社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2023.02.16

二日酔いでの運転は「飲酒運転」になるのか

 飲んだら乗るな、乗るなら飲むなという言葉があるように、飲酒運転は絶対にしてはいけないものです。しかし、一晩寝れば運転しても大丈夫、と思っている人も多いでしょう。お酒が抜け切っていれば問題ないかもしれませんが、二日酔いの状態での運転は飲酒運転にあてはまらないのでしょうか?

 飲んでから一晩寝たし時間が経っていれば運転しても大丈夫だろうと思う人も、二日酔いだとアルコールが体内に残っているのだから飲酒運転に該当するのではと思う人もいるかもしれません。今回は、二日酔いでの運転は飲酒運転になるのかを調べてみました。

飲酒運転の定義とは?

 そもそも飲酒運転は、呼気1リットル中から、0.15mg以上のアルコール濃度が検出された状態での運転を指す「酒気帯び運転」と、アルコール濃度と関係なくまっすぐ歩けない、正常に会話ができないなど明らかに酔っている状態での運転を指す「酒酔い運転」の2種類に分けることができます。いずれかにあてはまると飲酒運転として検挙されてしまいます。

 これまでも飲酒運転で重大な事故が繰り返されてきたため、その罰則や処分は非常に重いものになっています。検出されたアルコール濃度が0.15mg~0.25mgだった場合には免停90日、0.25mg以上だった場合には免許取り消しかつ2年間は再取得できない、そして酒酔い運転の場合は免許取り消しかつ3年間は再取得できないという、非常に重い処分が課されてしまうのです。

二日酔いの状態とは?

 二日酔いとは、簡単にいえばアルコールの分解が追いつかないことで体に不調が現れることです。私たちが摂取したアルコールは、胃や小腸から吸収されて血液にのって全身をめぐり、肝臓で分解されています。肝臓で分解する際には、アルコールをアセトアルデヒドという物質に分解し、そのあとアセテート(酢酸)に分解し排出していく仕組みになっているのです。

 このアセトアルデヒドが人体には有害な物質で、吐き気や頭痛、胸焼けなどの症状を引き起こしてしまいます。つまり、アルコールの摂取量が多すぎて、肝臓でアセトアルデヒドの分解が追いついていないと二日酔いになってしまってこうした症状が現れてしまう、ということなのです。

お酒は寝れば抜ける?

 よく「飲んだあとに仮眠をとったから大丈夫」という人もいますが、アルコールの分解は私たちが思うよりも多くの時間がかかります。例えば、体重60kgの男性が500mLのビールを1本分のアルコールを分解するには、3~4時間がかかります。飲むお酒のアルコール度数や量、体重や体質によって一概にはいえませんが、二日酔いになるほどの量のお酒を飲んで8時間程度の睡眠をとったところで、アルコールが完全に抜けるのは難しいことがわかるでしょう。

二日酔いでは飲酒運転になるのか

 酒気帯び運転かどうかは呼気中のアルコール濃度が基準の0.15mgを上回っているかで判断されますが、上述の通りアルコールの分解には私たちが思うより長い時間がかかります。また、二日酔いでは正しい判断ができなかったりいつもより反応が鈍くなるため、アルコール濃度に関係なく運転するのが危険な状態でもあります。こうしたことから、現在では「二日酔いでの運転は飲酒運転になる」と注意喚起されることも増えてきているのが現状です。

 どうしてもお酒を飲む翌朝に運転をしなければならない場合には、お酒の量をコントロールすること、水を飲んでアルコールの分解を促進することなどを心がけてくださいね。「飲んだら乗るな、乗るなら飲むな」は当日のことだけでなく翌朝もそうだということを覚えておきましょう。

<参考サイト>
・二日酔いの運転は法律違反の可能性大!運転前日の飲み過ぎに注意 | 防災新聞
https://bousai.nishinippon.co.jp/9412/
・みんなで守る「飲酒運転を絶対にしない、させない」|警察庁Webサイト
https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/insyu/info.html
・「二日酔い」状態で運転するのは飲酒運転になる?二日酔いと酒気帯びの関係性とは | MOBY [モビー]
https://car-moby.jp/article/news/hangover/
・二日酔い運転のリスク | 交通事故専門弁護士やまケン
https://www.bengo.gr.jp/5532
・二日酔いの症状・原因|くすりと健康の情報局
https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/health/symptom/38_futsukayoi/
・二日酔いでも酒気帯び運転って知ってた?自分の「アルコール消化能力」を知って対策しよう - 車査定マニア
https://www.kuruma-sateim.com/driving-infraction/hutsukayoi-alcohol/
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
“社会人学習”できていますか? 『テンミニッツTV』 なら手軽に始められます。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。 『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

葛飾北斎と応為…画狂の親娘はいかに傑作へと進化したか

葛飾北斎と応為…画狂の親娘はいかに傑作へと進化したか

葛飾北斎と応為~その生涯と作品(1)北斎の画狂人生と名作への進化

浮世絵を中心に日本画においてさまざまな絵画表現の礎を築いた葛飾北斎。『富嶽三十六景』の「神奈川沖浪裏」が特に有名だが、それを描いた70代に至るまでの変遷が実に興味深い。北斎とその娘・応為の作品そして彼らの生涯を深...
収録日:2025/10/29
追加日:2025/12/05
堀口茉純
歴史作家 江戸風俗研究家
2

夜まとめて寝なくてもいい!?「分割睡眠」という方法とは

夜まとめて寝なくてもいい!?「分割睡眠」という方法とは

熟睡できる環境・習慣とは(4)起きているときを充実させるために

「腸脳相関」という言葉がある。健康には腸内環境が大切といわれるが、腸で重要な役割をしている物質が脳にも存在することが分かっている。「バランスの良い食事」が健康ひいては睡眠にも大切なのは、このためだ。人生は寝るた...
収録日:2025/03/05
追加日:2025/12/14
西野精治
スタンフォード大学医学部精神科教授
3

平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?

平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?

平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想

平和は、いかにすれば実現できるのか――古今東西さまざまに議論されてきた。リアリズム、強力な世界政府、国家連合・連邦制、国連主義……。さまざまな構想が生み出されてきたが、ここで考えなければならないのは「平和」だけで良...
収録日:2025/08/02
追加日:2025/12/08
川出良枝
東京大学名誉教授 放送大学教養学部教授
4

『100万回死んだねこ』って…!?記憶の限界とバイアスの役割

『100万回死んだねこ』って…!?記憶の限界とバイアスの役割

何回説明しても伝わらない問題と認知科学(2)バイアスの正体と情報の抑制

「バイアスがかかる」と聞くと、つい「ないほうが望ましい」という印象を抱いてしまうが、実は人間が生きていく上でバイアスは必要不可欠な存在である。それを今井氏は「マイワールドバイアス」と呼んでいるが、いったいどうい...
収録日:2025/05/12
追加日:2025/11/09
今井むつみ
一般社団法人今井むつみ教育研究所代表理事 慶應義塾大学名誉教授
5

自発性を重んじる――藤田一照師が禅と仏教の心を説く

自発性を重んじる――藤田一照師が禅と仏教の心を説く

禅とは何か~禅と仏教の心(1)アメリカの禅と日本の禅

大学院を中退して禅の道に進み、アメリカ東海岸で18年間禅堂を開いた藤田一照師に、禅と仏教の心について話を聞いていく。アメリカの禅にはすでに百年近い歴史があり、最初に鈴木大拙が伝えたといわれている。その後、一時はカ...
収録日:2024/08/09
追加日:2025/01/13
藤田一照
曹洞宗僧侶