社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
プロの投資家やギャンブラーは宝くじを買わない?期待値で考える「宝くじ」
年末ジャンボ宝くじともなれば、1等と前後賞を合わせると当選金額が最高10億円にもなる宝くじ。では現実的な話、億万長者になれる可能性は、果たしてどれだけあるのでしょうか?
例えば、100円で参加できる賭けがあります。赤黒2枚のカードからどちらかを引き、赤が出れば200円が支払われ、黒が出れば参加料100円が没収されます(0円になる)。ここでは赤黒の出現率は50%とします。
この場合の「期待値」は(200円×50%)+(0円×50%)=100円となります。果たしてこの賭けに参加するでしょうか。合理的に考えれば、手元にある100円を選ぶでしょう。賭けなければ手元には100円が確実に残るのです。普通、不確実な100円よりも、確実な100円を選ぶことに疑いはないでしょう。
では、昨年末のジャンボ宝くじの「期待値」を考えてみましょう。1等7億円は27本。1等が当たる確率は、0.000005%でした。そうすると、
(7億円×0.000005%)=35円
「期待値」は35円という結果になります。ちなみに1等から6等と70周年記念賞を合計しても期待値は150円でした。
つまりは、300円のくじ1枚を買うごとに150円の損をしているという計算です。
これだけ「期待値」が小さく、損をする確率が高いのに、なぜ宝くじは売れるのでしょうか?
よく「宝くじは夢を買うものだ」という言葉を聞きます。たしかに、年末ジャンボであれば一年の終わりをホクホクした気持ちで過ごしたいという心理は理解できます。
しかし、行動経済学を除いて、一般の経済学では心理は想定しません。ここから言えることがあるとすれば、人間はそれほど合理的ではないということです。
逆に考えれば、合理性を身に付け、心理に左右されなければ、人はより経済的な側面では豊かになれる可能性がある、ということです。
プロたちはあくまで合理的に「期待値」の多い方に賭けます。そこで利益を生み出すのが彼らの仕事なのです。
もちろん、賭けに確実性はありません。けれども、どういった局面でどれだけ冷静に「期待値」の高いもの=リターンがよりよいものを選択することができるか、というところでプロの優劣が決まっているのです。
このことは投資をしてみようと思っている人には参考になるのではないでしょうか。投資をする際、まず行うことは「期待値」がプラスのものを探すということです。つまり「期待値」がより大きい事象に賭けるのが「投資」ともいえるでしょう。
「期待値」を知れば損をすることはない!?
数学(確率論)や経済学の言葉で「期待値」というものがあります。これは、「実現する値」と「確率」の積を足したものです。例えば、100円で参加できる賭けがあります。赤黒2枚のカードからどちらかを引き、赤が出れば200円が支払われ、黒が出れば参加料100円が没収されます(0円になる)。ここでは赤黒の出現率は50%とします。
この場合の「期待値」は(200円×50%)+(0円×50%)=100円となります。果たしてこの賭けに参加するでしょうか。合理的に考えれば、手元にある100円を選ぶでしょう。賭けなければ手元には100円が確実に残るのです。普通、不確実な100円よりも、確実な100円を選ぶことに疑いはないでしょう。
では、昨年末のジャンボ宝くじの「期待値」を考えてみましょう。1等7億円は27本。1等が当たる確率は、0.000005%でした。そうすると、
(7億円×0.000005%)=35円
「期待値」は35円という結果になります。ちなみに1等から6等と70周年記念賞を合計しても期待値は150円でした。
つまりは、300円のくじ1枚を買うごとに150円の損をしているという計算です。
これだけ「期待値」が小さく、損をする確率が高いのに、なぜ宝くじは売れるのでしょうか?
よく「宝くじは夢を買うものだ」という言葉を聞きます。たしかに、年末ジャンボであれば一年の終わりをホクホクした気持ちで過ごしたいという心理は理解できます。
しかし、行動経済学を除いて、一般の経済学では心理は想定しません。ここから言えることがあるとすれば、人間はそれほど合理的ではないということです。
逆に考えれば、合理性を身に付け、心理に左右されなければ、人はより経済的な側面では豊かになれる可能性がある、ということです。
「期待値」が大きい事象に賭けるのが「投資」
ここからプロの投資家やプロのギャンブラーと、宝くじを買う人間の違いを読み取ることもできます。プロたちはあくまで合理的に「期待値」の多い方に賭けます。そこで利益を生み出すのが彼らの仕事なのです。
もちろん、賭けに確実性はありません。けれども、どういった局面でどれだけ冷静に「期待値」の高いもの=リターンがよりよいものを選択することができるか、というところでプロの優劣が決まっているのです。
このことは投資をしてみようと思っている人には参考になるのではないでしょうか。投資をする際、まず行うことは「期待値」がプラスのものを探すということです。つまり「期待値」がより大きい事象に賭けるのが「投資」ともいえるでしょう。
<参考サイト>
・毎日新聞デジタル版「経済プレミア:投資のプロが宝くじを買わない理由」2015年8月17日
http://mainichi.jp/premier/business/articles/20150806/biz/00m/010/002000c
・毎日新聞デジタル版「経済プレミア:投資のプロが宝くじを買わない理由」2015年8月17日
http://mainichi.jp/premier/business/articles/20150806/biz/00m/010/002000c
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
雑学から一段上の「大人の教養」はいかがですか?
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,500本以上。
『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
日本と各国の比較…税負担は低いが社会保障の負担は高い
続・日本人の「所得の謎」徹底分析(1)各国の財政と国民負担
国民の税負担を増やすか、政府の財政支出を増やすか。前回の講義《日本人の「所得の謎」徹底分析》に続き、見解の分かれる日本の財政に関する議論を今一度整理し、見通しを与える当講義。まずは日本の財政と国民の負担の現在地...
収録日:2025/07/10
追加日:2025/09/17
米長邦雄のアンラーニング、弟子の弟子になってV字成長
経験学習を促すリーダーシップ(2)経験から学ぶ力
人が成長していくために重要な経験学習。その学習サイクルを適切に回していくためには、「経験から学ぶ力」が必要になる。ではそこにはどのような要素があるのか。ストレッチ、リフレクション、エンジョイメントという3要素と、...
収録日:2025/06/27
追加日:2025/09/17
地球上の火山活動の8割を占める「中央海嶺」とは何か
海底の仕組みと地球のメカニズム(1)海底の生まれるところ
海底はどうやってできるのか。なぜ火山ができるのか。プレートが動くのは地球だけなのか。またそれはどうしてか。ではプレートは海底の動きの全てを説明できるのか。地球史規模の海底の動きについて、海底調査の実態から最新の...
収録日:2020/10/22
追加日:2021/05/02
世界で最もクリエイティブな国は? STEAM教育が広がる理由
数学と音楽の不思議な関係(4)STEAM教育でつくる喜びを全ての人に
世界では「創造性がどれくらい大事か」という問題意識が今、急激に高まっている。創造性とは全ての人にあり、偏差値などでは絶対に計れない、まさに無限軸の創造性のこと。そうした創造性を育む学びが「STEAM教育」である。最終...
収録日:2025/04/16
追加日:2025/09/18
外交とは何か…いかに軍事・内政と連動し国益を最大化するか
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(1)著書『外交とは何か』に込めた思い
外交とは国益を最大化しなければいけないのだが……。35年にもわたる外交官経験を持つ小原氏が8年がかりで書き上げた著書『外交とは何か 不戦不敗の要諦』(中公新書)。小原氏曰く、外交とは「つかみどころのないほど裾野が広い...
収録日:2025/04/15
追加日:2025/09/05