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宇宙で「宇宙服」を着ないとどうなる?
人間が宇宙空間へ「宇宙服」を着ないで飛び出すとどうなるのかといえば……、結論からいうと死に至ります。
では、宇宙で「宇宙服」を着ないと人間は死に至るとして……、死因はなに?どのように死んでいくの?――と、新たな疑問が出てきます。
そこで、科学的知見から都市伝説的意見まで、宇宙で「宇宙服」を着ないとどうなるかについて、みていきたいと思います。
「宇宙は真空で大気圧がないから、体が膨張し破裂する!」という死因説は、地上では人体は常に1気圧の圧力を受けているのに対して真空状態の宇宙空間には気圧がないため、「宇宙服」を着ていないと急激な減圧状態に陥り体内にある空気は膨張してしまうから……との見解が背景にあります。しかし、人間の皮膚は非常に優秀で膨張して持ちこたえてくれるため、破裂しないのではないかと考えられています。
・宇宙空間死因説2:瞬間凍結!
「宇宙は絶対零度に近い低温だから、宇宙服を着ないで外に出たら瞬間凍結する!」という死因説は、マイナス270℃という極寒の宇宙空間では、「宇宙服」を着ないと瞬間凍結してしまうから……との見解が背景にあります。しかし、宇宙空間には熱を伝えるために欠かせない空気がないことから、体から熱が奪われて凍死に至るまでにはかなりの時間を要するため、瞬間凍結とはならないと考えられています。
・宇宙空間死因説3:血液沸騰!
「宇宙は真空で血液の沸点が低いから、血液が沸騰する!」という死因説は、気圧が下がると液体の沸点も下がりより低い温度で沸騰するから……との見解が背景にあります。しかし、血液は血管の中に閉じ込められ圧力がかかっている血液は、低圧条件にさらされることはなく短時間で沸点が下がることがないため、それ以外の死因で先に死に至ると考えられています。
なぜなら、体が破裂したり、凍死したり、血液や体液が沸騰したりする前に、真空で酸素がない宇宙空間では、酸素欠乏による窒息となって死んでしまうから……と考えられているからです。
では、宇宙空間で窒息死するまでは、どのくらいの時間がかかるのでしょうか。
地球科学コミュニケーター・写真家の渡邉克晃氏は、「宇宙服」を着ないで宇宙空間に飛び出した人間は、(1)0秒後に息が吸えなくなる、(2)10秒後に重度の酸素欠乏症により意識がなくなる、(3)意識を失った後1~2分後に死亡する――という仮説を述べています。
なお、当たり前ですが、宇宙空間死因説の検証実験をすることはできません。また、今後も事故や事件などによって、はからずも検証されるようなことがないように願われます。
ところで、「宇宙服」というと、皆さんはどんなイメージを思い浮かべるでしょうか。「宇宙服」とは、宇宙空間で生命維持を果たすために着用する防護服ですが、一般的にはスペースシャトルや宇宙ステーションの外に出る際に着用する「船外活動ユニット(EMU extravehicular mobility unit)」をさします。
「宇宙服」の構成は、(1)強固なシェル構造で全身を覆う圧力容器となる「宇宙服アセンブリ(SSA space suit assembly)」で全身を覆い、内部の気圧や温度、呼吸条件を確保しつつ、(2)体調の監視や通信機能をもつバックパック「生命維持システム(LSS life support system)」を背部に装着する――となっています。
服というよりもまさに“小型の宇宙船”ともいうべき機能を備えている「宇宙服」ですが、それほどの装備がなければ宇宙で活動をすることも生命を維持することもできません。ちなみに、現在の「宇宙服」は約120kgの重さがありますが、宇宙空間は無重力であるため重さは問題となりません。
いかがでしたでしょうか。民間人の宇宙旅行も可能となった現在ですが、近未来にはもっと一般的になっているかもしれません。ただし、宇宙旅行に出かけ、さらに宇宙空間へ飛び出す際には、必ず「宇宙服」を正しく着用するようにしてください。
では、宇宙で「宇宙服」を着ないと人間は死に至るとして……、死因はなに?どのように死んでいくの?――と、新たな疑問が出てきます。
そこで、科学的知見から都市伝説的意見まで、宇宙で「宇宙服」を着ないとどうなるかについて、みていきたいと思います。
宇宙空間死因説:都市伝説編
・宇宙空間死因説1:体が破裂!「宇宙は真空で大気圧がないから、体が膨張し破裂する!」という死因説は、地上では人体は常に1気圧の圧力を受けているのに対して真空状態の宇宙空間には気圧がないため、「宇宙服」を着ていないと急激な減圧状態に陥り体内にある空気は膨張してしまうから……との見解が背景にあります。しかし、人間の皮膚は非常に優秀で膨張して持ちこたえてくれるため、破裂しないのではないかと考えられています。
・宇宙空間死因説2:瞬間凍結!
「宇宙は絶対零度に近い低温だから、宇宙服を着ないで外に出たら瞬間凍結する!」という死因説は、マイナス270℃という極寒の宇宙空間では、「宇宙服」を着ないと瞬間凍結してしまうから……との見解が背景にあります。しかし、宇宙空間には熱を伝えるために欠かせない空気がないことから、体から熱が奪われて凍死に至るまでにはかなりの時間を要するため、瞬間凍結とはならないと考えられています。
・宇宙空間死因説3:血液沸騰!
「宇宙は真空で血液の沸点が低いから、血液が沸騰する!」という死因説は、気圧が下がると液体の沸点も下がりより低い温度で沸騰するから……との見解が背景にあります。しかし、血液は血管の中に閉じ込められ圧力がかかっている血液は、低圧条件にさらされることはなく短時間で沸点が下がることがないため、それ以外の死因で先に死に至ると考えられています。
宇宙空間死因説……おそらく窒息死
宇宙空間死因説をみていくと、もしも宇宙で「宇宙服」を着なかったとしても、すぐに体が破裂することもなく、瞬間凍結することもなく、短時間で血液が沸騰することもないだろうことがみえてきました。しかし、それでも人間は死に至ります。なぜなら、体が破裂したり、凍死したり、血液や体液が沸騰したりする前に、真空で酸素がない宇宙空間では、酸素欠乏による窒息となって死んでしまうから……と考えられているからです。
では、宇宙空間で窒息死するまでは、どのくらいの時間がかかるのでしょうか。
地球科学コミュニケーター・写真家の渡邉克晃氏は、「宇宙服」を着ないで宇宙空間に飛び出した人間は、(1)0秒後に息が吸えなくなる、(2)10秒後に重度の酸素欠乏症により意識がなくなる、(3)意識を失った後1~2分後に死亡する――という仮説を述べています。
なお、当たり前ですが、宇宙空間死因説の検証実験をすることはできません。また、今後も事故や事件などによって、はからずも検証されるようなことがないように願われます。
「宇宙服」は服ではなく“小型の宇宙船”
以上のようにみていくと、宇宙空間という極めて危険な場所でも人体を保護してくれる「宇宙服」は、非常に高性能で特殊な服ということもみえてきます。ところで、「宇宙服」というと、皆さんはどんなイメージを思い浮かべるでしょうか。「宇宙服」とは、宇宙空間で生命維持を果たすために着用する防護服ですが、一般的にはスペースシャトルや宇宙ステーションの外に出る際に着用する「船外活動ユニット(EMU extravehicular mobility unit)」をさします。
「宇宙服」の構成は、(1)強固なシェル構造で全身を覆う圧力容器となる「宇宙服アセンブリ(SSA space suit assembly)」で全身を覆い、内部の気圧や温度、呼吸条件を確保しつつ、(2)体調の監視や通信機能をもつバックパック「生命維持システム(LSS life support system)」を背部に装着する――となっています。
服というよりもまさに“小型の宇宙船”ともいうべき機能を備えている「宇宙服」ですが、それほどの装備がなければ宇宙で活動をすることも生命を維持することもできません。ちなみに、現在の「宇宙服」は約120kgの重さがありますが、宇宙空間は無重力であるため重さは問題となりません。
いかがでしたでしょうか。民間人の宇宙旅行も可能となった現在ですが、近未来にはもっと一般的になっているかもしれません。ただし、宇宙旅行に出かけ、さらに宇宙空間へ飛び出す際には、必ず「宇宙服」を正しく着用するようにしてください。
<参考文献・参考サイト>
・『人類なら知っておきたい 地球の雑学』(雑学総研著、KADOKAWA)
・「宇宙服」『イミダス2018』(集英社)
・もし宇宙服を着ないで宇宙に放り出されたら?:NASAの超現実的な予測│グラニット
https://watanabekats.com/2769/
・『人類なら知っておきたい 地球の雑学』(雑学総研著、KADOKAWA)
・「宇宙服」『イミダス2018』(集英社)
・もし宇宙服を着ないで宇宙に放り出されたら?:NASAの超現実的な予測│グラニット
https://watanabekats.com/2769/
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