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所得、住みやすさ…東京23区にみる「格差」とは
東京23区は一括りにして語られることが少なくありません。けれども、渋谷区と北区が全く違うように、一区一区がそれぞれ強烈な個性を持っています。ときに個性は格差として表れることもあります。格差の分かりやすい例が、勝ち組と負け組みを分ける所得水準でしょう。
ただし、比較対象を全国に広げると、足立区は大阪市や札幌市よりも所得水準が高く、全国812市区中157位。足立区も全国区では立派な勝ち組なのです。むしろ港区の所得水準こそが異常と言っていいでしょう。23区の半数以上は400万円以下で、23区中2位の千代田区でも763万円なので、港区はダントツの1位なのです。
もちろん三高だけでその区の魅力を測ることはできません。三高区にも欠損や弱点は多分にあります。冒頭で述べたように、見方次第で、個性は格差になり、逆に格差は個性になり得るのです。東京23区研究所所長の池田利道氏は、『23区格差』(中央公論新社)において、以上のような23区格差の実態に明らかにしながら、東京のパワーの源は23区の格差≒個性にあると述べているのです。
・Aクラス:新宿区、渋谷区、品川区、港区、世田谷区、目黒区
・Bクラス:中野区、千代田区、中央区、練馬区、杉並区、江戸川区
・Cクラス:葛飾区、台東区、豊島区、大田区、板橋区。
・Dクラス:墨田区、文京区、足立区、江東区、荒川区、北区
なお、このクラス分けについて少し補足します。通信簿を公開するにあたって池田氏はあらかじめ「通信簿の評点者(つまり筆者)はかなり偏っていて、強い区には厳しく、弱い区には甘いという傾向がある」と断っています。また、繰り返しになりますが、池田氏は格差≒個性と捉えていますので、その点にも留意ください。
Cクラスに評価されている区にも強みはあります。大田区は23区で一番イノベーターが多く、葛飾区と板橋区は減災にとても意識が高いのです。一方で墨田区、台東区、荒川区、品川区は大地震の際の死者発生リスクが高いと指摘されています。遠くない未来に関東大震災の発生が予測されているいま、災害に対する自治体の考え方は、区の魅力を左右する指標にもなるでしょう。
ところが、少し見方を変えるとガラッと印象が変わります。定住率ランキングでは北区は1位。また、リクルートカンパニーが公表した「穴場な街(駅)ランキング」(2015年度)では、足立区・北千住に次いで、北区・赤羽が2位でした。さらに雑誌『東京ウォーカー』(2010年2月)公表の「住んでよかった街ランキング」では、北区・赤羽は5位にランクインしています。
区の魅力を考える時、「住みたい街」か「住んで良かった街」か、あなたならどちらの評価を重視しますか。人の価値観も街の状態も常に変化し続けます。北区が一番住みたい区になる日、未来の大逆転も決しておとぎ話ではないでしょう。
平均所得は港区904万円、足立区323万円
23区中、平均所得水準トップの港区は904万円です。それに対して最下位の足立区は323万円(2012年総務省調べ)。なんと3倍近くの所得格差があるのです。「同じ23区なのに…」、足立区民には受け入れがたい事実かもしれません。ただし、比較対象を全国に広げると、足立区は大阪市や札幌市よりも所得水準が高く、全国812市区中157位。足立区も全国区では立派な勝ち組なのです。むしろ港区の所得水準こそが異常と言っていいでしょう。23区の半数以上は400万円以下で、23区中2位の千代田区でも763万円なので、港区はダントツの1位なのです。
年収・学歴・職業が非凡な7強区
所得水準が500万円を超える港、千代田、渋谷、中央、文京、目黒、世田谷区は所得だけではなく、学歴と職業も非凡な”三高”区です。ちなみに三高区には「坂道」と「緑」が多いという意外な地理的な共通点があります。もちろん三高だけでその区の魅力を測ることはできません。三高区にも欠損や弱点は多分にあります。冒頭で述べたように、見方次第で、個性は格差になり、逆に格差は個性になり得るのです。東京23区研究所所長の池田利道氏は、『23区格差』(中央公論新社)において、以上のような23区格差の実態に明らかにしながら、東京のパワーの源は23区の格差≒個性にあると述べているのです。
あなたの区は何クラス?
『23区格差』(中央公論新社)には、池田氏が独自の観点から作成した「23区の通信簿」が収録されており、それぞれの区がA~Dのクラスに分けられています。取り上げられた順番に列挙しますと、以下のようになります。・Aクラス:新宿区、渋谷区、品川区、港区、世田谷区、目黒区
・Bクラス:中野区、千代田区、中央区、練馬区、杉並区、江戸川区
・Cクラス:葛飾区、台東区、豊島区、大田区、板橋区。
・Dクラス:墨田区、文京区、足立区、江東区、荒川区、北区
なお、このクラス分けについて少し補足します。通信簿を公開するにあたって池田氏はあらかじめ「通信簿の評点者(つまり筆者)はかなり偏っていて、強い区には厳しく、弱い区には甘いという傾向がある」と断っています。また、繰り返しになりますが、池田氏は格差≒個性と捉えていますので、その点にも留意ください。
プライドが高い世田谷区、本音で生きることを許す足立区
さて、先に挙げたA~Dのクラスの補足として、池田氏の興味深い指摘をいくつか取り上げたいと思います。例えば、最上位Aクラスの世田谷区の住民はプライドの呪縛に囚われている可能性が高く、Dクラスの足立区は本音で生きることを許す街だと考察しています。文京区も通信簿ではDクラスですが、極めて治安が良いことを強調しています。一方でAクラスの目黒区は、実は一人あたりの借金の額(2013年度末)が23区中、最高でした。Cクラスに評価されている区にも強みはあります。大田区は23区で一番イノベーターが多く、葛飾区と板橋区は減災にとても意識が高いのです。一方で墨田区、台東区、荒川区、品川区は大地震の際の死者発生リスクが高いと指摘されています。遠くない未来に関東大震災の発生が予測されているいま、災害に対する自治体の考え方は、区の魅力を左右する指標にもなるでしょう。
北区が一番住みたい区になる日
Dランクの最後尾に位置づけられた北区はgooランキングの「実はどこにあるかわからない東京23区」(2014年6月)でトップでした。また、高齢化率もトップ、人口増加率(2005~2014年)は最下位、子育て世代(30~44歳)の割合は22位でした。この結果をみるとDランクの最後尾に位置づけられたことも頷けます。ところが、少し見方を変えるとガラッと印象が変わります。定住率ランキングでは北区は1位。また、リクルートカンパニーが公表した「穴場な街(駅)ランキング」(2015年度)では、足立区・北千住に次いで、北区・赤羽が2位でした。さらに雑誌『東京ウォーカー』(2010年2月)公表の「住んでよかった街ランキング」では、北区・赤羽は5位にランクインしています。
区の魅力を考える時、「住みたい街」か「住んで良かった街」か、あなたならどちらの評価を重視しますか。人の価値観も街の状態も常に変化し続けます。北区が一番住みたい区になる日、未来の大逆転も決しておとぎ話ではないでしょう。
<参考文献・参考サイト>
・『23区格差』(池田利道著、中央公論新社)
・gooランキング:「実はどこにあるかわからない東京23区」(2014年6月25日)
https://ranking.goo.ne.jp/ranking/category/999/Y4ChOvcTREfC/
・リクルート住まいカンパニー:2015年3月 2日プレスリリース(「2015年版 みんなが選んだ住みたい街ランキング 関東版」を発表)
http://www.recruit-sumai.co.jp/press/2015/03/2015-1.html
・ニュースウォーカー:「住みたい街」は吉祥寺がV5! 一方「住んでよかった街」は意外な結果に!?
・『23区格差』(池田利道著、中央公論新社)
・gooランキング:「実はどこにあるかわからない東京23区」(2014年6月25日)
https://ranking.goo.ne.jp/ranking/category/999/Y4ChOvcTREfC/
・リクルート住まいカンパニー:2015年3月 2日プレスリリース(「2015年版 みんなが選んだ住みたい街ランキング 関東版」を発表)
http://www.recruit-sumai.co.jp/press/2015/03/2015-1.html
・ニュースウォーカー:「住みたい街」は吉祥寺がV5! 一方「住んでよかった街」は意外な結果に!?
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