社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
ネットの人権侵害の被害者・加害者にならないために
今やインターネットは日常生活に欠かせないツールと言えます。しかし、便利で生活に浸透しているからこそ、ネットに関わるトラブルも多種多様です。皆さんは、ネットの利用に際してきちんとした知識を持っていると自信を持って言えるでしょうか。
ここでは、近年増えているネットによる人権侵害について考えてみたいと思います。
しかし、ネットの便利さに甘えて、あまりにも不用意に利用していると、ふとしたことがきっかけで誹謗中傷にさらされたり、それがどんどん拡散していったりというネットならではの人権侵害の被害にあうリスクも高まってしまいます。
このような被害にあわないためにも、佐藤氏の著書『インターネットと人権侵害 匿名の誹謗中傷~その現状と対策』を参考に、ネットでの悪質書き込みなどの被害にあった時の対処法などを知識として備えておきましょう。
もし、悪質な書き込みなどをされたら、今後の対処を踏まえて被害にあった証拠を保存しておくことを佐藤氏は強く勧めます。書き込みされたページを印刷しておくのがベストで、サイト名や日付も一緒に印字されるように設定することが大事とのこと。スマホや携帯電話などの場合は、表示画面をそのまま画像として保存したり、それをパソコンに転送して印刷したりといくつかの方法があります。
証拠保存の次は、悪質書き込みの早期削除です。実は、ネットの書き込みの削除は簡単にはできません。発信者のみならず、サイトの管理人やサービス運営会社、ネット接続業者など関係者が多岐にわたるため、手続きや交渉が非常に面倒で複雑なのです。しかし、放置は危険ですから、「自分一人で解決しよう」などと思わずに、早急に相談窓口に連絡をしてアドバイスを受けることを勧めています。その場合、ネット人権侵害の専門家を配置している相談機関を利用することが重要です。サービス運営会社や接続業者の窓口で心もとなければ、違法・有害情報相談センター、あるいは法務局の人権相談窓口に被害の申告をするとよい、と佐藤氏は言います。とにかく、専門家のアドバイスによって迅速な対処をすることが肝要です。
最終的には、訴訟を起こして法的手段をとるという方法もあるにはあるのですが、これはかなりハードルが高いと覚悟しなければなりません。時間も手間も、そして費用もかかりますし、何よりも被害者はかなりの精神的苦痛を強いられることになるからです。仮に加害者を特定できて、損害賠償請求の民事裁判で勝ったとしても、必ずしも慰謝料が支払われるとは限りません。相手に支払い能力がなかったり、支払いを拒否されたりすれば、裁判所もそれ以上の支払い強制はできないのです。こうしたことを考慮すると、早めに「謝罪・示談」に持ちこんで解決するのが賢明だと、佐藤氏は助言しています。
それは、私たちがネットの人権侵害被害の危険にさらされているということは、裏をかえせば、気づかないうちに加害者になる可能性も多分に持っているということです。うっかりSNSに掲載した友人の個人情報が転用・悪用されたり、セキュリティ設定があまかったためにアカウントを乗っ取られて不信なメールが友人、知人に配信されたりすれば、気づかないうちに他者の人権を侵してしまうことになります。
ネットは誰でも使える民主的なネットワークです。しかし、誰もが被害者にもなり加害者にもなり得る諸刃の剣のような側面も持っています。便利さだけに目をむけて、使い方を誤らないようくれぐれも注意したいものです。
ここでは、近年増えているネットによる人権侵害について考えてみたいと思います。
ネット人権侵害の正しい知識を身につけよう
株式会社情報文化総合研究所代表取締役所長で武蔵野大学名誉教授の佐藤佳弘氏は、ネットの人権侵害の被害にあわないようにするために、ネット社会の現状やトラブルの種類、具体的な対処法などについて正しい知識をもつことが必要だと言います。どこに地雷が埋まっているかを知っていれば、それを避けながら安全にネットを使うことができるし、万一危険な目にあっても被害を最小限に抑えることができるからです。しかし、ネットの便利さに甘えて、あまりにも不用意に利用していると、ふとしたことがきっかけで誹謗中傷にさらされたり、それがどんどん拡散していったりというネットならではの人権侵害の被害にあうリスクも高まってしまいます。
このような被害にあわないためにも、佐藤氏の著書『インターネットと人権侵害 匿名の誹謗中傷~その現状と対策』を参考に、ネットでの悪質書き込みなどの被害にあった時の対処法などを知識として備えておきましょう。
被害にあったらどのように対処すればよいか?
ネット上の誹謗中傷といったトラブルには、書き込みを容易に削除できなかったり、発信者を特定しにくかったりといった、ネットならではの特徴があります。だからといって、「騒ぎ立てるとかえってよくない」と放置していると、拡散というさらに厄介な事態になりかねません。もし、悪質な書き込みなどをされたら、今後の対処を踏まえて被害にあった証拠を保存しておくことを佐藤氏は強く勧めます。書き込みされたページを印刷しておくのがベストで、サイト名や日付も一緒に印字されるように設定することが大事とのこと。スマホや携帯電話などの場合は、表示画面をそのまま画像として保存したり、それをパソコンに転送して印刷したりといくつかの方法があります。
証拠保存の次は、悪質書き込みの早期削除です。実は、ネットの書き込みの削除は簡単にはできません。発信者のみならず、サイトの管理人やサービス運営会社、ネット接続業者など関係者が多岐にわたるため、手続きや交渉が非常に面倒で複雑なのです。しかし、放置は危険ですから、「自分一人で解決しよう」などと思わずに、早急に相談窓口に連絡をしてアドバイスを受けることを勧めています。その場合、ネット人権侵害の専門家を配置している相談機関を利用することが重要です。サービス運営会社や接続業者の窓口で心もとなければ、違法・有害情報相談センター、あるいは法務局の人権相談窓口に被害の申告をするとよい、と佐藤氏は言います。とにかく、専門家のアドバイスによって迅速な対処をすることが肝要です。
最終的には、訴訟を起こして法的手段をとるという方法もあるにはあるのですが、これはかなりハードルが高いと覚悟しなければなりません。時間も手間も、そして費用もかかりますし、何よりも被害者はかなりの精神的苦痛を強いられることになるからです。仮に加害者を特定できて、損害賠償請求の民事裁判で勝ったとしても、必ずしも慰謝料が支払われるとは限りません。相手に支払い能力がなかったり、支払いを拒否されたりすれば、裁判所もそれ以上の支払い強制はできないのです。こうしたことを考慮すると、早めに「謝罪・示談」に持ちこんで解決するのが賢明だと、佐藤氏は助言しています。
被害者、加害者両方になり得る危険性
とにかく、ネットの人権侵害に関しては、早期発見、早期削除、専門家への相談が大事ということですが、最後にもう一つ気をつけるべきことがあります。それは、私たちがネットの人権侵害被害の危険にさらされているということは、裏をかえせば、気づかないうちに加害者になる可能性も多分に持っているということです。うっかりSNSに掲載した友人の個人情報が転用・悪用されたり、セキュリティ設定があまかったためにアカウントを乗っ取られて不信なメールが友人、知人に配信されたりすれば、気づかないうちに他者の人権を侵してしまうことになります。
ネットは誰でも使える民主的なネットワークです。しかし、誰もが被害者にもなり加害者にもなり得る諸刃の剣のような側面も持っています。便利さだけに目をむけて、使い方を誤らないようくれぐれも注意したいものです。
<参考文献>
『インターネットと人権侵害 匿名の誹謗中傷~その現状と対策』(佐藤佳弘著、武蔵野大学出版会)
http://mubs.jp/武蔵野大学出版会/インターネットと人権侵害~匿名の誹謗中傷-その/
『インターネットと人権侵害 匿名の誹謗中傷~その現状と対策』(佐藤佳弘著、武蔵野大学出版会)
http://mubs.jp/武蔵野大学出版会/インターネットと人権侵害~匿名の誹謗中傷-その/
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
「学ぶことが楽しい」方には 『テンミニッツTV』 がオススメです。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,100本以上。
『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
運も実力のうち!?小早川の寝返りを生んだ黒田長政の好運
運と歴史~人は運で決まるか(2)運に恵まれるにはどうすればいいか
普通の人間の「運」については、どう考えればいいのだろうか。例えば、日本において消費文化が花開いた江戸時代、11代将軍・徳川家斉の治世には、庶民が「運がめぐってこない」ことを皮肉った狂詩があった。運には「めぐりあわ...
収録日:2024/03/06
追加日:2024/04/25
陰の主役はイラン!?イスラエル・ハマス紛争の宗教的背景
グローバル・サウスは世界をどう変えるか(4)サウジアラビアとイランの存在感
中東のグローバル・サウスといえば、サウジアラビアとイランである。両国ともに世界的な産油国であり、世界の政治・経済に大きな存在感を示している。ただし、石油を武器にアメリカとの関係を深めてきたのがサウジアラビアであ...
収録日:2024/02/14
追加日:2024/04/24
起業の極意!サム・アルトマンと松下幸之助
編集部ラジオ2024:4月24日(水)
ChatGPTを開発したことで一躍有名となったOpenAI創業者のサム・アルトマン。AIの発展によって社会は大きく、急速に変化しており、その中心的な人物こそが彼であるといっても過言ではありません。
そんなアルトマンが...
そんなアルトマンが...
収録日:2024/04/15
追加日:2024/04/24
権威主義とポピュリズムへの対抗…歴史を学び、連帯しよう
民主主義の本質(5)民主主義を守り育てるために
ポピュリズムや権威主義的な国家の脅威が迫る現在の国際社会。それに対抗し、民主主義的な社会を堅持するために、国際社会の中で日本はどのように振る舞うべきか。議論を進める前提として大事なのは「歴史から学ぶ」ことである...
収録日:2024/02/05
追加日:2024/04/23
ルネサンスはどうやって始まった?…美術の時代背景
ルネサンス美術の見方(1)ルネサンス美術とは何か
ルネサンス美術とはいったい何なのか。これを考えるためには、なぜその時代に古代ギリシャ、ローマの文化が復活しなければならなかったのかを考える必要がある。その鍵は、ルネサンス以前のイタリアの分裂した都市国家の状態や...
収録日:2019/09/06
追加日:2019/10/31