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DATE/ 2024.05.22

日本に「地図にない村」は存在するのか

 地図に載っていない、けれどそこに“ある”とされる村落……その存在について知っていますか?

 結論から言えば、そうした村は確かに存在しています。地図に名前がない(なくなった)理由は統廃合された、過疎化や災害等で人が住まなくなったなど事情はさまざまですが、中には都市伝説めいたゾッとするような怪談が残る場所もあり、今日までさまざまな憶測を呼んでいます。

 今回はそんな“地図にない村”をいくつかご紹介します。

殺人事件のあったトンネルの先にある?「犬鳴村」(福岡県)

 2020年2月に『犬鳴村』というホラー映画が公開されました。この映画のモデルとなったのが、福岡県にあるという「犬鳴村」です。

 この犬鳴村はかつて伝染病にかかった人々が押し込められた地域で、激しい差別を受けてきたことから外界からの接触を完全に遮断。村の入口には「これより先、日本国憲法は通用しません」という看板が立てられ、村人は独自の言語を使って生活するようになったといいます。村内には罠がしかけられ、その罠にかかった途端、異常な早さで駆けつけた村人に斬殺されてしまいます。かつて興味本位で村に立ち入ったカップルが殺され、彼らが乗っていた白のセダンが打ち捨てられて残っているとも……。

 ……と、これらは完全な都市伝説ですが、実はこの犬鳴村付近には旧犬鳴トンネル(犬鳴隧道/いぬなきずいどう。現在立ち入り禁止)と、福岡県宮若市と糟屋郡久山町の境に犬鳴峠という場所があり、これらは実在しているのです。特に旧犬鳴トンネルでは1988年に本当の殺人事件が起こっています。それを聞くと、謎めいているはずの村に現実味が増して、よりいっそう恐ろしくなりますよね。

村人の悪霊がさまよう死の村「杉沢村」(青森県)

 犬鳴村とよく似た伝承を持つのが、青森県にあるという「杉沢村」です。この村にも人の立ち入りを警告する看板があり、一度入ったら生きて帰れないといわれているのです。

 昭和の初めごろ、この村に住んでいた一人の青年が突然発狂。一晩で村人全員を殺害したうえ自らも命を絶ちました。杉沢村は全滅し、隣村と併合したことで地図からその名が消えたのです。しかし村の跡地では成仏しきれない霊がさまよい歩き、村に入った者へ容赦なく襲いかかってくるとか……。

 杉沢村については多くの目撃情報が巷にあふれており、テレビで検証番組が放映されたことも。しかしその存在は、当然ながら謎のままです。恐ろしい伝説の数々は、実際に青森県であった「青森新和村リンゴ農家一家8人殺人事件(1953年)」などの大量殺人事件の話に基づいているといわれています。

○○するだけで村八分!住めば地獄の「南馬宿村」(秋田県?)

 「みなみうまやどむら」と読む南馬宿村。秋田県にあるというこの村の特徴は“村八分”の風習が根強く残っていること。無子高齢化が進むこの村の村人は、移住者を表向きは歓迎しているものの、外部からの刺激に対する免疫が全くないため、よほど従順な姿勢を見せない限りよそ者を決して受けつけません。

 南馬宿村の村八分は仲間はずれ程度の生半可なものでは決してなく、しかも村八分にされる理由が非常に一方的で極端。“村の公式ホームページ”には、かつて村八分に遭った多くの移住者の悲惨な末路が紹介されています。その中には、移住者の男性が甘い香りの柔軟剤を使った衣服を身につけていたせいで、その香りが『村の女性を誘惑するためだ』と断定されて村八分に遭い、村の男達に担がれ投げ出され、首の骨を折って死亡した……などという痛ましい事件も。

 ……言うまでもなくこれは完全な都市伝説、というよりイタズラネタで、「南馬宿村」は架空の村です。しかし“村の公式ホームページ”が実際に存在している(しかも唖然とするほどのハイクオリティ)のがややこしいところで、これが情報番組に紹介されたことで一気に知名度が上がり、秋田県庁に問い合わせが殺到。県は大変迷惑したそうです。ちなみに現在はホームページから「秋田県」の名は削除されています。

 ネタとして見る分には大変バカバカしく面白いので(笑)ご興味のある方はぜひ「南馬宿村」のホームページやSNSをのぞいてみてください。ちなみに村長は「重俊」さんとおっしゃるようです。

“八坂集落”の名でおなじみの実在の村「三ツ沢集落」(山梨県)

 物騒な話が続きましたが、最後にここで“本当にある地図にない村”をご紹介しましょう。地図にないのにある、とは矛盾した言い方になりますが、ようは「村としてはあるけれど地図に名前がない」ということです。そういった場所で有名なのが山梨県の「三ツ沢集落」、通称“八坂集落”です。

 ある時期、山梨県の山奥深くにポツンと数軒だけある、周囲から孤立しているような建物群を映した航空写真がネット上に出回りました。そこには地区名を示すであろう「八坂」の名が記載され、村名はありません。実際にGoogleマップで見てみると、確かに建物群が見えるものの村名はなし。そのためこの不思議な建物群をネットユーザーは“八坂集落”と呼び習わし、廃墟と化した村か、危険な無法地帯か……などなど、多くの噂が飛び交いました。

 しかし、実際にここを訪れて調査した人の話によると、ここは道路も敷かれたれっきとした集落で、今は2~3名の方が穏やかに暮らしているとか。そして八坂というのは、マップ上の誤表記。本来は「三ツ沢」という地区名が正しいそうです。しかも近くには「八坂村」という村も実在しているため、この謎の“八坂集落”に行こうとして八坂村を目指し、写真とは似つかぬ場所にたどり着いてしまった……という人も。そのため地図にない場所として、余計にこの集落の存在が際立ってしまったようです。

 山梨県の協力のもと現地取材をしたという人のブログには、三ツ沢集落の成り立ちから村の史跡、実際にそこで暮らす村人の生活などについて、より詳しいことが書かれています。地図にない村というイメージからは想像もつかない、大変内容の濃い心温まる記事となっていますので、ご興味ある方はご覧になってみてくださいね。

 いかがでしたか。地図にない村のそのほとんどは架空の村です。しかしマップやナビを使ってどこにでも行ける時代であるからこそ、我々はそんなミステリアスな存在に心惹かれるのかもしれません。

<参考サイト>
・「犬鳴村」が“日本最恐”と呼ばれる存在になった「納得の理由」(講談社ホームページ)
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/70252?imp=0
南馬宿村ホームページ
https://minamiumayado.com
ちょっとスゴロク 「REPORT - 0411 │折門八坂地区 三ツ沢集落 - 前編」
https://ameblo.jp/6blogs/entry-10932316257.html

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