テンミニッツTV|有識者による1話10分のオンライン講義
会員登録 テンミニッツTVとは
社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2023.08.28

「定年後にしてはいけないこと」8選

 定年が視野に入る年齢を迎えると、「定年したら夫婦で旅行三昧したい、ゴルフ通いをしたい」という夢や「毎日どう暮らしたらいいのか、お金は大丈夫か」という不安など、さまざまに老後の暮らしを想像することだと思います。たとえ色々と考えを巡らせていても実際に定年で生活が一変すると、「こんなはずではなかった…」と戸惑ったり後悔することもあるでしょう。その先も長い定年退職後の生活を健康的で充実したものにするためには、定年後に「しない方がいいこと」を知っておくことも大切です。

それ大丈夫? してはいけない定年後8つのあれこれ

1:「煩わしい」と思って人との付き合いを断つ

 社会的なしがらみから解放され自由を満喫するのもいいですが、そのうち出掛けたり人と会うのも面倒になると段々と社会から孤立してしまいます。誰とも話さない、関わらないでいると認知症やうつ、言語や嚥下機能に問題が出てくることも。サークルやカルチャーセンターなど、週に1,2回は家族以外の他人と会話をする機会を作り、情報交換ができるコミュニティを持ちましょう。

2:行動範囲を狭め、運動不足になる

 出社しなくていいとなると行動範囲は近所だけ、歩く時間はどんどん減ってしまいます。まだ体力のあるうちはパートタイムで仕事をしたり、地域の朝のラジオ体操に参加したり、また犬を飼うなど外出して「歩く」時間を維持する必要も。ハードな運動は必ずしも健康に良いとは言えませんが、無理のない範囲でこれまで続けてきたスポーツを継続するのもありです。

3:新しいことや変化を拒む

 老後はシンプルに暮らしたいと、複雑なことや新しいことを拒むようになる人も。「現金でいい」とキャッシュレス決済を拒否したり、新しいスマホやPCなども「電話さえできればいい」と変えない人もいますが、頭の柔らかいうちに挑戦しないといずれ必要となった時に困ることになります。脳トレだと思って、あえて新しいことを楽しく学んで知ることも長い老後のプラスに。

4:退職金で過度な浪費をする

 現役時代の生活レベルを落とせずお金を使ってしまったり、炊事が面倒で外食が増えたりタクシーを頻繁に利用したり、退職金で気が大きくなり子どもや孫に過剰な支援をしてしまうのもNGです。生活費はできるだけ年金で賄い、足らない分は元気なうちは働いて稼ぐという方法もあります。まずは定年後の収支を考えて、計画的に家計を整えましょう。

5:投資や株に老後資金を注ぎ込む

 「寝かせておくのは勿体無い」「お金に稼いでもらいましょう」などの誘い文句で、退職金の運用を勧められることもあると聞きますが、投資や株に知識のないまま多額の資金を投入してはいけません。少しでも老後資金を増やしたいと思うのは当然ですが、そのお金がなくなっても生活できるレベルの余剰金でないのならリスクは膨大。攻めより守りを意識して、運用は慎重に。

6:退職金でローンの一括返済

 毎月の利息や支出を考えたら自宅の残ローンを退職金で一括返済したくなりますが、老後は手元に現金を残しておくことも重要。急な病気や自宅のリペアや家電の買い替えなど、年金では賄えない高額な出費もあるのです。金利の高い時代なら普通だった一括返済ですが、今は幸いまだ低金利ですから、早く返すことがマストではありません。一部を繰上げ返済し、月々の支払いを抑える方法も要検討。

7:憧れの田舎暮らしで地方へ移住

 「定年後は自然豊かな田舎暮らし」という夢のある都会人も多いのですが、体力が衰える老後に不便で不慣れな土地で暮らすのはリスク大。買物や病院通いに車が必要ですが免許があってもいつまでも乗れる訳ではなく、いざという時に頼れる仲間や家族とも離れて暮らすのは簡単ではありません。勢いで完全移住することは避け、初めは便利な都会に帰れる自宅を残しておく方が良いとの経験談も。

8:趣味の延長での開業
 「夫婦で夢だった喫茶店をやりたい」「趣味の仲間が集まれるお店を作る」、そんな老後計画のある人もいますが、一から経営を学ぶでもなく趣味の延長でお店を開業するのは危険です。退職金でまとまった資金はあっても、毎月の売上や運営が管理できなければランディング費用が嵩み資金難、老後破綻となるケースも。例えばタイムレンタルの店舗貸しシステムを利用してイベントとして実施してみたり、喫茶店等でパートを経験することからまずはスタートしてみては?

定年後の生活を支える大切な3つ、その向き合い方が大事

 定年後の生活を支えるのは「健康」と「お金」と「生き甲斐やつながり」といわれています。

 もちろん現役時代にも大切な3つですが、定年退職後はそれらを自力でリカバーしたり向上させるのは若い頃より簡単ではなく、いかに守って維持するかということを自主的に実践していかなくてはなりません。「してはいけないこと」を意識してリスクを減らし、暮らし上手な老後生活を送りたいですね。
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
雑学から一段上の「大人の教養」はいかがですか?
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,500本以上。 『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

単なる不況に非ず…破壊規模は「台風か気候変動か?」

単なる不況に非ず…破壊規模は「台風か気候変動か?」

[深掘り]世界を壊すトランプ関税(2)米国の自爆と中国の思惑

トランプ政権が発表した関税政策は、世界を大きな混乱に落とし込んでいる。はたして、トランプ大統領の「動機」や「思考」の淵源とはいかなるものなのか。そして世界はどうなってしまうのか。

島田晴雄先生には、...
収録日:2025/04/15
追加日:2025/04/26
2

危機の10年…2つのサイクルが初交差する2020年代の意味

危機の10年…2つのサイクルが初交差する2020年代の意味

トランプ2.0~アメリカ第一主義の逆襲(2)交差する2つのサイクル

アメリカには、80年周期の制度サイクルと50年周期の社会経済サイクルがあり、その2つの周期が初めて重なるのが2020年代なのだ。「危機の10年」ともいわれており、そのタイミングで始動したトランプ第二次政権。その動きの舵取り...
収録日:2025/03/21
追加日:2025/04/26
東秀敏
米国安全保障企画研究員
3

共生への道…ジョン・ロールズが説く「合理性と道理性」

共生への道…ジョン・ロールズが説く「合理性と道理性」

危機のデモクラシー…公共哲学から考える(5)共存・共生のための理性

フェイクが含まれた情報や陰謀論が跋扈する一方、多様性が尊重されるようになり多元化する人々の価値観。そうした現代社会で、いかにして私たちはともに公共性を保って生きていけるのか。多様でありながらいかに共存・共生でき...
収録日:2024/09/11
追加日:2025/04/25
齋藤純一
早稲田大学政治経済学術院政治経済学部教授
4

『風と共に去りぬ』で表現されたアイルランド移民の精神史

『風と共に去りぬ』で表現されたアイルランド移民の精神史

アメリカの理念と本質(5)アメリカのアイルランド問題

アイルランド本国で始まったアングロ・サクソンからの差別は大西洋を越えても消えず、逆にアメリカへ移民するアイルランド人たちに不撓不屈の精神を植え付けた。名作『風と共に去りぬ』には、その姿がビビッドに描かれている。...
収録日:2024/06/14
追加日:2024/09/17
中西輝政
京都大学名誉教授
5

水にビジネスチャンス!?水道事業に官民連携の可能性

水にビジネスチャンス!?水道事業に官民連携の可能性

水から考える「持続可能」な未来(8)人材育成と水道事業の課題

日本企業の水資源に関するリスク開示の現状はどうなっているか。革新的な「超越人材」を生み育てるために必要な心構えとは何か。老朽化する水道インフラの更新について、海外のように日本も水道事業に民間資本が入る可能性はあ...
収録日:2024/09/14
追加日:2025/04/24
沖大幹
東京大学大学院工学系研究科 教授