社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2019.10.14

マンション購入希望者の「住みたい街ランキング」

 マンションを買う決め手はいくつかありますが、一番は「その街に住みたいかどうか」ではないでしょうか。ということでここでは、マンションの購入希望者の「住んでみたい街」ランキングを、首都圏と関西圏に分けて見てみましょう。ちなみにこのアンケートは、住友不動産や三井不動産レジデンシャルなどマンション分譲大手7社が2019年7月23日から8月4日に実施したものです。対象は20歳以上の男女で、方法はインターネット調査。2896人が回答しています。

首都圏ランキング1位は「恵比寿」

 首都圏での人気トップは「恵比寿」となりました。しかも5年連続です。続く2位は2年連続で「品川」、3位は、昨年4位だった「目黒」です。目黒は2005年の調査開始以来、初めてのトップ3入りとのこと。1位2位は変わらず、3位の目黒はぐいぐいと順位を上げてきています。ちなみに4位は「自由が丘」、5位は吉祥寺、以下、「二子玉川」「表参道」「横浜」「中目黒」「広尾」の順番となっています。

 いわゆるセレブ的な街が並んでいます。選んだ理由を詳しく見てみると、トップ3を通して「交通の便がよいから」がトップとなっています。このあたりは、災害があった時の移動に関する問題や、過密化する都市での交通手段を多く確保しておきたいという気持ちも働いているのかもしれません。1位「恵比寿」を選んだそのほかの回答で上位は、「おしゃれだから」「高級感があるから」といったものがあります。

 2位の「品川」を選ぶ理由は「今後の発展が期待できるから」というポイントが他と少し違った回答です。「品川」はすでにかなり開発、整備されてきたエリアですが、最近では山手線「高輪ゲートウェイ駅」がすぐ近くにできました。また、2027年には品川を始発駅として名古屋までリニア新幹線が走ることが想定されています。また品川駅は羽田空港からも近い場所にあります。つまり、品川駅を中心として交通網が整備されようとしています。

 3位の「目黒」は「日常の生活に便利だから」「安心、安全感があるから」といったところが、ほかの街とちょっと違った回答でしょうか。「目黒」は特に女性の人気が高いようです。共働き世帯が仕事と子育てを充実させる分には「目黒」はいい選択肢なのかもしれません。また、「目黒」の魅力には、生活の便利さと安心・安全感が入っているので、独身の女性にとっても住みやすい街というイメージはあるのではないでしょうか。

関西圏でのトップは「西宮北口」

 関西圏のランキングは、「西宮北口」が4年連続トップです。2位は「梅田・大阪」、3位は昨年4位から上がってきた「岡本」がランクインしています。以下、4位は夙川(しゅくがわ)、5位宝塚。以降は、「千里中央」「御影」「芦屋」「神戸三宮・三ノ宮」「芦屋川」となっています。1位2位を選んだ理由は「交通の便がよいから」「商業施設が充実しているから」「日常の生活に便利だから」というところでほぼ共通しています。

 3位の「岡本」はやや1位2位とは違った理由のようです。理由のトップは「街並みがきれいだから」とのこと。ほかにも「閑静な街並みだから」「安全、安心感があるから」といった理由があがっています。岡本は神戸市東灘区にある阪急電鉄の駅で、静かな住宅街です。三ノ宮や大阪といったエリアへのアクセスも便利。文教地区に指定され周辺に大学も多く、活気があって治安もいい街です。ファミリー層から学生層までさまざまな人が住んでいます。

 もちろん、ここに挙がっている街はおおよそどこも大人気のエリアなので、生活費が高くつくことは想像に難くありません。需要が高ければ家賃なども上がってしまいます。理想を手に入れるにはそれだけの代償が必要ということでしょう。ただし、こういった情報をよく見ることで、私たちが生活する街に何を望んでいるのか、どういうライフスタイルを求めているのかといった、この時代に生きる私たちの価値の在り方が見えてくるかもしれません。

<参考サイト>
・メジャーセブンのマンショントレンド調査 Vol.30|MAJOR7
http://www.sumitomo-rd.co.jp/uploads/20190926_release_MAJOR7_Vo30.pdf
・リニア始発・品川駅はどう変わる?交流拠点の将来像|インベストオンライン
https://invest-online.jp/news/smr18-11058/
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
「学ぶことが楽しい」方には 『テンミニッツTV』 がオススメです。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。 『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

日本でも中国でもない…ラストベルトをつくった張本人は?

日本でも中国でもない…ラストベルトをつくった張本人は?

内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か

アメリカは一体どうなってしまったのか。今後どうなるのか。重要な同盟国として緊密な関係を結んできた日本にとって、避けては通れない問題である。このシリーズ講義では、ほぼ1世紀にわたるアメリカ近現代史の中で大きな結節点...
収録日:2025/09/02
追加日:2025/11/10
2

知ってるつもり、過大評価…バイアス解決の鍵は「謙虚さ」

知ってるつもり、過大評価…バイアス解決の鍵は「謙虚さ」

何回説明しても伝わらない問題と認知科学(3)認知バイアスとの正しい向き合い方

人間がこの世界を生きていく上で、バイアスは避けられない。しかし、そこに居直って自分を過大評価してしまうと、それは傲慢になる。よって、どんな仕事においてももっとも大切なことは「謙虚さ」だと言う今井氏。ただそれは、...
収録日:2025/05/12
追加日:2025/11/16
今井むつみ
一般社団法人今井むつみ教育研究所代表理事 慶應義塾大学名誉教授
3

「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ

「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ

「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造

宇宙とは何かを考えるうえで中国の古典である『荘子』・『淮南子(えなんじ)』に由来する「宇宙」という言葉が意味から考えてみたい。続いて、地球から始まり、太陽系、天の川銀河(銀河系)、局所銀河群、超銀河団、そして大...
収録日:2020/08/25
追加日:2020/12/13
岡朋治
慶應義塾大学理工学部物理学科教授
4

日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは

日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは

歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本

「歴史を探索していく」とは、どういうことなのだろうか。また、「歴史を活かしていく」とはどういうことなのだろうか。歴史作家の中村彰彦氏に、歴史を探り、活かしていく方法論を、具体的に教えてもらう本講義。第一話は、歴...
収録日:2025/04/26
追加日:2025/11/14
5

なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために

なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために

エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如

現代社会にとって空海の思想がいかに重要か。AIが仕事の仕組みを変え、超高齢社会が医療の仕組みを変え、高度化する情報・通信ネットワークが生活の仕組みを変えたが、それらによって急激な変化を遂げた現代社会に将来不安が増...
収録日:2025/03/03
追加日:2025/11/12