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ネットビジネスに誘われやすい人の特徴
コロナ禍は人の集まる業種を直撃し、多くのバイト難民を生んだ一方で、悪徳ネットワークビジネスを副産物としている、と言われます。「スキマ時間で楽しく稼げる」といった誘い文句は、バイト先を失った学生や主婦をターゲットとして、新しげな展開を見せています。ハマると怖いネットワークビジネスについて、どんな仕組みなのか、どんな人がネラわれやすいのか、調べてみました。
具体的には、「このグループに属すると売値の3割引で商品を買える。誰かを誘って売れば差額はあなたの利益」とか「さらに誰かを勧誘して入会させると、一人1万円の紹介料がもらえる」などといって人を勧誘し、商品代金以外の負担を負わせるもの。会員を多段階式に増やすのが目的ですから、本来の商品代金の値引きを持ちかけられることもあります。「規定は3割引だけど、あなただから半値にする」、ひどい時は「無料でいい」などということも。
扱う商品は化粧品、健康食品(サプリメント)、健康器具などが中心で、通信機器や情報機器のほか、投資や副業で儲かるノウハウやシステムを教えるための実体のない情報商材であるケースも増えてきました。これらの共通点は「知っている人だけがトクをする(痩せる、シミが消える、ガンが治るetc.)抜け穴がある」とささやいてくるところ。「知らなかったワタシだけが損をしてた?」と、人間の心の弱点を突いてたくみに勧誘し、金銭的損害だけでなく、その人が築いてきた人間関係までボロボロにしてしまうのが、ネットワークビジネスの特徴です。
途中で気づかれた方も多いと思いますが、これはアメリカの心理学者アブラハム・マズローが提唱した「欲求5段階説」。そして、この5段階の欲求を徹底的に利用してビジネス展開に結びつけているのがネットワークビジネス(連鎖販売取引、マルチ商法)です。
だから、バイトがなくなって生活に困っている学生には「いいバイトがあるよ」、マイホームを目指して貯蓄を考えている主婦には「楽に稼げるノウハウがある」、生活習慣病に苦しむ人には「NASA(やノーベル賞受賞した科学者など)が開発した新しいサプリ」、定型的な仕事にうんざりしているOLには「もっと輝いてみないか」と誘いかけ、「苦労せずに濡れ手で粟の生活を楽しみ、外車を乗り回して、リッチなブランド品に囲まれ、社会的にも認められている」サクセスフルなセンパイの姿を見せて、「あなたもすぐこちらに来られる」と誘惑するのです。
テキはあらゆる欲求と弱みにつけ込んできます。叔父叔母やいとこといった血縁、職場やサークルの先輩、ご近所の顔役など、ちょっと断りにくい関係を利用するのも得意技。何しろ使えるものは何でも利用します。
ですから、「人の話を素直に聞き入れる」ヒトや、「そもそもマルチ商法・ネズミ講が何なのか知らない」ようなヒトはもっともたやすいターゲットです。地方から都会へ出て、これから新しいライフスタイルを構築していこうとしている大学生や新社会人なども恰好の標的。なぜなら、そういう人たちは「成長したい」という前向きな希望にもえています。成長・前向き・ポジティブは決して悪いことであはありませんが、上にあげた「欲求」をかなえようという行動パターンである分、つけこまれやすいのは残念ながら事実です。
静岡県立大学国際関係学部の津富ゼミが作成した小冊子では、勧誘されやすい人を「お金に余裕がない」「現在の仕事に不満がある」「ビジネスに興味が有る」「友人が多い」と4パターンに分けて解説した上で、「とか言いつつ、誰でも誘われます」とストレートに断定しています。その通りです。
どんなに「あなたは特別だから」と持ち上げられても、誘ってくる人の目にあなたが単なる数や金額ノルマにしか見えていないことを忘れてはいけません。また、「勧誘を断りきれなかったから」「話に乗った自分がバカだったから」と諦めないことも肝心。クーリング・オフや中途解約のルールが定められているので、各地の消費者ホットラインに相談しましょう。
「ネットワークビジネスは合法ですよ」と言うけれど…
ネットワークビジネスはネズミ講と違って合法的なビジネス手法だとよく言われますが、日本国内では特定商取引法によって規制される、いわば監視対象のグレーゾーンといえるでしょう。その定義は「物品販売(または役務提供)の事業」であり、「再販売、受託販売もしくは販売のあっせんをする者を」「特定利益が得られると誘引し」「特定負担を伴う取引(条件等の変更を含む)をするもの、とされています。具体的には、「このグループに属すると売値の3割引で商品を買える。誰かを誘って売れば差額はあなたの利益」とか「さらに誰かを勧誘して入会させると、一人1万円の紹介料がもらえる」などといって人を勧誘し、商品代金以外の負担を負わせるもの。会員を多段階式に増やすのが目的ですから、本来の商品代金の値引きを持ちかけられることもあります。「規定は3割引だけど、あなただから半値にする」、ひどい時は「無料でいい」などということも。
扱う商品は化粧品、健康食品(サプリメント)、健康器具などが中心で、通信機器や情報機器のほか、投資や副業で儲かるノウハウやシステムを教えるための実体のない情報商材であるケースも増えてきました。これらの共通点は「知っている人だけがトクをする(痩せる、シミが消える、ガンが治るetc.)抜け穴がある」とささやいてくるところ。「知らなかったワタシだけが損をしてた?」と、人間の心の弱点を突いてたくみに勧誘し、金銭的損害だけでなく、その人が築いてきた人間関係までボロボロにしてしまうのが、ネットワークビジネスの特徴です。
誘われやすい人にはどんな特徴があるの?
人間には「食べたい、寝たい、快適に生活したい」という生理的欲求に始まり、「お金を貯めたい、病気になりたくない」などの安全欲求、「社会とつながりたい、何かのグループに属したい」という社会的欲求、「みんなに認められたい、リスペクトされたい」という承認欲求、「あるべき自分になりたい」という自己実現欲求の5段階があります。途中で気づかれた方も多いと思いますが、これはアメリカの心理学者アブラハム・マズローが提唱した「欲求5段階説」。そして、この5段階の欲求を徹底的に利用してビジネス展開に結びつけているのがネットワークビジネス(連鎖販売取引、マルチ商法)です。
だから、バイトがなくなって生活に困っている学生には「いいバイトがあるよ」、マイホームを目指して貯蓄を考えている主婦には「楽に稼げるノウハウがある」、生活習慣病に苦しむ人には「NASA(やノーベル賞受賞した科学者など)が開発した新しいサプリ」、定型的な仕事にうんざりしているOLには「もっと輝いてみないか」と誘いかけ、「苦労せずに濡れ手で粟の生活を楽しみ、外車を乗り回して、リッチなブランド品に囲まれ、社会的にも認められている」サクセスフルなセンパイの姿を見せて、「あなたもすぐこちらに来られる」と誘惑するのです。
テキはあらゆる欲求と弱みにつけ込んできます。叔父叔母やいとこといった血縁、職場やサークルの先輩、ご近所の顔役など、ちょっと断りにくい関係を利用するのも得意技。何しろ使えるものは何でも利用します。
ですから、「人の話を素直に聞き入れる」ヒトや、「そもそもマルチ商法・ネズミ講が何なのか知らない」ようなヒトはもっともたやすいターゲットです。地方から都会へ出て、これから新しいライフスタイルを構築していこうとしている大学生や新社会人なども恰好の標的。なぜなら、そういう人たちは「成長したい」という前向きな希望にもえています。成長・前向き・ポジティブは決して悪いことであはありませんが、上にあげた「欲求」をかなえようという行動パターンである分、つけこまれやすいのは残念ながら事実です。
静岡県立大学国際関係学部の津富ゼミが作成した小冊子では、勧誘されやすい人を「お金に余裕がない」「現在の仕事に不満がある」「ビジネスに興味が有る」「友人が多い」と4パターンに分けて解説した上で、「とか言いつつ、誰でも誘われます」とストレートに断定しています。その通りです。
どんなに「あなたは特別だから」と持ち上げられても、誘ってくる人の目にあなたが単なる数や金額ノルマにしか見えていないことを忘れてはいけません。また、「勧誘を断りきれなかったから」「話に乗った自分がバカだったから」と諦めないことも肝心。クーリング・オフや中途解約のルールが定められているので、各地の消費者ホットラインに相談しましょう。
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