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解けたら1億円!「数学上の未解決問題」とは
数学にも未解決問題がある?
学校で勉強した数学は、イコールできっちり正解が出せる問題ばかりでしたよね。それは、きちんと“証明”された理論を使って問題を解いていたからなのです。実際には、科学で解明できていないことがたくさんあるのと同じように、数学の理論にも解明できていないものがまだたくさんあります。数学の未解決問題のなかには、長い年月をかけて証明されたものもあります。たとえば、1637年にピエール・ド・フェルマーが考えた「フェルマーの最終定理」は、1995年にアンドリュー・ワイルズによって証明されるまで、約350年もかかりました。フェルマーの定理とは、「3以上の自然数nについて、 x^n + y^n = z^n となる自然数の組(x,y,z)は存在しない」というものです。この定理がn=3のときやn=5のときに成り立つことは証明されたのですが、すべての自然数があてはまると証明できなければ解決とは見なされません。これを実現したのがワイルズだったのです。この証明はとても長く難解なので、興味のある方は論文をチェックしてみてください。
最近では、1904年にアンリ・ポアンカレが考えた「ポアンカレ予想」が、約100年後の2006年にグリゴリー・ペレルマンによって証明されました。ポアンカレ予想は3次元球面がどんなかたちをしているかわかるという理論なので、マクロレベルの宇宙からミクロレベルの生命体までさまざまな対象の形状の理解につながると考えられており、証明の実現が期待されていました。実は、このポアンカレ予想は懸賞金がかかっている数学の未解決問題「ミレニアム懸賞問題」のなかで、現在のところ唯一証明が果たされた問題です。
唯一の解決問題でさえ、証明までに約100年もかかったというミレニアム懸賞問題は、ポアンカレ予想を含んで7つあります。どれもポアンカレ予想のように証明を待ち望まれている未解決問題で、ひとつの問題ごとに100万ドル、つまり約1億円の懸賞金がかけられています。
問いを理解するところから難解な懸賞問題
ミレニアム懸賞問題とは、2000年にアメリカ・マサチューセッツ州の研究施設・クレイ数学研究所が選定して懸賞金をかけた、7つの数学未解決問題です。ミレニアムイヤーに発表されたため、“ミレニアム”の名を冠するわけですね。これらの問題はまず主張を理解することさえ難解なものもあります。難易度ごとに分類すると、7つの未解決問題は次のようになります。問いを理解するために専門的な数学の知識が必要になる問題:ヤン-ミルズ方程式と質量ギャップ問題、ホッジ予想、バーチ・スウィンナートン-ダイアー予想(BSD予想)
ある程度の説明があれば専門家でなくても問いを理解できる問題:ナビエ-ストークス方程式の解の存在と滑らかさ、ポアンカレ予想
問い自体は学生でも理解できる問題:リーマン予想、P≠NP問題
ミレニアム懸賞問題のなかでも、特に実際の生活にかかわりが深いと感じやすいものは「ナビエ-ストークス方程式の解の存在と滑らかさ」でしょう。これは、流体(液体や気体など形状を変化できる物質)の運動を表す方程式であるナビエ-ストークス方程式に、一定の条件を与えたときに理解しやすく扱いやすい解が得られるか、または得られないかという問いです。実は、ナビエ-ストークス方程式自体がまだ解明されていないため、「得られるのか、得られないのか」という問いになっています。この問題が証明されれば流体の運動の法則をより効率よく、より高精度に求められる可能性があるため、医療に使う薬品はもちろん、食品や化粧品の開発にも役立つと考えられています。
また、ミレニアム懸賞問題以外にも懸賞金がかかっている未解決問題があります。2021年には音楽ウェブサービスを手掛ける日本の企業・音圧爆上げくんが、「コラッツ予想」に1億2000万円の懸賞金をかけて話題になりました。
1937年にローター・コラッツが考えた「コラッツ予想」は、一定のルール(偶数の場合は半分に割る→奇数の場合は3倍にして1を足す→この手順を繰り返す)で計算を続けると、正の整数は1になるという未解決問題。実際に5や10で計算してみると、最終的に1になることがわかります。スーパーコンピュータの計算では、576京4607兆5230億3423万まで1になると判明しているのですが、この先に1にならない数があるかもしれないので、計算を続けるだけでは証明になりません。しかし、2019年にはテレンス・タオが「ほぼすべての整数で1になる」という論文を発表しており、問題解決への歩みは進んでいます。
きっちりしているようで、実はロマンあふれる数学の世界。興味を持たれた方は、未解決問題の証明にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
<参考サイト>
・naze数gaku 解けそうで解けない!数学の有名な未解決問題まとめ!
https://nazesuugaku.com/mikaiketsumonndaimatome/
・ナゾロジー 小中学生も分かる!簡単そうでも奥深い「数学の未解決問題」3選
https://nazology.net/archives/69619
・ITmediaビジネスオンライン 「懸賞金1億2000万円」音楽系の企業が、数学の未解決問題に なぜ?:84年間未解決「コラッツ予想」
https://www.itmedia.co.jp/business/spv/2107/07/news136.html
・naze数gaku 解けそうで解けない!数学の有名な未解決問題まとめ!
https://nazesuugaku.com/mikaiketsumonndaimatome/
・ナゾロジー 小中学生も分かる!簡単そうでも奥深い「数学の未解決問題」3選
https://nazology.net/archives/69619
・ITmediaビジネスオンライン 「懸賞金1億2000万円」音楽系の企業が、数学の未解決問題に なぜ?:84年間未解決「コラッツ予想」
https://www.itmedia.co.jp/business/spv/2107/07/news136.html
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