪れた記録が残っています。このトップ3は、まさに歴史の教科書レベルの伝統を持つといえるでしょう。
もちろん、4・5番目に古い古まんと善吾楼は奈良時代、6・7番目に古い田中伊雅とホテル佐勘は平安時代の創業ですから、こちらも大変長い歴史を持っています。しかし、田中伊雅は公式サイトで「これからの仏具には世界基準の美意識が必要だと考えます」と語っているように、進歩的な姿勢が見て取れます。積み重ねた歴史に驕らず、常に社会の変化を感じ取って自らも変わる努力をすることが、長続きの秘訣なのかもしれません。
実は、規模でいえばあまり大きくない企業がほとんど。売上高は1000万円以上1億円未満が32.8%で最も多く、7割が5億円未満です。また従業員数も4人以下が33.8%で最も多く、5割が10人未満。国内の証券取引所に上場している老舗は上場企業全体の15.4%で、老舗の大多数は小規模企業なのです。
それでは、地域はどうでしょうか。老舗企業数では東京都を含む関東が全体の30.3%で最多です。これに加えて大阪や京都を含む近畿と、名古屋を含む中部の大都市圏を合わせると全体の6割にのぼります。しかし企業数全体に占める老舗の割合で見る老舗率では、北陸が2.1%で最多となります。これに続くのが東北の1.8%。老舗率で見ると関東は0.8%で最も少ない結果となりました。老舗の割合は伝統工芸や名産品が多い地域で高いことがわかります。
業種で見ると、企業数1位は清酒製造業。この点からも、老舗には名産品関連の企業が多いことがわかりますね。業種の上位10位までには3位に酒小売業、10位に酒類卸売業も入っており、お酒にかかわる企業がとても多い。また、同率3位には旅館業もランクイン。創業1000年以上の企業7社にも旅館が4社あり、古くからおもてなしの国だったことがうかがえます。
老舗の中には売上高7兆円を超える創業129年の日本生命などもありますが、ほとんどは地域密着型の業務を行う小規模企業。大きければ長続きするというわけではなく、むしろ地元の人々からの信頼を大切にして地域の求めに柔軟に対応してきた企業こそが、老舗として今も続いているといえるでしょう。
創業100年以上は3万以上、では1000年超えは?
実は日本には老舗がとても多く、世界の創業200年以上になる企業のうち約半数が日本にあるといわれます。さらには世界の創業1000年以上の企業も半数以上が日本にあるばかりでなく、創業年が古い企業トップ3を日本が独占しているのです。では、創業1000年以上の企業は日本に何社あるのでしょうか。答えは7社。なんと飛鳥時代創業の企業が複数あります。このような重みある歴史を持つ企業のラインナップは次のとおり。
創業1000年超え企業の壮大な歴史
創業1000年以上の老舗7社は、創業年が古い順に並べると、・株式会社金剛組(578年創業・建築業・大阪府)
・一般財団法人池坊華道会(587年創業・芸能教授業・京都府)
・有限会社西山温泉慶雲館(705年創業・旅館業・山梨県)
・株式会社古まん(717年創業・旅館業・兵庫県)
・有限会社善吾楼(718年創業・旅館業・石川県)
・株式会社田中伊雅(889年創業・宗教用具製造業・京都府)
・株式会社ホテル佐勘(1000年創業・旅館業・宮城県)
となります。
日本最古の企業、つまり世界最古の企業でもある建設会社・金剛組は、1440年の歴史を誇ります。創業者は、聖徳太子が四天王寺創建のために朝鮮半島から招いた宮大工・金剛重光。2005年までは金剛一族が経営していました。2006年に残念ながら経営破綻しましたが、高松建設のグループ企業となって現在も続いています。
2番目に古い華道家元・池坊華道会も聖徳太子と深い縁が。聖徳太子が創建した頂法寺の住職を池坊が代々務めたため、この創建年が創業年とされているのです。池坊は仏前に花を供えることを重要な職務としていたため、頂法寺は現在も「いけばな発祥の地」として親しまれています。
3番目に古い旅館・慶雲館も飛鳥時代の創業で、世界最古のホテルとしてギネスブックに認定されています。開湯は藤原鎌足の長男・真人と伝わり、武田信玄や徳川家康などが湯治に訪れた記録が残っています。このトップ3は、まさに歴史の教科書レベルの伝統を持つといえるでしょう。
もちろん、4・5番目に古い古まんと善吾楼は奈良時代、6・7番目に古い田中伊雅とホテル佐勘は平安時代の創業ですから、こちらも大変長い歴史を持っています。しかし、田中伊雅は公式サイトで「これからの仏具には世界基準の美意識が必要だと考えます」と語っているように、進歩的な姿勢が見て取れます。積み重ねた歴史に驕らず、常に社会の変化を感じ取って自らも変わる努力をすることが、長続きの秘訣なのかもしれません。
大企業なら長く続くというわけではない
創業1000年以上の企業を知ってしまうと、明治創業の企業はまだまだ若いと感じますが、最近の企業の平均寿命は23年と半年程度。100年以上続いている企業はやはりかなり古い伝統を持っているといえます。時代の荒波を乗り越えて生き残ってきた創業100年以上の老舗には、どんな特徴があるのでしょうか。実は、規模でいえばあまり大きくない企業がほとんど。売上高は1000万円以上1億円未満が32.8%で最も多く、7割が5億円未満です。また従業員数も4人以下が33.8%で最も多く、5割が10人未満。国内の証券取引所に上場している老舗は上場企業全体の15.4%で、老舗の大多数は小規模企業なのです。
それでは、地域はどうでしょうか。老舗企業数では東京都を含む関東が全体の30.3%で最多です。これに加えて大阪や京都を含む近畿と、名古屋を含む中部の大都市圏を合わせると全体の6割にのぼります。しかし企業数全体に占める老舗の割合で見る老舗率では、北陸が2.1%で最多となります。これに続くのが東北の1.8%。老舗率で見ると関東は0.8%で最も少ない結果となりました。老舗の割合は伝統工芸や名産品が多い地域で高いことがわかります。
業種で見ると、企業数1位は清酒製造業。この点からも、老舗には名産品関連の企業が多いことがわかりますね。業種の上位10位までには3位に酒小売業、10位に酒類卸売業も入っており、お酒にかかわる企業がとても多い。また、同率3位には旅館業もランクイン。創業1000年以上の企業7社にも旅館が4社あり、古くからおもてなしの国だったことがうかがえます。
老舗の中には売上高7兆円を超える創業129年の日本生命などもありますが、ほとんどは地域密着型の業務を行う小規模企業。大きければ長続きするというわけではなく、むしろ地元の人々からの信頼を大切にして地域の求めに柔軟に対応してきた企業こそが、老舗として今も続いているといえるでしょう。
<参考サイト>
・株式会社東京商工リサーチ:全国「老舗企業」調査
http://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20161202_01.html
・株式会社東京商工リサーチ:全国「明治創業企業」調査
http://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20170922_01.html
・株式会社東京商工リサーチ:全国「老舗企業」調査
http://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20161202_01.html
・株式会社東京商工リサーチ:全国「明治創業企業」調査
http://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20170922_01.html
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