社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2018.10.08

意外と知らない「ハムとベーコン」の違いとは?

 大人から子どもまで多くの人に人気のハムやベーコン。ハムはサンドイッチやサラダに使ったり、ベーコンはスープや炒め物に使ったり、冷蔵庫にあるとなにかと重宝する食材ですよね。どちらも豚肉を加工した食材ですが、その違いはなんだかご存知ですか?その3つの違いを紹介していきましょう。

主に使用する部位

 どちらも同じく豚肉のさまざまな部位を使用していますが、おもに使う部位が異なるのが特徴です。ハムの場合はモモ肉が主流、ベーコンはバラ肉が主流となっています。

 「ハムといえばロースハムではないの?」と思う方が多いかもしれませんが、実はロースハムは日本独特のもの。欧米でハムといえば、モモ肉を使ったボンレスハムや骨付きハムが一般的なのです。そもそも欧米ではロースハムという呼び名はないというので、日本人にとっては驚きですね。ロースハムはボンレスハムなどよりも脂肪を含んでいてやわらかいのが特徴で、赤身が多く肉感の強いボンレスハムよりも日本人の舌には合っているのかもしれません。

 一方、ベーコンで主に使うのは国内外問わず、脂身の多いバラ肉です。実はバラ肉を使ったベリーハムというハムもあるのですが、日本ではあまりお目に掛かることは少ないですね。この他にもウデ肉を使ったショルダーベーコンやロース肉を使ったロースベーコンもありますが、モモ肉を使用することはありません。脂身が少ないので、あまりベーコンには向いていないのかもしれません。

製造方法

 ハムとベーコンで大きく異なるのが製造方法です。ハムはまず肉を塩漬けにするところから始まります。熟成させたのちに、紐や糸で縛ったり、布で巻いたりして形を整えるケーシングを行い、燻製。その後、スチームで蒸したり、ボイルしたりして、冷却すればハムの完成です。

 ベーコンの製造方法はもっと簡単で、塊のままの肉を塩漬けさせて熟成、そのあとに低温での燻製が終われば完成です。最後にボイル等をしないので、表
面に香ばしさが残り、ハムとは違った味わいを楽しむことができます。

適した調理法

 ハムは一度ボイルしているため、ベーコンよりも脂肪分や塩分が低いヘルシーな食材といえます。ピンクの彩りがきれいなのでサラダやサンドイッチなどにそのまま使うこともできますし、厚切りのハムの場合はハムステーキにしたりハムカツにしたりしても、美味しく食べられます。加熱、非加熱でさまざまな食べ方を楽しむことができるのが特徴ですね。

 そのままでもおいしいベーコンですが、スープなどの煮込み料理などに使うと、豚の脂がもつコクとうま味を加えることができます。また、野菜や他の具と炒めるときには先にベーコンを加熱すれば、燻製の香り漂う香ばしい風味の油によって、ベーコンのうま味を充分に味わえるでしょう。ハムに比べると加熱調理に向いている食材といえます。

食卓を支えるハムやソーセージ

 どこの部位を、どうやって製造するかによってハムやベーコンなどになる豚肉。ハムやソーセージといった加工肉食品は、古代から作られていて、長い歴史を人間とともにしているのです。長い間、私たちの食事とともにあるハムやソーセージ、その良さを生かしたそれぞれの調理法で、ぜひ味わいの違いを楽しんでみてください。
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
自分を豊かにする“教養の自己投資”始めてみませんか?
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。 『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

デカルトが注目した心と体の条件づけのメカニズム

デカルトが注目した心と体の条件づけのメカニズム

デカルトの感情論に学ぶ(1)愛に現れる身体のメカニズム

初めて会った人なのになぜか好意を抱いてしまうことがある。だが、なぜそうした衝動が生じるのかは疑問である。デカルトが友人シャニュに宛てた「愛についての書簡」から話を起こし、愛をめぐる精神と身体の関係について論じる...
収録日:2018/09/27
追加日:2019/03/31
津崎良典
筑波大学人文社会系 教授
2

『100万回死んだねこ』って…!?記憶の限界とバイアスの役割

『100万回死んだねこ』って…!?記憶の限界とバイアスの役割

何回説明しても伝わらない問題と認知科学(2)バイアスの正体と情報の抑制

「バイアスがかかる」と聞くと、つい「ないほうが望ましい」という印象を抱いてしまうが、実は人間が生きていく上でバイアスは必要不可欠な存在である。それを今井氏は「マイワールドバイアス」と呼んでいるが、いったいどうい...
収録日:2025/05/12
追加日:2025/11/09
今井むつみ
一般社団法人今井むつみ教育研究所代表理事 慶應義塾大学名誉教授
3

偉大だったアメリカを全否定…世界が驚いたトランプの言動

偉大だったアメリカを全否定…世界が驚いたトランプの言動

内側から見たアメリカと日本(2)アメリカの大転換とトランプの誤解

アメリカの大転換はトランプ政権以前に起こっていた。1980~1990年代、情報機器と金融手法の発達、それに伴う法問題の煩雑化により、アメリカは「ラストベルト化」に向かう変貌を果たしていた。そこにトランプの誤解の背景があ...
収録日:2025/09/02
追加日:2025/11/11
4

「白人vsユダヤ人」という未解決問題とトランプ政権の行方

「白人vsユダヤ人」という未解決問題とトランプ政権の行方

戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(3)未解決のユダヤ問題

保守的な軍国化によって、内戦への機運が高まっているアメリカだが、MAGAと極左という対立図式は表面的なものにすぎない。その根本に横たわっているのは白人とユダヤ人という人種の対立であり、それはカーク暗殺事件によって露...
収録日:2025/09/24
追加日:2025/11/06
東秀敏
米国大統領制兼議会制研究所(CSPC)上級フェロー
5

宇宙の理法――松下幸之助からの命題が50年後に解けた理由

宇宙の理法――松下幸之助からの命題が50年後に解けた理由

徳と仏教の人生論(1)経営者の条件と50年間悩み続けた命題

半世紀ほど前、松下幸之助に経営者の条件について尋ねた田口氏は、「運と徳」、そして「人間の把握」と「宇宙の理法」という命題を受けた。その後50年間、その本質を東洋思想の観点から探究し続けてきた。その中で後藤新平の思...
収録日:2025/05/21
追加日:2025/10/24