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DATE/ 2024.12.22

コンセントに絶対してはいけないこと

コンセントから発生する火災に注意

 冬になって空気が乾燥すると、火災の発生が心配ですよね。ガスの元栓や暖房器具をこまめにチェックする方も多いでしょう。そんななかで、意外と忘れがちなのがコンセントです。消防庁の統計によると、コンセントや電気コード周辺が火元の火災は毎年発生しており、昨年の件数は377件で過去最多となっています。

 本来、コンセントやプラグは安全なつくりをしていますが、それに安心して無理な扱いや乱暴な扱いをすると火花が飛んだり、火災が発生したりします。コンセント火災の主な原因には次のようなものがあります。

・ゴミやホコリがたまっている(トラッキング現象):コンセントとプラグの間にゴミやホコリがたまり、ここに湿気が加わると、プラグの刃の間に電気回路のような電気の通り道ができてしまいます。すると、ここからの漏電で火花が発生して出火原因になるのです。この現象をトラッキング現象と呼びます。

・電源ONの状態で挿す:家電などの電源が入った状態でコンセントにプラグを挿すと、一気に大量の電気が流れて火花が飛びやすくなります。さらに、家庭用の電流である「交流」は電気の流れや電圧が一定の時間ごとに変化しているため、電圧が高いときにプラグを挿すと火花が飛ぶ危険性が高まります。

・タコ足配線:電源タップや延長コードを使ってひとつのコンセントにタコの足のようにたくさんのプラグを挿す「タコ足配線」も危険です。コンセントが同時に供給できる電気の量は決まっているので、ひとつのコンセントに大量のプラグをつなぐと許容範囲を超えてしまい、発熱や発火の原因になります。

 このほかに、コードが経年劣化で破損しているとそこから漏電したり火花が飛んだりして火災になることもあります。コンセントの周辺は火災が発生しやすいのです。

コンセント火災を起こさないために

 うっかり忘れがちだけど、実は火災の危険性を無視できないコンセント。そんなコンセントからの火災を防ぐには、以下のような点を心がけてください。

・定期的な掃除:やはり効果的なのは掃除です。乾いた布や使い古しの歯ブラシなどを使って、こまめにコンセント周りのホコリを取り除きましょう。特に、冷蔵庫やエアコンのようにプラグを挿しっぱなしにして使用する家電は要注意。大掃除のときなどにプラグを抜いて丁寧に掃除してください。

・規定の電気容量を守る:家庭のコンセントの電気容量は、一般的に1500Wです。たとえば小さめの炊飯器は約400W、電子レンジは約1300W消費するので、このふたつを同じコンセントにつなぐだけでも規定量を超えてしまいます。タコ足配線は避けて、コンセントひとつひとつの負担を減らしましょう。

・水を避ける:水は電気を通すので、コンセントに水がかかると漏電しやすくなります。特にキッチン周りの家電は水がかかりやすいので注意してください。

 さらに、電源プラグとコードについても気をつけたい点があります。

・プラグの注意点:コンセント同様にトラッキング現象で発火するおそれがあるので、ホコリがたまらないようにコンセントといっしょに掃除しましょう。また、刃がグラグラしたり曲がっていたりすると異常な発熱をして出火の原因になります。破損したプラグは使い続けずに交換してください。

・コードの注意点:家具や布団の下敷きにすると、そこが熱を持ったり破損したりするおそれがあるのできちんと表に出しましょう。ぐるぐると束ねたまま使うのも、異常な発熱や破損につながりやすいです。また、コードを引っ張ると断線してしまうので、コンセントから外すときはプラグを持ちましょう。

コンセントのトラブルが発生したら

 もしもコンセントが焦げていたり、火花が飛んだりしたときは、絶縁グローブをはめてプラグを外しましょう。素手で触ると感電の危険性があります。絶縁グローブがないときは、安全ブレーカー(配線用遮断器)を落としてください。ブレーカーはいくつかのブロックに分けてあるので、該当のコンセントがある部屋のものだけ落とせます。家中の電気が使えなくなることはないので安心してください。

 ブレーカーを落としたら、電気屋さんに修理や交換をしてもらいましょう。コンセント周りの修理は電気工事士などの資格を持っている人しかできません。資格を持っていない人は、決して自分でなんとかしようとはしないでください。また、修理が始まるまでは危険なコンセントに子どもやペットが触らないように気を配ることも大切です。

 最近はホームセンターや100円ショップなどで、差込口ごとに電源をON・OFFできる電源タップやコードを壁に固定できるカバーなども販売しています。安全な利用をサポートしてくれるグッズなども取り入れて、コンセント火災を防いでいきましょう。

<参考サイト>
・セキスイハイム Q.コンセント火災を防ぐには、どんな事に気をつけたら良いのでしょうか?
https://www.hfc816t.jp/cs/no-94/
・中部電力パワーグリッド プラグ・コンセント・コード
https://powergrid.chuden.co.jp/goannai/ippan/information/use/plug/
・東京消防庁 6.コンセントの掃除を心掛けましょう。
https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/lfe/kasai/10_kokoroe/chapter06.html
・電源専門店オンリースタイル 電気製品の消費電力一覧
https://eco-power.jp/power_list.html
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