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DATE/ 2016.02.14

認知症予防にアンチストレス!「大人の塗り絵」の魅力とは?

「大人の塗り絵」ブームが止まらない!

 「大人の塗り絵」のブームがいっこうにやむ気配を見せない。ご存知の方も多いと思うが「大人の塗り絵」とは細密画のように緻密な線で描かれた大人向けの塗り絵のことで、花や動物、名画、おとぎ話の一場面、風景などがモチーフにされていることが多い。ストレス解消のためのリラックス効果や、脳を活性化させるアンチエイジング効果が高いとされ、中高年層を中心に社会現象となっている。また、ファンタジックな図柄のものは「おしゃれアイテム」として若い女性層をひきつけているのだ。

 昨年(2015年)7月に『主治医の見つかる診療所』(テレビ東京)で認知症予防に効果があるとして紹介された河出書房新社の『大人の塗り絵』シリーズは、放送後4カ月で60万部を出荷。2005年から130点ほど刊行してきた同シリーズだが、昨年11月末には累計500万部を突破した。同時期に『あさイチ』(NHK)という番組でも、若い女性にアンチストレス効果があると紹介され、同シリーズはさらに広く世間に浸透することとなった。

 また、同年10月初旬、フィギュアスケートGPシリーズ「NHK杯」に出場する浅田真央は、記者発表会の檀上で「マイブームは?」と質問された際、「大人の塗り絵。すごく楽しくて、細かいんですよ」と答えている。さらに100色の色鉛筆を購入したことを明かし、「スケートのことだけ考えてしまうのをなくすために、塗り絵をすることで頭のリラックスになる」と、そのセラピー効果を絶賛した。このコメントをスポーツ新聞各紙がこぞって取り上げたことも、ブームの促進にひと役買うこととなった。

 今では多くの出版社が「ウレ筋」として手を替え品を替えて、様々な趣向を凝らした「大人の塗り絵」を刊行している。書店も特設コーナーを設置して「ウリ時」を逃さないように努めている。実際にその取り組みが功を奏し、東京・紀伊国屋書店の芸術部門の月刊ベスト10(2015年11月10日~12月9日)に7点の「大人の塗り絵」がランクインするなど、活況を見せている。

人気の「大人の塗り絵」本は?

 それでは、色数の多い色鉛筆を使う「大人の塗り絵」の人気タイトルを紹介してみよう。

・『ひみつの花園 花いっぱいのぬりえブック』
 (グラフィック社、ジョハンナ・バスフォード著、2013年)

 じっくりと定着してきた「大人の塗り絵」シーンが再ブレイクする火付け役となった1冊。神秘的でおしゃれな絵柄が特徴で、若い女性層を中心に人気が爆発。もともとは日本での刊行の2年前にイギリスで出版され、世界的に大ヒットを記録している。

・『ねむれる森 夢いっぱいのぬりえブック』
 (グラフィック社、ジョハンナ・バスフォード著、2015年)

 『ひみつの花園』を手掛けたジョハンナ・バスフォードによるシリーズ第2弾。前作同様に細密に描かれたファンタジーな世界観でファンを喜ばせた。なお、昨秋に刊行されたシリーズ第3弾『海の楽園』(グラフィック社)もベストセラーになっている。

・『自律神経を整えるぬり絵』
 (アスコム、小林弘幸著、藤田有紀画、2015年)

 自律神経研究の第一人者、順天堂大学医学部教授の著者が考案した「自律神経を整えるためのメソッド」本。1日15分、塗り絵を行うことで心の平静を保つのが目的で、ずばりとセラピーに照準を合わせた実践本として注目を浴びている。

 ちなみに、老舗シリーズとして定番人気を誇っている『大人の塗り絵』シリーズ(河出書房新社)は、「美しい花編」、「花とフルーツ編」、23色のクーピーとセットになった『クーピーBOX』がウレ筋ベスト3となっている(2015年12月時点)。

 最近では便乗ヒットを狙って、健やかな心と身体へのセラピー効果を「ウリ文句」とする傾向がやや強くなっているように感じられるが、「大人の塗り絵」の根底にある魅力は、何といっても手作業の面白さにある。色数の多い色鉛筆やクレヨン、クーピーなどを好みに合わせて選んで細密画に彩りを加え、自分だけの絵を一心不乱に完成させていく。そんなアナログの作業が幼少期のワクワク感を思い起こさせ、デジタル機器に囲まれた日常に一服の清涼感を与えてくれるのだ。

 昨年、河出書房新社では書店や自治体を中心に103回の「大人の塗り絵教室」を開催するなど、コミュニティ化も進んでいる。書店を巡れば花や動物などの定番の図柄以外にも、幅広い好みに応じた絵柄が用意されている。気になっていた方は今年、様々な潤いをもたらしてくれる「大人の塗り絵」に取り組んでみてはいかがだろうか。

<参考文献・参考サイト>
・出版業界新聞「新文化」(2015年12月17日)
・東京スポーツ
・exciteニュース
・J-castトレンド
・Pleure
(10MTV編集部)

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