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DATE/ 2018.08.10

全身スッキリ!かっさマッサージ法とは?

 美容と健康...誰しも美しく健やかでありたいと思うのは古今東西変わらぬ願いです。古代よりギリシャの青年たちは均整のとれた理想的肉体美を求めて体操に明け暮れ、エジプトでは虫除けと日焼け対策も兼ねる、実用的な化粧法が開発されていました。今でいうフィットネスもメーキャップも紀元前からあったのですね。

 そして、独特で歴史の長い医術を持つお隣中国でも、様々な美容法・健康法が珍重されていました。今回はその中でも手軽でかつ効果的な、かっさマッサージを紹介します。

かっさマッサージとは?

 耳慣れない響きですが、「かっさ」とは漢字では「刮サ(ヤマイダレに沙。以降サ)」、中国読みでは「グァシャ」という民間療法のひとつです。「刮」とは擦ることを表し、「サ」は擦られることでオ血(ケツ)と呼ばれる、滞っていた血液が皮膚に浮かんでできる赤点を表しています。

 中国医学では、人間の身体には「経絡」と呼ばれる気血の巡る道があるとされ、そこが詰まってしまうと不調が起こると考えられています。かっさはその詰まりをとるために、かっさ板と呼ばれる独特の形のプレートで経絡にそって身体をなぞってゆく治療法です。ミリ単位の正確さが必要となる鍼灸と違い、プレートを使うので素人でも広い範囲を刺激して経絡やつぼをほぐせるというメリットがあります。

 かっさ板は、伝統的には水牛の角や翡翠(ヒスイ)などで作られたものが用いられますが、最近では100円ショップなどで廉価なものも手に入ります。また近年では、ラーメンを食べるときのれんげを代用した施術法も紹介されています。まさに生活の知恵ですね。

かっさの効能とやり方

 そんな手軽なかっさの効能は様々です。
 慢性疲労の回復、新陳代謝や免疫力の活発化、自律神経を整える、頭痛や筋肉痛を和らげる、便秘の解消など幅広い効用が報告されています。また、美容に応用することにより、むくみの解消やリフトアップ、小顔や美肌効果も期待できます。

 やり方は身体の部位によって様々ですが、基本的には下記のような手順になっています。

 その1)滑りを良くするために施術箇所にオイルやクリームを塗る。かっさ板をスムーズに動かせるようにして、皮膚が傷つくのを防ぎます。滑りが悪くなってきたらまた塗るつもりくらいでいるのが良いでしょう。

 その2)施術箇所近くのリンパ筋を刺激してデトックス効果を促進させておく。耳の前や鎖骨周り、脚の付け根や肘にあるリンパ筋を前もってマッサージしておくことで、老廃物の回収がしやすくなるようになります。

 その3)かっさ板の丸く尖った部分、凸凹でこりをほぐす。気になるところだけでなく、全体をほぐすように行うのがコツです。くるくると小さな円を描くようにゆっくりとかっさ板を動かしていきます。3セットを目安に行ってください。

 その4)かっさ板の丸みのある平たい部分で、こりをほぐして出てきた老廃物を最寄りのリンパ筋に向けて、ゆっくりと掻き出します。

 頻度としては毎日やるよりも週に2、3回、10分間やるくらいが良いと勧められています。

気をつけなければならないこと

 お手軽な健康法ですが、注意点もあります。まず、必ず潤滑剤としてオイルやクリームなどを使うこと。皮膚の抵抗摩擦が強いと、ほぐすどころか肌を痛めてしまいますので必ず何か塗ってから行いましょう。力の入れ過ぎも同様です、手や指が疲れない程度の力加減を心がけてください。同じ箇所を集中するなど、やり過ぎも禁物です。炎症を起こしていたり、ニキビや吹き出物がある場所も避けてください。

 また、かっさを行うとケースによっては「サ」が皮膚の表面に浮かび上がってくることがあります。体内の毒出しをしているための一時的な副作用でのようなもので、通常は3日から1週間ほどで消えるものではありますが、見た目はまるで打撲か鬱血しているかのようです。露出の高い服を着る、水泳にいく予定などがある人は御注意ください。

 余談になりますが、中国からアメリカに移住した家族のおじいさんが孫にかっさを施したところ、アメリカの人々に虐待痕ではと通報されてしまう、文化間の誤解をテーマにした映画があります。こちらのタイトルがまさに『刮サ』。それほどきつく「サ」が浮かび上がる時があるのですね。本格的に施してみたいと思う方は、一度専門店で説明を受けてからの方が良いかもしれません。

 以上、簡単ではありますが隙間時間でできる民間療法かっさの紹介となりました。美容にも健康にも良い東洋の智慧、上手に生活に取り入れてみてください。

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