社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2018.09.14

【仕事と年収】気象予報士(38歳女性)

 今回は「気象予報士」の方に年収などのリアルなお金事情、その仕事の内容をうかがいました。

【年齢】38歳(女性)
【住まい】埼玉県
【独身or既婚】既婚

経歴を教えてください。

 高校卒業後、土木、美容、ITと様々な職種を経験。退職を期に、以前から興味のあった気象予報士の試験を受験しました。噂通りとても難しかった(合格率約4%)のですが、2年かけて合格しました。

 当初は仕事にできるかは全くわからず、好きというだけで勉強しましたが、試験が終わると覚えたことはどんどん忘れていく一方。せっかく勉強したのにもったいないと感じ、資格を活かして仕事ができないものかと就職口を探したところ、いまの会社に巡り合いました。一年ほど働いたところで、現在は育休中です。

年収/月収/賞与について教えてください。

 年収300万円、月収25万円、賞与はなし。時給、経験に応じ昇給。

貯蓄額はおいくらですか?

 50万円。

年間休日は?

 平均180日。シフト制。土日祝日や正月も関係ありません。

仕事の内容は?残業はどれぐらい?

 気象予報士というと、キャスターのイメージが強いと思いますが、実はキャスターは資格がいりません。原稿を読むのは、アナウンサーやアイドルでもOKなのです。資格が必要なのは予測をする時です。

 私は自治体や公共の交通機関などに局所的な天気予報をする部署で、予測をしています。例えば、電車なら、強風が吹けば徐行運転をしなければならないとか、道路なら雪が積もったら除雪車を出さなければいけないとか、私が出した予測で準備をすることになります。ちなみに、港の波の高さの予測もします。

 残業はほとんどありません。ただし、荒天時はクライアントからの問い合わせに対応するため、残業することがあります。

この仕事の良い点は?

 天気という生活に密着したものですが、自治体や企業が相手となると、防災のニュアンスが強くなるので、責任重大です。港の波の高さの予測では、自分の予測によりタンカーが港に入るか入らないかで、何億というお金が左右されることもあります。だからこそやりがいはあります。計り知れない自然現象を、天気図などを見て予測するのは、とても楽しいです。自分が予測した通りになると、なおさら嬉しいです。

この仕事の悪い点は?

 当たって当たり前と思われているので、予測が当たっても誉めてもらえません。自然現象を予測して当てることはすごいことなのですが、外れると怒られます。

 大気が不安定で、どこで雨が降ってもおかしくないときに、「ここは何分後に降り始めて、何㎜、何時まで降りますか?」という聞かれ方をすると、「そんなのわからんわー!」と言いたくなりますが、お金をいただいているクライアントにそんなことは言えるはずもありません。わからないことをクライアントが満足するような伝え方をしなくてはならないのが、とても難しいです。

――――――――――

 「気象予報士」の仕事と年収、いかがでしたでしょうか?

 多くの人が「当たって当たり前」と思う天気予報ですが、確かに自然現象を予報するのはすごいことです。私たちもそういった考えは、改めなければいけませんね。
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
物知りもいいけど知的な教養人も“あり”だと思います。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。 『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ

「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ

「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造

宇宙とは何かを考えるうえで中国の古典である『荘子』・『淮南子(えなんじ)』に由来する「宇宙」という言葉が意味から考えてみたい。続いて、地球から始まり、太陽系、天の川銀河(銀河系)、局所銀河群、超銀河団、そして大...
収録日:2020/08/25
追加日:2020/12/13
岡朋治
慶應義塾大学理工学部物理学科教授
2

図書館の便利な活用法…全国の図書館からの「お取り寄せ」

図書館の便利な活用法…全国の図書館からの「お取り寄せ」

歴史の探り方、活かし方(2)図書館「レファレンス」の活用

公共図書館では質の高い「レファレンス」サービスを提供しているが、活用する人は限られている。だが、実は全国の図書館ネットワークを縦横無尽に活用できる、驚くほどに便利な仕組みなのだ。今回は図書館のレファレンスで何が...
収録日:2025/04/26
追加日:2025/11/15
3

知ってるつもり、過大評価…バイアス解決の鍵は「謙虚さ」

知ってるつもり、過大評価…バイアス解決の鍵は「謙虚さ」

何回説明しても伝わらない問題と認知科学(3)認知バイアスとの正しい向き合い方

人間がこの世界を生きていく上で、バイアスは避けられない。しかし、そこに居直って自分を過大評価してしまうと、それは傲慢になる。よって、どんな仕事においてももっとも大切なことは「謙虚さ」だと言う今井氏。ただそれは、...
収録日:2025/05/12
追加日:2025/11/16
今井むつみ
一般社団法人今井むつみ教育研究所代表理事 慶應義塾大学名誉教授
4

脳内の量子的効果――ペンローズ=ハメロフ仮説とは

脳内の量子的効果――ペンローズ=ハメロフ仮説とは

エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(2)量子論と空海密教の本質

「ワット・ビット連携」の概念がある。これは神経と血管の関係にも似ており、両者が密接に関係するところから、それをもとに人間の本質について考察していくことになる。また、中村天風の思想から着想を得て、人間の心には霊性...
収録日:2025/03/03
追加日:2025/11/13
5

なぜ伝わらない?理解の壁の正体を今井むつみ先生に学ぶ

なぜ伝わらない?理解の壁の正体を今井むつみ先生に学ぶ

編集部ラジオ2025(27)なぜ何回説明しても伝わらない?

「何回説明しても伝わらない」「こちらの意図とまったく違うように理解されてしまった」……。そんなことは、日常茶飯事です。しかしだからといって、相手を責めるのは大間違いでは? いやむしろ、わが身を振り返って考えないと...
収録日:2025/10/17
追加日:2025/11/13