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DATE/ 2020.04.01

週2のみの結婚生活?多様化する結婚の形とは

 かつては結婚すれば女性は家庭に入るのが当たり前でしたが、女性の社会進出によって共働き世帯が増えてきたように、結婚のスタイルは時代によって変化し続けています。最近では、結婚=同じ家に住んで生活を共にするというイメージに当てはまらない、自由な結婚のスタイルも広がりつつあります。今回はそんな多様化する結婚の形を紹介していきましょう。

週末だけ一緒に過ごす「週末婚」

 結婚はしているけれど会うのは週末だけという「週末婚」。それぞれの勤務先の都合で一緒に住めない共働き夫婦や単身赴任など、特別な事情がなくても週末だけ一緒にいることを選ぶ夫婦も増えているんだとか。そのスタイルを選んだ夫婦の声をまとめてみました。

「転勤が多い夫についていって仕事をコロコロ変える自分のキャリアを犠牲にするよりも、今の仕事を続けたいと思って」
「毎日顔を合わせるよりも週末だけ会う方が相手を大事にできるし、新鮮さが続く」

 結婚して同居をはじめると、どうしても自分の時間を犠牲にしたり、相手へのときめきが薄れてしまうのはやむをえないこと。その観点を大事にしたい夫婦にとっては良い選択肢なのかもしれません。ただし、別々の生活をするということは経済的負担も増えるということ。それぞれが自立していることが週末婚の最低条件といえるでしょう。

まるでルームシェアのような「共生婚」

 同居はしているけれど、部屋も食事も別々で顔を合わせることも滅多にない。それぞれが自分のペースで共同生活をするのが「共生婚」という結婚の形です。ルームシェアのようなゆるい関係で結ばれた夫婦の在り方に賛同する声も増えているといいます。

「旦那さんと生活時間帯がズレるので、それぞれ自分のことは自分でやった方が効率的」
「結婚して周りを安心させたいけど、自分の生活ペースは崩したくない。その考えが一致した人となら良いと思う」

 共生婚を選ぶ人は「子どもが欲しいとは思わない」という意見を持っている人が多いようです。家庭を築くというよりも、世間からの目や老後への不安などのマイナス要素を和らげる意味合いが強いのかもしれません。中には孤独死が怖くて好きでもない人と共生婚をしたという人も。合理的な結婚の形のひとつともいえるのかもしれません。

法律に縛られない「事実婚」

 週末婚、共生婚は結婚生活のスタイルの紹介でしたが、近年ではそもそも婚姻届を出さない「事実婚」を選ぶ夫婦も増えています。事実婚とは婚姻届を出していないものの、その生活は法律婚している夫婦とは変わらないもの。法律には縛られずに自分たちの考える結婚の形を実現したい夫婦の新しい選択肢となっています。

「旧姓で重ねてきたキャリアを崩したくなくて、姓を変えないために事実婚を選んだ」
「どちらかの家に入らなければいけない、という古い考え方に反対だから。」

 事実婚の最大のメリットは夫婦別姓を実現できること。一方で、法律婚に比べて権利が制限される部分もありますが、離婚のときに慰謝料が請求できたり社会保険では夫婦と見なされたり、法律婚と同等の扱いをしている場合も少なくありません。ただし子どもが生まれたときは婚外子となり親権は母親のみになるので、子どもの誕生をきっかけに法律婚をする夫婦が多いようです。

自立したふたりが選ぶ新たな選択肢

 さまざまな結婚の形が増えた背景には、女性の社会進出による共働き夫婦の増加や価値観の多様化を見ることができます。上記の他にも「通い婚」や「別居婚」などさまざまな結婚の形で幸せに暮らしている夫婦がいます。今後、このような結婚の形を選ぶ人は増えていくのではないでしょうか。
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橋爪大三郎
社会学者 東京科学大学名誉教授 大学院大学至善館教授
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今井むつみ
一般社団法人今井むつみ教育研究所代表理事 慶應義塾大学名誉教授