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DATE/ 2019.03.01

世界で最も安全な国ランキング―日本の順位は?

 現在、シリアをめぐる情勢はとりあえず山場を越えたようにも思えますが、まだまだ世の中にはさまざまな危険が潜んでいます。北朝鮮を巡る情勢はいまだ不透明で、アフガニスタンの緊張状態は続き、アメリカなどを狙ったサイバー攻撃はより活発化しています。また、戦争や対立以外のところに目を向ければ、大寒波や火山の噴火、大地震などの自然災害は世界のどこかで発生し、大きな被害をもたらしています。

 こういったさまざまな生活上のリスクを総合して考えたとき、世界でもっとも安全な国はどこなのでしょうか。以下資料をもとに考えてみましょう。

世界で最も安全な国ランキング

 アメリカのグローバルファイナンス誌は「世界で最も安全な国ランキング2019(World's Safest Countries 2019)」を発表しました。このランキングでは、「戦争と平和」「個人の安全」「自然災害」という3つのリスクで指標を分析し数値化したものです。これにより、リスクを総合的に分析し、その地域の安全性を導き出しています。一覧を見ると対象国は128カ国です。また、似たものにシドニーのシンクタンク「経済平和研究所」が発表する「世界平和度指数」がありますが、こちらのリスク指標の大項目は「治安」「内戦・戦争」「軍事化」の3つで、「自然災害」は含まれていません。

 こう考えると、ここで取り上げる「世界で最も安全な国ランキング」では、より広汎なリスクを分析し、人災と天災の両方を含めた、総合的な安全度評価と言えます。

1位はアイスランド、日本は43位

 日本の順位は43位です。感覚からするとちょっと低すぎる気がしますが、資料に記載されているコメントでは、日本がこの順位である理由は「自然災害のリスクが高いため」と明示されています。地震や台風・大雨被害、火山の噴火、といったここ数年の事情を考えれば、ここは否定できないでしょう。

 また、先に示した自然災害リスクを含まない「世界平和度指数」の方では、日本は9位でした。それほど日本の「自然災害リスク」が高くなっていると言えるかと思います。

 全体の順位を見てみましょう。トップ10(+日本)は以下の通りです。右のカッコ内の数字は安全性スコアで数字が小さいほど安全です。

1位:アイスランド(6.16)
2位:スイス(7.01)
3位:フィンランド(7.04)
4位:ポルトガル(7.07)
5位:オーストリア(7.08)
6位:ノルウェー(7.27)
7位:カタール(7.28)
8位:シンガポール(7.34)
9位:デンマーク(7.41)
10位:ニュージーランド(7.42)
43位:日本(9.49)

 トップ10ではヨーロッパが多いです。またここには入っていない大きな国としては、アメリカ65位(10.30)、中国81位(11.11)、インド106位(12.85)、ロシア108位(12.94)です。

 資料では、おおよそ経済的に発展している国は軍事衝突や犯罪の発生率が比較的低いので上位に位置していると分析されています。しかし、アメリカは自然災害のリスクが他国に比べてやや高く、さらにランキングが下がる大きなポイントは、殺人などの暴力犯罪による危険性が高い点にあるとのことです。

ランキング最下位はフィリピン

 今度はランキングワースト10を見てみましょう。以下は比較的生活リスクの高い国と言えそうです。

119位:マリ(14.15)
120位:チャド(14.31)
121位:バングラデシュ(14.66)
122位:コロンビア(14.79)
123位:パキスタン(14.80)
124位:ナイジェリア(14.88)
125位:エルサルバドル(15.43)
126位:グアテマラ(15.81)
127位:イエメン(15.93)
128位:フィリピン(17.70)

 私たちが普段あまり聞き慣れない国もあります。マリ(119位)、チャド(120位)、ナイジェリア(124位)はアフリカ。コロンビア、エルサルバドル、グアテマラは中南米、イエメンは中東に位置しています。アジアからはバングラデシュ、パキスタン、フィリピンが入っています。

 分析では、グアテマラ、エルサルバドル、バングラデシュは度重なる地震に苦しんでおり、また経済発展が不十分な点も「個人の安全」で評価が低いとしています。最下位のフィリピンは、「戦争と平和」、「個人の安全」といったポイントが低く、さらに「自然災害での有病率が高い」と記されています。この「自然災害での有病率」に関して調べてみたところ、フィリピンは2012年に1回の台風被害で1000人以上が死亡、70万世帯以上が住む場所を失い、この時の被害総額は約9億ドルに上ったとのことでした。また、フィリピンの感染症統計データ(2017年)を見ると、結核罹患率は194カ国中3位、風疹発症件数187カ国中2位です。また他の感染症に関しても比較的高い位置にいます。こういった状況を反映しているのではないかと考えられます。

 また127位のイエメンは戦争と飢饉が大きくランキングに影響していますが、自然災害は非常に少なく、この点でフィリピンよりは上に位置しているとのこと。ただし、このレポートでは、シリア、イラク、アフガニスタンといった国は含まれていません。これは分析に必要なデータが入手不可能であることが理由です。

 こういったさまざまな世界各国の状況を比較してみると、日本は自然災害のリスクが、比較的高いとはいえますが、かなり安全な国だといえるでしょう。

<参考サイト>
・World's Safest Countries 2019
https://www.gfmag.com/global-data/non-economic-data/worlds-safest-countries-2019
・GLOBAL NOTE:フィリピンの病気・感染症統計データ
https://www.globalnote.jp/post-2721.html?cat_no=127
国連開発計画(UNDP)駐日代表事務所:自然災害の影響を軽減する:フィリピン
http://www.jp.undp.org/content/tokyo/ja/home/ourwork/climateandresilience/successstories2/Success_Story_11.html
(10MTV編集部)

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