社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
世界一「肥満が多い」国はどこなのか?
世界で一番肥満の人が多い国はどこだと思いますか? ファストフードが豊富なアメリカと思う人も多いかもしれませんが、実はアメリカが肥満トップクラスというわけではありません。CIA(アメリカ中央情報局)が191の国と地域の肥満率をまとめた情報によると、アメリカは24位に留まっていることが分かります。上位3位に名前を連ねたのはアメリカ領サモア、ナウル、クック諸島などの南の島国だったのです。
実はランキング上位10国のうち9国は島国。かつては自給自足が基本の質素な生活をしていた島国が、食の欧米化によって肥満人口が増加したという例は少なくありません。こうした国に暮らす人びとはもともと多くのカロリーを摂取しない生活だったために、遺伝的に肥満になりやすい体質を持っていることも大きな要因のひとつです。
しかし、粗食が基本の日本人も食の欧米化によって太りやすくなってはいるはずですが、日本の肥満度は約5%で191か国中156位と、ランキングのかなり下位に位置しています。ここで見られるのは価値観の違いで、日本は痩せ型の方が良いという風潮がありますが、ランキング上位の国では太っていることが富や豊かさを象徴することもあり肥満がポジティブに受け入れられる傾向にあるのです。
しかし、肥満が増えすぎたことで国民の健康が害される問題も起きていて、肥満を減少させるためにさまざまな取り組みを行っている国もあります。
また、ノルウェーやアメリカの一部、タイやインドが導入している砂糖税も肥満対策の一環。清涼飲料水など砂糖が含まれている食品に税金を課すことで、なるべく抑制しようというものです。実際、メキシコでは砂糖税の導入によってソフトドリンクの売上が減少していて、一定の結果が出ているといわれています。
貧困地域では食事にお金をかけられないため、子どもの頃に充分な栄養を得られず発育に影響を及ぼすことも少なくありません。それが飢餓の問題を招いているのも事実ですが、そんな幼少時代を過ごしてしまうと代謝機能がおかしくなり、食べ過ぎや運動不足で肥満になりやすくなってしまいます。この悪循環が世代を超えて続き、負の連鎖を断ち切れずにいることが、今もなお大きな問題になっているのです。
いま世界的に深刻な問題となっている肥満。私たちを取り囲む環境は油断すると肥満になってしまうリスクが高くなっていますが、肥満になってしまうと病気のリスクも高まってしまいます。日々の生活の中で肥満にならないように気を付けるようにしましょう。
世界一肥満が多い国はどんな国?
ランキングトップのアメリカ領サモアは太平洋に浮かぶ小さな島国ですが、2007年時点の成人肥満率は74.6%と、世界で一番肥満が多い国といわれています。それはポリネシア人がもともと太りやすいこと、野菜や魚を中心とした食事から欧米の食文化が変化したことが大きな理由なのです。実はランキング上位10国のうち9国は島国。かつては自給自足が基本の質素な生活をしていた島国が、食の欧米化によって肥満人口が増加したという例は少なくありません。こうした国に暮らす人びとはもともと多くのカロリーを摂取しない生活だったために、遺伝的に肥満になりやすい体質を持っていることも大きな要因のひとつです。
しかし、粗食が基本の日本人も食の欧米化によって太りやすくなってはいるはずですが、日本の肥満度は約5%で191か国中156位と、ランキングのかなり下位に位置しています。ここで見られるのは価値観の違いで、日本は痩せ型の方が良いという風潮がありますが、ランキング上位の国では太っていることが富や豊かさを象徴することもあり肥満がポジティブに受け入れられる傾向にあるのです。
しかし、肥満が増えすぎたことで国民の健康が害される問題も起きていて、肥満を減少させるためにさまざまな取り組みを行っている国もあります。
肥満を減らすために
2013年、肥満が深刻化するサモアの航空会社は世界初の「体重別運賃」を導入しました。1kgごとに単価を設定して乗客と荷物の重さで航空券の価格が決まるという、肥満に歯止めをかけるビジネスを始めたのです。痩せれば運賃も安くなるこの試み、少しでも痩せて運賃を節約したいという倹約心をくすぐるユニークな試みといえるでしょう。また、ノルウェーやアメリカの一部、タイやインドが導入している砂糖税も肥満対策の一環。清涼飲料水など砂糖が含まれている食品に税金を課すことで、なるべく抑制しようというものです。実際、メキシコでは砂糖税の導入によってソフトドリンクの売上が減少していて、一定の結果が出ているといわれています。
貧困地域で深刻化する肥満も
肥満が多い国で肥満を減らしていこうという動きがある中、見過ごしてはいけない深刻な問題があります。多くの貧しい途上国では、飢餓が深刻な問題と思われがちですが、その一方で肥満も課題となっているのです。貧困地域では食事にお金をかけられないため、子どもの頃に充分な栄養を得られず発育に影響を及ぼすことも少なくありません。それが飢餓の問題を招いているのも事実ですが、そんな幼少時代を過ごしてしまうと代謝機能がおかしくなり、食べ過ぎや運動不足で肥満になりやすくなってしまいます。この悪循環が世代を超えて続き、負の連鎖を断ち切れずにいることが、今もなお大きな問題になっているのです。
いま世界的に深刻な問題となっている肥満。私たちを取り囲む環境は油断すると肥満になってしまうリスクが高くなっていますが、肥満になってしまうと病気のリスクも高まってしまいます。日々の生活の中で肥満にならないように気を付けるようにしましょう。
<参考サイト>
・世界・成人の肥満率ランキング(CIA版)│世界ランキング
http://top10.sakura.ne.jp/CIA-RANK2228R.html
・世界初!肥満の人が多い国サモア航空が、体重別運賃を導入│なんとかしなきゃ!プロジェクト
https://www.jica.go.jp/nantokashinakya/sekatopix/article0104/
・肥満と飢餓の「深い関係」│国連WFP
https://ja.news.wfp.org/18-45-86e4da49faec
・砂糖税、チョコレート税、ジャンクフード税ーー世界の「肥満拡散」は防げるのか?│AMP
https://amp.review/2018/07/09/sugar-tax-2/
・世界・成人の肥満率ランキング(CIA版)│世界ランキング
http://top10.sakura.ne.jp/CIA-RANK2228R.html
・世界初!肥満の人が多い国サモア航空が、体重別運賃を導入│なんとかしなきゃ!プロジェクト
https://www.jica.go.jp/nantokashinakya/sekatopix/article0104/
・肥満と飢餓の「深い関係」│国連WFP
https://ja.news.wfp.org/18-45-86e4da49faec
・砂糖税、チョコレート税、ジャンクフード税ーー世界の「肥満拡散」は防げるのか?│AMP
https://amp.review/2018/07/09/sugar-tax-2/
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
より深い大人の教養が身に付く 『テンミニッツTV』 をオススメします。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。
『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
宇宙とは何かを考えるうえで中国の古典である『荘子』・『淮南子(えなんじ)』に由来する「宇宙」という言葉が意味から考えてみたい。続いて、地球から始まり、太陽系、天の川銀河(銀河系)、局所銀河群、超銀河団、そして大...
収録日:2020/08/25
追加日:2020/12/13
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
「歴史を探索していく」とは、どういうことなのだろうか。また、「歴史を活かしていく」とはどういうことなのだろうか。歴史作家の中村彰彦氏に、歴史を探り、活かしていく方法論を、具体的に教えてもらう本講義。第一話は、歴...
収録日:2025/04/26
追加日:2025/11/14
脳内の量子的効果――ペンローズ=ハメロフ仮説とは
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(2)量子論と空海密教の本質
「ワット・ビット連携」の概念がある。これは神経と血管の関係にも似ており、両者が密接に関係するところから、それをもとに人間の本質について考察していくことになる。また、中村天風の思想から着想を得て、人間の心には霊性...
収録日:2025/03/03
追加日:2025/11/13
なぜ伝わらない?理解の壁の正体を今井むつみ先生に学ぶ
編集部ラジオ2025(27)なぜ何回説明しても伝わらない?
「何回説明しても伝わらない」「こちらの意図とまったく違うように理解されてしまった」……。そんなことは、日常茶飯事です。しかしだからといって、相手を責めるのは大間違いでは? いやむしろ、わが身を振り返って考えないと...
収録日:2025/10/17
追加日:2025/11/13
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」という現象は起こるのか。対人コミュニケーションにおいて誰もが経験する理解や認識の行き違いだが、私たちは同じ言語を使っているのになぜすれ違うのか。この謎について、ベストセラー『「何...
収録日:2025/05/12
追加日:2025/11/02


