少子高齢化と財政の役割
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日本の年金制度は非常に不公平な制度
少子高齢化と財政の役割(8)年金制度の現状と問題
田中秀明(明治大学公共政策大学院専任教授)
明治大学公共政策大学院ガバナンス研究科教授の田中秀明氏が、「少子高齢化と財政の役割」のテーマの下、年金制度について解説する。数々のデータが示す日本の年金制度の問題点は、一言でいえば「不公平」。国民の生活を守るための年金制度の実態と背景を明らかにしていく。(全12話中第8話)
時間:17分04秒
収録日:2017年8月28日
追加日:2017年9月30日
カテゴリー:
≪全文≫

●長い老後を考えるとやはり年金は入った方が得


 「少子高齢化と財政の役割」のシリーズの第8回は、社会保障制度のうちの年金制度についてお話ししたいと思います。

 最初に、皆さんにクイズを出したいと思います。題して、「年金の常識・非常識」です。第1問は「公的年金は損か得か? 高い保険料を払うより、自分で貯蓄して、自助努力した方がよいのではないか?」です。最近、そうした声が聞かれますが、特に若い人たちは、自分たちが払った保険料よりもらう年金給付が少ないといわれています。いかがでしょうか。

 答えは、やはり年金に入った方が得になると思います。今、平均寿命は男性で81歳、女性だと86歳以上です。仮に65歳まで働くとして、その後、少なくとも20年、さらに30年、40年生きるのはごくごく自然なことです。そうすると、若いときに仮に40年働いたとして、ほぼ同じくらいの年数の老後が予想されるわけです。自分が働いたのと同じくらいの年数を、働かずに生活するためには、簡単にいうと若いときに倍くらい働いて貯金しておかなければなりません。しかし、多分それは不可能です。なぜ、年金だとそういうことができるかというと、残念ながら早く亡くなられた人の保険料を長く生きている人に回すことによって、その人たちが生活することができるようになるからです。

 また、保険料だけを見ると確かに払った保険料より給付が少ないように見積もられているのです。年金には税金が投入されているので、それを考えると必ずしも損というわけではありません。もちろん、税金は国民が払うお金が元になるので、単純にはいえないのですが、いずれにせよ長い老後を考えるときに年金保険に入らないと、普通の人は多分老後を維持することはできないと思います。


●助け合い、皆年金、基礎年金をキーワードに年金を考える


 2番目の質問は「年金は世代間の尊い助け合いであり、損得勘定で考えるべきではないのではないか?」です。これも1番と関係する問題ですが、よく厚生労働省は「年金というのは助け合いだ。特に年金のバランスシートをつくって世代間の負担の違いをことさら強調するのは問題だ」という言い方をするわけですが、いかがでしょうか。

 確かに年金制度は助け合いなのですが、だからといって若い人たちの合意を得ずに年金給付をどんどん増やしたり、あるいは制度を変えるといったことは、...

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