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地球上で人類が最後に発見した場所とは
15世紀初めから17世紀初めの大航海時代、多くの島々と新大陸が発見されました。しかし、見つからなかった場所があります。それが南極大陸です。そのため南極大陸は、「地球上で人類が最後に発見した場所」といわれています。
さかのぼること南極大陸が発見される約半世紀前の1772~1775年、イギリスの探検航海者クックの第2回航海で初めて南極大陸の周航が行われたといわれています。これにより、南極圏突破がなされ、南極大陸への道が開かれました。以来、未知なる場所に到達するべく、南極探検が行われてきました。
そして1820年、イギリスの海軍士官・ブランスフィールド、アメリカのアザラシ漁師・パーマーがそれぞれ南極半島を望見し、またロシアの提督で南極探検家・ベリングスハウゼンが1819~1821年に南極大陸を周航中に南極大陸沖のアレキサンダー島を発見したと推定されています。これにより、人類史上に南極大陸が発見され得たこととなりました。
ただし、厳密にいうと南極大陸の発見年や第一発見者の特定はできません。なぜなら、南極大陸は全体を厚い氷河で覆われているため(いわゆる「南極氷床」)、遠くから見た物が氷の固まりであるのか、あるいは氷の下の大地である場所、すなわち南極大陸であるかどうかがわからないからです。
そのため、国立極地研究所・総合研究大学院大学名誉教授で極地研究の第一人者として長年にわたり南極研究に携わってきた神沼克伊氏は、南極大陸を地球上唯一の「孤立した大陸」と称しています。
また、前述したように、南極大陸の大部分は、「南極氷床」と呼ばれる平均約2000メートルの厚さの氷床に覆われた、とてつもなく大きな氷塊でもあります。そのため、南極点の年平均気温が約-50℃、最低気温は-80℃を下回るほどの「世界一寒い場所」であり、地球の一大冷源となっています。
ただし、南極大陸の地質構造はウエッデル海とロス海によってくびれた部分を境に、楯状地の東南極(インド洋側)と古生代以後の変動帯の西南極(太平洋側)の2つに大別されているなど、地球の実態や歴史を探るための多様性も秘めています。
以上のような南極大陸の独自かつ厳しい自然環境は、動植物の生態にも大きな影響を与えています。例えば、陸上にはコケ類や地衣類といった下等植物のみが生育するだけです。同様に南極大陸の陸上動物も、コケ類や地衣類の中に生息しているダニの仲間の節足動物のみです。
しかしながら、南極大陸周辺の海洋域の自然環境は陸上よりも恵まれているため、南極大陸周縁にはペンギン(ただし、南極大陸で繁殖するのはコウテイとアデリーのみ)、アザラシやオットセイ、シャチや鳥類なども生育しています。
そこで、世界中の国々が南極大陸の土地や海、資源や利権を取り合って争わないために、南極大陸に関する新しい国際制度を樹立した「南極条約」が締結され、1959年に国際地球観測年の南極観測に参加した12カ国(アルゼンチン・オーストラリア・ベルギー・チリ・フランス・日本・ニュージーランド・ノルウェー・南アフリカ・ソビエト・イギリス・アメリカ)によって署名され、1961年に発効されました。
「南極条約」の骨子を、神沼氏は以下のようにまとめています。
【「南極条約」の骨子】(『あしたの南極学』より)
(1)南極地域は平和的な目的のみに利用する。いかなる軍事的利用も認めない。
(2)国際地球観測年で実現した、科学調査の自由、そのための国際協力は継続する。
(3)科学調査の国際協力を推進するため、計画についての情報交換、科学者の交流、データの交換を推進する。
(4)すべての領土権や領土請求権を条約の期間中は凍結する。
(5)南極大陸における原水爆実験や核物質の廃棄を禁止する。
(6)条約加盟国は自由に他国の基地を査察できる。
「南極条約」の発行によって、南極大陸は地球上の誰もがビザなしで踏み立つことができる、全人類にとって特別で唯一の場所となりました。
南極大陸ではたとえなにか問題が起こったとしても、解決方法は話し合いを通じた平和的解決しかありません。そのため神沼氏は、南極大陸を「政治的パラダイス」と呼んでいます。なお、南極条約の締約国は、2015年10月現在で53カ国となっています。
最初に抑えておきたい大きなポイントは、北極の中心は北極海という海であり、大陸ではないということです。また、北極圏といわれる北極海周辺は、先史時代から人類が活動している場所でもあます。
さらに同じく極寒の地ではあるものの、北極海の中心ともいえる地軸の北端である北極点付近の年平均気温は約-18℃、最低気温約-30℃と、南極に比べると暖かい環境といえます。そのため北極は、南極と比較にならないほど、豊富な動植物が存在しています。
さて、「地球上で人類が最後に発見した場所」でありながら、今なお多くの謎と魅力を秘めた南極大陸はいかがでしたでしょうか。未知の場所である南極大陸を知ることは地球をより深く知ることにつながり、ひいては未来の地球上に起こることへの学びへもつながっています。
地球上最後のフロンティア・南極大陸の発見
「地球上で人類が最後に発見した場所」こと南極大陸は、1820年に発見されといわれています。さかのぼること南極大陸が発見される約半世紀前の1772~1775年、イギリスの探検航海者クックの第2回航海で初めて南極大陸の周航が行われたといわれています。これにより、南極圏突破がなされ、南極大陸への道が開かれました。以来、未知なる場所に到達するべく、南極探検が行われてきました。
そして1820年、イギリスの海軍士官・ブランスフィールド、アメリカのアザラシ漁師・パーマーがそれぞれ南極半島を望見し、またロシアの提督で南極探検家・ベリングスハウゼンが1819~1821年に南極大陸を周航中に南極大陸沖のアレキサンダー島を発見したと推定されています。これにより、人類史上に南極大陸が発見され得たこととなりました。
ただし、厳密にいうと南極大陸の発見年や第一発見者の特定はできません。なぜなら、南極大陸は全体を厚い氷河で覆われているため(いわゆる「南極氷床」)、遠くから見た物が氷の固まりであるのか、あるいは氷の下の大地である場所、すなわち南極大陸であるかどうかがわからないからです。
南極大陸は「孤立した大陸」で「世界一寒い場所」
南極大陸は、地軸の南端である南極点を中心にひろがる、面積約1205万平方キロメートルの大陸です。そして、人類史上人間の定住がない土地であり、他のどの大陸(ユーラシア・アフリカ・南北アメリカ・南アメリカ・オーストラリア)とも違って、他の五大陸から離れた場所に存在しています。そのため、国立極地研究所・総合研究大学院大学名誉教授で極地研究の第一人者として長年にわたり南極研究に携わってきた神沼克伊氏は、南極大陸を地球上唯一の「孤立した大陸」と称しています。
また、前述したように、南極大陸の大部分は、「南極氷床」と呼ばれる平均約2000メートルの厚さの氷床に覆われた、とてつもなく大きな氷塊でもあります。そのため、南極点の年平均気温が約-50℃、最低気温は-80℃を下回るほどの「世界一寒い場所」であり、地球の一大冷源となっています。
ただし、南極大陸の地質構造はウエッデル海とロス海によってくびれた部分を境に、楯状地の東南極(インド洋側)と古生代以後の変動帯の西南極(太平洋側)の2つに大別されているなど、地球の実態や歴史を探るための多様性も秘めています。
以上のような南極大陸の独自かつ厳しい自然環境は、動植物の生態にも大きな影響を与えています。例えば、陸上にはコケ類や地衣類といった下等植物のみが生育するだけです。同様に南極大陸の陸上動物も、コケ類や地衣類の中に生息しているダニの仲間の節足動物のみです。
しかしながら、南極大陸周辺の海洋域の自然環境は陸上よりも恵まれているため、南極大陸周縁にはペンギン(ただし、南極大陸で繁殖するのはコウテイとアデリーのみ)、アザラシやオットセイ、シャチや鳥類なども生育しています。
フロンティアからパラダイスへ「南極条約」
現代でも南極大陸については未だわかっていないことも多く、大陸としてのポテンシャルは未知数ですが、発見され人類の到達を経た時代から世界中から注目を集め、多くの国から領有権を主張されてきました。しかし、南極大陸は人類全体にとって、貴重で大切なかけがえのない場所です。そこで、世界中の国々が南極大陸の土地や海、資源や利権を取り合って争わないために、南極大陸に関する新しい国際制度を樹立した「南極条約」が締結され、1959年に国際地球観測年の南極観測に参加した12カ国(アルゼンチン・オーストラリア・ベルギー・チリ・フランス・日本・ニュージーランド・ノルウェー・南アフリカ・ソビエト・イギリス・アメリカ)によって署名され、1961年に発効されました。
「南極条約」の骨子を、神沼氏は以下のようにまとめています。
【「南極条約」の骨子】(『あしたの南極学』より)
(1)南極地域は平和的な目的のみに利用する。いかなる軍事的利用も認めない。
(2)国際地球観測年で実現した、科学調査の自由、そのための国際協力は継続する。
(3)科学調査の国際協力を推進するため、計画についての情報交換、科学者の交流、データの交換を推進する。
(4)すべての領土権や領土請求権を条約の期間中は凍結する。
(5)南極大陸における原水爆実験や核物質の廃棄を禁止する。
(6)条約加盟国は自由に他国の基地を査察できる。
「南極条約」の発行によって、南極大陸は地球上の誰もがビザなしで踏み立つことができる、全人類にとって特別で唯一の場所となりました。
南極大陸ではたとえなにか問題が起こったとしても、解決方法は話し合いを通じた平和的解決しかありません。そのため神沼氏は、南極大陸を「政治的パラダイス」と呼んでいます。なお、南極条約の締約国は、2015年10月現在で53カ国となっています。
南極の中心は大陸・北極の中心は海
ところで、同じく極地といえる北極ですが、南極との違いはあるのでしょうか。最初に抑えておきたい大きなポイントは、北極の中心は北極海という海であり、大陸ではないということです。また、北極圏といわれる北極海周辺は、先史時代から人類が活動している場所でもあます。
さらに同じく極寒の地ではあるものの、北極海の中心ともいえる地軸の北端である北極点付近の年平均気温は約-18℃、最低気温約-30℃と、南極に比べると暖かい環境といえます。そのため北極は、南極と比較にならないほど、豊富な動植物が存在しています。
さて、「地球上で人類が最後に発見した場所」でありながら、今なお多くの謎と魅力を秘めた南極大陸はいかがでしたでしょうか。未知の場所である南極大陸を知ることは地球をより深く知ることにつながり、ひいては未来の地球上に起こることへの学びへもつながっています。
<参考文献・参考サイト>
・『あしたの南極学』(神沼克伊著、青土社)
・『みんなが知りたい南極・北極の疑問50』(神沼克伊著、サイエンス・アイ新書)
・『北極と南極の「へぇ~」くらべてわかる地球のこと』(中山由美文・写真、秋草愛絵、学研プラス)
・「南極」『日本大百科全書』(小学館)
・「南極大陸」『日本国語大辞典』(小学館)
・「南極大陸」『デジタル大辞泉』(小学館)
・環境省_南極の自然と環境保護
https://www.env.go.jp/nature/nankyoku/kankyohogo/kankyou_hogo/index.html
・『あしたの南極学』(神沼克伊著、青土社)
・『みんなが知りたい南極・北極の疑問50』(神沼克伊著、サイエンス・アイ新書)
・『北極と南極の「へぇ~」くらべてわかる地球のこと』(中山由美文・写真、秋草愛絵、学研プラス)
・「南極」『日本大百科全書』(小学館)
・「南極大陸」『日本国語大辞典』(小学館)
・「南極大陸」『デジタル大辞泉』(小学館)
・環境省_南極の自然と環境保護
https://www.env.go.jp/nature/nankyoku/kankyohogo/kankyou_hogo/index.html
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