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世界のIT技術者の給与ランキング
ヒューマングループを母体とする人材派遣会社ヒューマンリソシアが、世界のITエンジニアについての調査結果を、「92カ国をデータで見みるITエンジニアレポートvol.2 世界各国のIT技術者給与まとめ」として発表しています。2020年には36.9万人、2030年には78.9万人不足すると言われている日本のIT人材。その実態はどうなっているのでしょうか。
vol.1の調査で発表された世界で働くIT技術者数は、推計2136万5千人。地域別にみると、中国、インドといったIT大国を擁するアジア・オセアニア地域が最も多く811.6万人、次いで北米(米国)が477.6万人、西ヨーロッパが295.9万人と続きます。
割合でみると、世界のIT技術者の約4割がアジア・オセアニア地域で就業、2割強が北米で就業。東ヨーロッパや半牧ヨーロッパを含めたヨーロッパ全体のIT技術者は、世界の約3割を占めています。残る1割を中南米(6.1%)、中央・西アジア(1.9%)、アフリカ(1.4%)が分け合っている状況です。 国・地域別に見ると、米国(477.6万人)、中国(227.2万人)、インド(212万人)についで、日本は4位の109万人、5位イギリス(93.3万人)、6位ロシア(88.7万人)、7位ドイツ(94.1万人)と並んでいきます。
それぞれの国の全人口に占めるIT技術者の割合で見ると、最も高いのはアイルランドの2.00%、ついでスウェーデンの1.92%と北欧勢が続きます。世界一IT技術者数の多いアメリカは1.47%で9位、中国は0.16%で67位、インドも0.16%で70位にとどまっています。日本は0.86%で32位、アジア圏では韓国、シンガポール、香港に続く割合です。
世界で4番目にIT技術者の多い日本は18位(42,464USドル)、スイスや米国のおよそ半額の給与で頑張っていることが分かります。ほぼ同レベルなのが19位フランス(42,384USドル)や20位香港(41,287USドル)。アジアではシンガポールが世界10位(51,929USドル)の稼ぎ頭となっています。 IT技術者に限らず情報通信業で就業している人の給与は、1位スイス(117,084USドル)、2位米国(93,920USドル)、3位デンマーク(91,272USドル)となっています。日本は19位(40,968USドル)で、20位韓国(40,860USドル)とほぼ肩を並べています。
IT人材不足が憂慮されている日本の給与伸び率は20位(5.9%)で、日本人給与所得者全体の伸び率1.9%よりは高値を示しています。これは先進国の中では比較的高いものの、給与額自体は欧米より低い水準なので、微妙な結果といえるでしょう。
「きつい」「帰れない」などワークライフバランスの点で若者から敬遠されるIT業界がもう一つのKとして「給料が安い」を払拭しないと、政府が望むようなIT技術者へのあこがれは醸成できなさそうな状況です。
でもなぜ、日本のIT技術者は低いサラリーしかもらえないのでしょうか。ITエンジニアの仕事は体力勝負であるだけでなく、常に新技術をキャッチアップする必要があります。IT業界では「SE35歳定年」説がまことしやかにささやかれますが、ある程度の年齢になると管理部門に移動することが多いから給料が低水準なのだとも言われます。
テレワークやリモートワークなどの働き方が増えてきた現在、IT技術者の給与も見直しの時期に入っているのかもしれません。
IT技術者数の多いトップ3は米中インド
今回の調査は、2020年3月に発表された「92カ国をデータで見みるITエンジニアレポートvol.1 世界各国のIT技術者数まとめ」の第二弾。世界92の国と地域を対象にデータ収集を行い、国際労働機関(ILO)、経済協力開発機構(OECD)、国際連合教育科学文化機関(UNESCO)の公表データを加味したものです。世界人口の84%以上をカバーしたグローバルレポートを見ていきましょう。vol.1の調査で発表された世界で働くIT技術者数は、推計2136万5千人。地域別にみると、中国、インドといったIT大国を擁するアジア・オセアニア地域が最も多く811.6万人、次いで北米(米国)が477.6万人、西ヨーロッパが295.9万人と続きます。
割合でみると、世界のIT技術者の約4割がアジア・オセアニア地域で就業、2割強が北米で就業。東ヨーロッパや半牧ヨーロッパを含めたヨーロッパ全体のIT技術者は、世界の約3割を占めています。残る1割を中南米(6.1%)、中央・西アジア(1.9%)、アフリカ(1.4%)が分け合っている状況です。 国・地域別に見ると、米国(477.6万人)、中国(227.2万人)、インド(212万人)についで、日本は4位の109万人、5位イギリス(93.3万人)、6位ロシア(88.7万人)、7位ドイツ(94.1万人)と並んでいきます。
それぞれの国の全人口に占めるIT技術者の割合で見ると、最も高いのはアイルランドの2.00%、ついでスウェーデンの1.92%と北欧勢が続きます。世界一IT技術者数の多いアメリカは1.47%で9位、中国は0.16%で67位、インドも0.16%で70位にとどまっています。日本は0.86%で32位、アジア圏では韓国、シンガポール、香港に続く割合です。
IT技術者給与の1位はスイス、日本の2倍以上
さて、いよいよIT技術者の給与(年収)ランキングです。トップ3は、1位スイス(92,500USドル)、2位米国(83,389USドル)、3位イスラエル(79,511USドル)となりました。世界で4番目にIT技術者の多い日本は18位(42,464USドル)、スイスや米国のおよそ半額の給与で頑張っていることが分かります。ほぼ同レベルなのが19位フランス(42,384USドル)や20位香港(41,287USドル)。アジアではシンガポールが世界10位(51,929USドル)の稼ぎ頭となっています。 IT技術者に限らず情報通信業で就業している人の給与は、1位スイス(117,084USドル)、2位米国(93,920USドル)、3位デンマーク(91,272USドル)となっています。日本は19位(40,968USドル)で、20位韓国(40,860USドル)とほぼ肩を並べています。
給与の伸び率は?
情報通信業就業者の給与(平均年収)の伸び率はどうでしょうか。国によって比較できる直近データにばらつきがありますが、トップ3は、1位タイ(38.3%増)、2位ラトヴィア(26.4%増)、3位カタール(25.1%増)。いずれも国策としてIT産業が発展する真っ只中、個人のスキルアップが給与に直接結びついているのが、データから伝わってきます。IT人材不足が憂慮されている日本の給与伸び率は20位(5.9%)で、日本人給与所得者全体の伸び率1.9%よりは高値を示しています。これは先進国の中では比較的高いものの、給与額自体は欧米より低い水準なので、微妙な結果といえるでしょう。
「きつい」「帰れない」などワークライフバランスの点で若者から敬遠されるIT業界がもう一つのKとして「給料が安い」を払拭しないと、政府が望むようなIT技術者へのあこがれは醸成できなさそうな状況です。
でもなぜ、日本のIT技術者は低いサラリーしかもらえないのでしょうか。ITエンジニアの仕事は体力勝負であるだけでなく、常に新技術をキャッチアップする必要があります。IT業界では「SE35歳定年」説がまことしやかにささやかれますが、ある程度の年齢になると管理部門に移動することが多いから給料が低水準なのだとも言われます。
テレワークやリモートワークなどの働き方が増えてきた現在、IT技術者の給与も見直しの時期に入っているのかもしれません。
<参考サイト>
・ヒューマンリソシア:世界のIT技術者の給与ランキング
https://git.resocia.jp/info/post-developers-around-the-globe-survey-salary/
・ヒューマンリソシア:世界のIT技術者の給与ランキング
https://git.resocia.jp/info/post-developers-around-the-globe-survey-salary/
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