少子高齢化と財政の役割
この講義は登録不要で無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
日本の財政赤字の要因は「世界一弱い財務大臣」にある
少子高齢化と財政の役割(2)財政赤字の原因
田中秀明(明治大学公共政策大学院専任教授)
明治大学公共政策大学院ガバナンス研究科教授の田中秀明氏が日本の財政赤字の原因について、主要先進国と比較したデータなどをもとに分析、解説する。見えてきたのは、日本の財務大臣の権限、財政の透明性における問題点だ。予算編成をめぐる各国それぞれの仕組みや制度を挙げながら、日本財政の問題点を追究する。(全12話中第2話)
時間:13分02秒
収録日:2017年7月28日
追加日:2017年9月8日
カテゴリー:
≪全文≫

●バブル崩壊後、一人負けした日本の財政


 「少子高齢化と財政の役割」としてのシリーズ第2回は、財政赤字の原因について考えてみたいと思います。日本は非常に大きな財政赤字を抱えているわけですが、その解決を図るためには、なぜ財政赤字が大きいのかということを考える必要があります。

 最初に主要先進国における財政赤字、それから債務残高について比べてみたいと思います。これはよく引用される数字ですが、20数年前にさかのぼってみましょう。1990年は驚くべきことに日本の財政は黒字で、主要先進国の中では最も良い状況でした。1990年というのはバブルの最高の状況だったと言えるからです。ところがたった10年後の2000年を見てみると、日本の財政赤字はGDP比7パーセントを超えました。主要先進国の中で最も悪い水準になったのです。

 他方、先進国を見てみると、1990年代の後半にかけて多くの国で財政再建が行われました。その結果、2000年の財政赤字は多くの国で黒字となり、OECD平均でも財政収支はほぼ均衡に至りました。日本だけが一人負けをしたと言えます。


●国によって大きく違う財政状況


 ところが、2000年を過ぎると再び、先進諸国で財政赤字が拡大しています。特にリーマンショックを経た2008年、2009年以降に赤字が拡大し、例えば、イギリスやアメリカでは10パーセントを超える赤字になっています。ところが、もう少しよくこの数字を見てみましょう。スウェーデンの財政赤字ですが、リーマンショック以後も財政赤字はそれほど大きくありません。オーストラリアやニュージーランドを見ても、やはり財政赤字は大きくありません。スウェーデンについては、国の借金から貯金、特に年金の積立金を差し引いた純金融負債を見ると、マイナスになっています。マイナスということは貯金を積み上げているということです。

 何を言いたいのかというと、なぜ国によってこれほど財政状況に違いがあるのかということなのです。この違いを考えることが、日本の財政赤字について考える非常に重要な要素になるのです。


●財政赤字拡大のポイントは「他人のお金」と「錯覚」


 経済学者がこの財政赤字についていろいろなことを言っています。例えば、「財政赤字は、利己的な政治家による合理的な行動の結果である」「特定の公共政策から便益を受ける者は通常、その政策のコストを負担するわけではない。彼...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
アメリカの理念と本質(1)西洋文明の行き着いた先と三つの建国
アメリカの理念と本質とは?…まず「三つの建国」から原点に迫る
中西輝政
日本のエネルギー&デジタル戦略の未来像(1)電動化で起こる「カンブリア爆発」
日本のエネルギー政策を「デジタル戦略」で大転換しよう
岡本浩
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
トランプの誤謬…米国製造業を壊した犯人は米国の経営者
島田晴雄
お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法(1)銀行がお金を生む仕組み
信用創造・預金創造とは?社会でお金が流通する仕組み
養田功一郎
為替レートから考える日本の競争力・購買力(1)為替レートと物の値段で見る円の価値
ビッグマック指数から考える実質為替レートと購買力平価
養田功一郎
独立と在野を支える中間団体(1)「中間団体」とは何か
国家の中で個人が楽しく生きるために、なぜ「中間団体」が重要か
片山杜秀

人気の講義ランキングTOP10
核DNAからさぐる日本のルーツ(1)人類の起源と広がり
核DNAデータで日本人のルーツを探る…アフリカから日本まで来た行程と時期は?
斎藤成也
「満洲」から考える日本とアジア(6)21カ条の要求と第一次世界大戦
日本が中国に出した「21カ条の要求」の罠と必然…不安定な満洲利権を手にした日本が直面した難題とは?
宮脇淳子
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(1)神とは何か、そして天皇とは?
日本と世界の「神と信仰」の違いは?…そして天皇の大切な役割
橋爪大三郎
アメリカの理念と本質(1)西洋文明の行き着いた先と三つの建国
アメリカの理念と本質とは?…まず「三つの建国」から原点に迫る
中西輝政
「ホメロス叙事詩」を読むために(7)オデュッセウスの冒険
ホメロスの『オデュッセイア』が描く苦難と誘惑の冒険譚
納富信留
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
資産運用の思考法…経済や市場の動きをどう読むか
市場予測のポイント…短期・中期・長期の視点と歴史的洞察
養田功一郎
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(5)恐るべき台湾への「浸透」
浸透工作…台湾でスパイ裁判が約70件、それも氷山の一角
垂秀夫