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物事の実相を見つめる心を養うことが成功の法則

松下幸之助の人づくり≪1≫真のリーダーとは(3)とらわれない心になれば白は白に見える―素直

松下幸之助
パナソニック(旧松下電器産業)グループ創業者
情報・テキスト
画像提供:公益財団法人松下政経塾
経営の神様・松下幸之助の成功を支えたものは、「素直な心」だったという。しかし、ここで言う「素直な心」とは、いわゆる「おとなしく従順で、人のいうことをよく聞いて、言われた通りに動く」という意味ではない。素直な心になれば、一体何が見えてくるのか。幸之助が身をもって感じた成功の法則に迫る。(第1章3話目)
時間:11:06
収録日:2015/06/17
追加日:2015/11/16
カテゴリー:
≪全文≫

●「素直の初段」になるには30年かかる


 素直な人は、人の言うことを素直に聞いて頭に入れる。ということで、素直な心になりましょうと。素直な心は、あなたを強く、正しく、聡明にする。これがPHP運動の一つの題目になっている。

 素直な心は、あなたを強く、正しく、聡明にします。聡明ということは賢いということ。聡明の極致は、神の知恵。だから、素直な心を持ってものを見て、素直な心を持ってものに接していけば、ものの実相が分かる。本当の姿が分かる。とらわれない心になってものを見れば、白いものは白いと見える。青いものは青く見える。けれども、とらわれた心で見ると、白いものも黒く見える。黒いものも白く見えたりして間違う。それで、虚心坦懐に、ものの実相を見るという心を養わないといけない。その実相を見るときには、とらわれてはいけない。とらわれない心にならないといけない。とらわれない心になったら、ものの実相が分かる。そうすると、白いものは白いものに見える。青いものは青く見える。本当の姿が分かる。一番最高の知恵というもの。

 素直な心になることは非常に大事だけれども、そう簡単になれない。すぐに素直な心になるということは、とてもできない。それで、こういうことを考えた。素直な心になるということを心に念ずる。朝起きたら、仏壇のあるところなら仏壇、神棚のあるところなら神棚の前で、今日一日素直な心で無事にいさせてください、こういうことを心に念ずる。

 それを30年続けて、そしたら大体、大きな間違いなく、素直な心でものが見える。それが素直の初段。素直な心の初段になるには30年かかる。というのは、碁を知らない人が初段になるのは、いい先生について特別に勉強するのなら別だけど、普通は1万回、碁を打ったら、上手下手はあるけども、大体初段になれるという見方がある。

 それで僕は、自分は素直な心の初段になるには、要はそれだけかかるということでやり始めた。それで今、もう35年になるから、まあ、ようやく初段になったところ。だから、諸君よりも素直にものが見える。これはいけない、こういう考え方はいけない、こうした方がいいということは、パッと分かる。初段の程度ぐらいは分かる。


●過去60年間、身をもって感じた成功の法則


 その時に 今日の松下電器があろうとは夢にも思いませんでした。

 ところが、それから50数年たった今日、別にこのように大きくしようという意志を持っていたわけではありませんが、働くことは一生懸命働いた。そして、ついに今日の松下電器ができたわけです。だから分からない。人間の仕事の成功というのは 本当は分からないものですね。自分の思わないようなことができてくる。まして「このようにやりたい」「あのようにやりたい」というように、ある程度の理想というか意志を持ってやったら、それは必ずできると思います。

 私の体験では、どんなことでも、道をもってすればできないことはないわけです。ただなんとなしにやろうと思ったのではできない。けれども、どんな大きな仕事を考えても、道にかなったことをやっておったら、必ず成功する、実現するわけです。

 そういうことでも、われわれが「そうしたい」という方針をもって、それで一歩一歩やっていたら、ついにいつの日か必ずできるに違いない。私は自分の体験から、そのように思っています。そういう点では私は割と楽観的です。

 「どんな大きなことをやっても、道をもってすれば、できんことはない。だから心配する必要はない。素直な心で真面目にそれを考えてやったら、それよりも大きなものができるか、あるいはその通りになるか、それより小さくなるかは別として、必ずできるに違いない」

 こういう信念というか、そういうものを持っているわけです。それは、ただ単なる信念ではありません。過去60年間、自分がこの手をもって非常に貧弱な病身をもってやってきたことなのです。


●長所も短所も全て受け入れる


 皆それぞれ長所もあれば短所もある。長所は長所でいいところをつかんで、短所は短所でわきまえて、短所というものを全てを許し合うということの方がいい。あの『人間を考える』(PHP文庫)の中に書いてある。だけど、それを言うだけではいけない。どんなことでも一応許容しようということ。許し容れようという考え方がなければいけない。ちょうど親が子どもをあやすようなもの。


●虚心坦懐に物事を見ていた松下塾主/佐野尚見・野田佳彦


野田 いや、素直の大事さをずっと強調されていました。確か「自分も30数年、素直、素直と言い続けて、ようやく素直の初段になった」とおっしゃったぐらいですから。私などとても初段にも達しないので、場面、場面で本当にぶつぶつ切れてしまうような解釈なんですけどね。
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