少子高齢化と財政の役割
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日本の財政赤字の要因は「世界一弱い財務大臣」にある
少子高齢化と財政の役割(2)財政赤字の原因
田中秀明(明治大学公共政策大学院専任教授)
明治大学公共政策大学院ガバナンス研究科教授の田中秀明氏が日本の財政赤字の原因について、主要先進国と比較したデータなどをもとに分析、解説する。見えてきたのは、日本の財務大臣の権限、財政の透明性における問題点だ。予算編成をめぐる各国それぞれの仕組みや制度を挙げながら、日本財政の問題点を追究する。(全12話中第2話)
時間:13分02秒
収録日:2017年7月28日
追加日:2017年9月8日
カテゴリー:
≪全文≫

●バブル崩壊後、一人負けした日本の財政


 「少子高齢化と財政の役割」としてのシリーズ第2回は、財政赤字の原因について考えてみたいと思います。日本は非常に大きな財政赤字を抱えているわけですが、その解決を図るためには、なぜ財政赤字が大きいのかということを考える必要があります。

 最初に主要先進国における財政赤字、それから債務残高について比べてみたいと思います。これはよく引用される数字ですが、20数年前にさかのぼってみましょう。1990年は驚くべきことに日本の財政は黒字で、主要先進国の中では最も良い状況でした。1990年というのはバブルの最高の状況だったと言えるからです。ところがたった10年後の2000年を見てみると、日本の財政赤字はGDP比7パーセントを超えました。主要先進国の中で最も悪い水準になったのです。

 他方、先進国を見てみると、1990年代の後半にかけて多くの国で財政再建が行われました。その結果、2000年の財政赤字は多くの国で黒字となり、OECD平均でも財政収支はほぼ均衡に至りました。日本だけが一人負けをしたと言えます。


●国によって大きく違う財政状況


 ところが、2000年を過ぎると再び、先進諸国で財政赤字が拡大しています。特にリーマンショックを経た2008年、2009年以降に赤字が拡大し、例えば、イギリスやアメリカでは10パーセントを超える赤字になっています。ところが、もう少しよくこの数字を見てみましょう。スウェーデンの財政赤字ですが、リーマンショック以後も財政赤字はそれほど大きくありません。オーストラリアやニュージーランドを見ても、やはり財政赤字は大きくありません。スウェーデンについては、国の借金から貯金、特に年金の積立金を差し引いた純金融負債を見ると、マイナスになっています。マイナスということは貯金を積み上げているということです。

 何を言いたいのかというと、なぜ国によってこれほど財政状況に違いがあるのかということなのです。この違いを考えることが、日本の財政赤字について考える非常に重要な要素になるのです。


●財政赤字拡大のポイントは「他人のお金」と「錯覚」


 経済学者がこの財政赤字についていろいろなことを言っています。例えば、「財政赤字は、利己的な政治家による合理的な行動の結果である」「特定の公共政策から便益を受ける者は通常、その政策のコストを負担するわけではない。彼...

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