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DATE/ 2019.12.04

増加する近視…失明以外にも増えるリスクとは?

 「都内小学生の約80%、中学生の約95%が近視…」。慶應大学医学部眼科学教室の調査により、驚きの事実が明かされました。メガネやコンタクトで矯正すれば良いかといえば、そんな簡単なことではありません。緑内障や網膜剥離など目の病気を併発する恐れがあるだけでなく、うつ病や認知症のリスクも増えるという研究もされているのです。

小学生~高校生の視力は悪化の一途

 遠くが見えづらくなる近視は、一般的には眼球が伸び、焦点の合う位置がずれてしまうことで発生します。文部科学省の学校保健統計調査によると、小学生、中学生、高校生、それぞれ裸眼視力1.0未満の割合が過去最悪の数字になっています(小学生は32.46%、中学生は56.33%、高校生は62.30%)。以前に比べてスマホやゲーム機などの画面を長時間見るライフスタイルが近視の増加の要因になっているという指摘もあります。

 近視の中でも特に程度の強い強度近視になると、10センチ先を見るのも困難になるほど。アイルランドのフリッツクラウト氏の研究によると、この強度近視の患者が緑内障になる可能性は近視がない人に比べて3.3倍、網膜剥離は21.5倍にもなるそうです。

 そうした目に関わる合併症だけでなく、認知症を引き起こすという調査もあります。奈良県立医科大学が3000人を対象に行った研究によると、視力が良いグループに比べ、矯正視力が0.7未満のグループは認知症が疑われる割合が2.6倍になったとのことです。明確な因果関係については今なお調査中ですが、目から得る情報が少ないことで、脳への刺激が減ることが要因と考える向きもあります。

世界で増加する近視 2050年には50億人?

 近視が増えているのは日本だけではありません。全世界的な傾向で、オーストラリアのブライアン・ホールデン資格研究所は、2050年までに約50億人が近視になり、10億人が失明する可能性がある、と発表しました。そうした流れの中で、近視を防ぐ、あるいは進行を抑制するにはどうすれば良いのでしょうか?

 太陽光に含まれている「バイオレットライト」が近視進行の抑制に効果あり。慶應大学医学部の研究チームが画期的な調査結果を発表したのです。このバイオレットライトの恩恵を授かるには、屋外活動を1日2時間以上することがポイント。太陽が出ていなくても、くもりの日でも問題ないとのことです。屋外で2時間活動するのが難しければ、窓際で過ごすことでも効果が得られるのだとか。

 まだ商品化されていませんが、JINSがバイオレットライトを発して近視の進行を抑制するメガネを開発中です。スマホやパソコンなど身近なテクノロジーの進化によって近視が増えている一方で、近視を防ぐテクノロジーや研究も日々行われているのです。

<参考サイト>
・小中学生の近視増加傾向への警鐘-都内小学生の約80%、都内中学生の約95%が近視-:[慶應義塾]
https://www.keio.ac.jp/ja/press-releases/2019/8/19/28-59721/
・深刻化する子どもの近視スマホなどの長時間使用は避けて|医療ニュース トピックス|時事メディカル
https://medical.jiji.com/topics/1072
・学校保健統計調査-平成29年度(確定値)の結果の概要:文部科学省
http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa05/hoken/kekka/k_detail/1399280.htm
・近視が失明を招く!?「日光」を利用した意外な予防方法とは? | NHK健康チャンネル
https://www.nhk.or.jp/kenko/atc_1090.html
・1 billion people at risk of blindness by 2050
https://bhvi.org/news/item/57-1-billion-people-at-risk-of-blindness-by-2050.html
・紫光(バイオレットライト)の成人強度近視に対する近視進行抑制の可能性 鳥居秀成、根岸一乃(眼科)|KOMPAS
http://kompas.hosp.keio.ac.jp/sp/contents/medical_info/science/201806.html
・近視治療│ドクターサロン63巻03月号(2.2019)
https://www.kyorin-pharm.co.jp/prodinfo/useful/doctorsalon/upload_docs/190363-1-32.pdf
・JINS、バイオレットライトで近視進行抑制するメガネ。医療機器承認目指す - Impress Watch
https://www.watch.impress.co.jp/docs/news/1200742.html
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