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自分に厳しい人の落とし穴とは
頑張りすぎると逆効果に
「自分に厳しく、他人に優しく」ーー多くの方が美徳として、耳にしてきた言葉ではないでしょうか。特に、リーダーや上司などのような上に立つ立場の人には強く求められる心がけですよね。しかし、この考え方にとらわれすぎると自分自身を苦しめてしまうことにもなりかねないのです。チームや部下のためを思って自分に厳しく、他人に優しくできるよう頑張っているはずなのに、なぜか周囲の心が離れていってしまう……そんな経験談は少なくありません。自分への厳しさと他人への優しさは、一見すると違う物差しを使うので両立しやすいように思えますよね。しかしそこに大きな落とし穴があります。
実は、人間の心理として「自分を受け入れられない人は、他人も受け入れられない」という現象が起こりやすいのです。自分に厳しすぎる人は、他人がミスしたときにも内心では「自分ならこんなミスしないのに」といらだったり腹を立てたりしてしまい、それが言葉に出さなくても声色や態度ににじみ出ます。このような負の感情は意外とはっきり伝わるので、相手は委縮したり苦手意識を感じたりして離れていってしまいます。
さらに、自分への厳しさは無意識のうちに高い理想を他人にも求めたり押しつけたりしやすく、それが人間関係を悪化させることもあります。
自分に厳しすぎるのは〝自分いじめ〟
頑張っているのに仲間が離れていくのは、とても悲しいですよね。そんなときに大切なのは「まだ頑張りが足りない」とかたくなになることではなく、「その頑張りは健全ではない」と気づくこと。実現が極めて難しい不条理な理想を掲げて、それをクリアできない自分を責めることは、もはや向上心や自己鍛錬ではなく〝自分いじめ〟といえます。しかも、その理想は自分で決めたと思い込んでいるだけで、実際は幼少期の親からの期待、学校や職場などで植えつけられた価値観などの外部から押しつけられたものかもしれません。本当に自分が望んでいるわけではない外部の声を、自分自身の考えだと思い違いしていることも少なくないのです。他人の声を自分の声だと信じ込んで捨てられず、それに縛られて自分で自分を苦しめているなんておかしいですよね。
自分いじめをしてしまう人には次のような特徴がよく見られます。
・完璧主義:99%うまくいっても残りの1%を許せずに自分を追い詰めてしまう。
・休むことへの罪悪感:休む=負けと思い、リラックスすることに抵抗を感じる。
・他人を頼れない:人に頼ることは無能の証明と感じて、すべて一人で抱えこむ。
・失敗を引きずる:失敗を次への糧にせず、自分を罰する材料にする。
このようなタイプの人は〝繊細な努力家〟といえます。高い成果を出すために努力できるのですが、一度失敗すると自己批判のスパイラルから抜け出せなくなりやすいです。実は、行き過ぎた自己批判はモチベーションも自制心も奪って思考を停止させ、行動の先延ばしが増長されるというデータもあります。目標達成のために頑張っているはずが、ゴールを遠ざけてしまうのです。
社会的な責任も果たせなくなる
自己批判のスパイラルは、さらに深刻な事態も引き起こします。そのひとつが、責任を果たせなくなるということ。責任感が強いからこそ自分に厳しくしているはずなのに、なぜそのような事態になってしまうのでしょうか。責任を果たすということは、自分で選択してその結果を引き受けるということですよね。しかし、自分に厳しすぎて自分を信頼できなくなっていると、「こんな不完全な自分に重要な決断を下す資格はない」と感じます。非常に歪んでいますが、本人は「無能な自分が責任ある立場にいるのは不誠実」という誠実さから、いたって真剣にそう考えているのです。ところが、重要な決断を先延ばししたり他人の意見に揺れ動いたりする姿は、周囲から見ると単なる無責任なリーダーでしかありません。誠実さがまわりの不信感を生み出すとは、まさに悲劇といえるでしょう。
もちろん、自分への厳しさにもメリットはあります。常に上を目ざす心がまえは高い目標をクリアしやすくしますし、自己鍛錬を怠らないところや責任感の強さは純粋に信頼や敬意を集めます。厳しさの方向性さえ間違えなければ、すばらしいリーダーの資質になるのです。
厳しさが迷走していると感じるときは、本当に自分の心の声にしたがっているのか自分自身に問いかけてみましょう。自分で目標を決めてそれに向かって努力するという、主体性のある厳しさを選び取れれば、おのずと自分をコントロールして望む結果を得られるようになります。偽物の声ーー他人の声にしたがって自己肯定感を失い、無力感に支配されることとはまったく違うのです。
自分らしい厳しさとは
厳しさの方向性をポジティブに変えるには、次の3つのアプローチが効果的です。・自分に許可を出す:心身の状況に合わせて作業を中断したり休憩を入れたりします。人間は常に100%で活動していたらいずれ壊れてしまうので、完璧主義は捨てて70%くらいで放っておきましょう。
・周囲に助けてもらう:他人に任せることは弱さや無能の証明ではなく、むしろリーダーに欠かせないスキルです。自分にはないアイデアを持っている仲間もいるので、よりよいチームを作るきっかけにもなります。
・自己批判と自分を切り離す:自己批判をしそうになったら、「自己批判の思考パターンになっている」と一歩引いて自分を見つめます。思考はあくまで思考で、事実ではないということを認知するのです。
本当の自分の声に耳を傾け、厳しさの方向性を正せば自分いじめからは抜け出せます。自分らしい厳しさで、自分自身を高めていってください。
<参考サイト>
・ヤトミックカフェ 「自分に厳しく、人にやさしく」は成り立つか
https://yatomiccafe.com/archives/smalltalk/756/
・ニューモラルブックストア 自分に厳しい人の特徴とは?厳しいことのメリットやデメリットとは?
https://ecmoralogy.jp/blog/ecblog/48676/
・DIAMOND HARVARD BUSINESS REVIEW 自分に厳しすぎる悪癖を断ち切る5つの方法
https://dhbr.diamond.jp/articles/-/7815
・ヤトミックカフェ 「自分に厳しく、人にやさしく」は成り立つか
https://yatomiccafe.com/archives/smalltalk/756/
・ニューモラルブックストア 自分に厳しい人の特徴とは?厳しいことのメリットやデメリットとは?
https://ecmoralogy.jp/blog/ecblog/48676/
・DIAMOND HARVARD BUSINESS REVIEW 自分に厳しすぎる悪癖を断ち切る5つの方法
https://dhbr.diamond.jp/articles/-/7815
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