少子高齢化と財政の役割
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
日本は「劣化国家」として徐々に沈んでいくのか?
少子高齢化と財政の役割(12)日本財政の今後の展望
田中秀明(明治大学公共政策大学院専任教授)
明治大学公共政策大学院ガバナンス研究科教授・田中秀明氏の連続講義「少子高齢化と財政の役割」。最終回の今回は、「日本財政の今後の展望」である。その指標として、田中氏が用いるのは、プライマリーバランス(PB)と呼ばれる基礎的財政収支。OECD諸国の中で赤字が増えているのは日本だけだという。(全12話中第12話)
時間:14分56秒
収録日:2017年8月28日
追加日:2017年10月4日
カテゴリー:
≪全文≫

●風前の灯火となっている安倍政権の財政再建目標


 これまで11回にわたり、少子高齢化と財政の役割について議論をしてきました。最後に日本財政の今後の展望についてお話をします。

 まず、今の安倍政権の財政再建の目標についてお話ししたいと思います。安倍政権は、2020年に基礎的収支(プライマリーバランス、PB)を均衡させることを目標にしています。残念ながら、この目標はもはや風前の灯という状況です。

 アベノミクスではご承知のように、名目成長率が3パーセント伸びるといっています。仮にその高い成長率を達成し、あるいは消費増税10パーセントを実施したとしても、2020年のオリンピック年に基礎的収支が均衡することは、ほぼ不可能だと予測されています。


●世代間の公平さと財政の持続可能性を表すPB


 そこで、基礎的財政収支について、少しお話をします。基礎的財政収支は、歳入から国債収入を除いたものと、歳出から国債の利払いおよび国債償還費を除いたものの収支を表します。

 「基礎的収支が赤字である」とは、現在われわれが受けているサービス(便益)を税金では賄えていないということです。過去の借金はさておいても、今受けているサービスを(今の世代が)負担せず、将来世代にツケを回している状況なのです。

 世界の先進国の中で、PBが赤字の国はごくわずかです。イタリアやギリシャのように財政危機になった国も、今や基礎的財政収支は黒字になっています。ですから、基礎的財政収支は、世代間の公平さを測る重要な指標なのです。

 もう一つ、基礎的財政収支は、財政の持続可能性を表す指標です。細かい計算は省きますが、基礎的財政収支が均衡している場合、利子率が成長率より高いと、国債残高のGDP比は将来まで永遠に増え、発散していくということです。逆に利子率が成長率より低い場合は、債務残高が年々減少するということなのです。

 われわれ個人や企業も借金をしていますが、どれだけ借金ができるかは稼ぎとの関係で決まります。国家の財政も同じで、借金をゼロにする必要はありませんが、それが稼ぎであるGDPと比べて徐々に減るかということが大事です。


●OECD随一の債務残高超大国日本に痛みがない理由


 ところが、日本の債務残高GDP比を諸外国と比べてみると、ずっと増えている状況です。ギリシャやポルトガルのように財政破綻に陥った国は、確かに債...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法(1)銀行がお金を生む仕組み
信用創造・預金創造とは?社会でお金が流通する仕組み
養田功一郎
こどもと学ぶ戦争と平和(1)私たちに必要な想像力と戦争体験
なぜ戦争が起こるのだろう…大切なのは想像力と生の声
小原雅博
インフレの行方…歴史から将来を予測する(1)インフレの具体像を探る
270年の物価の歴史に学べ…急激な物価上昇期の特徴と教訓
養田功一郎
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
トランプの誤謬…米国製造業を壊した犯人は米国の経営者
島田晴雄
日本の財政政策の効果を評価する(1)「高齢化」による効果の低下
高齢化で財政政策の有効性が低下…財政乗数に与える影響
宮本弘曉
台湾有事を考える(1)中国の核心的利益と太平洋覇権構想
習近平政権の野望とそのカギを握る台湾の地理的条件
島田晴雄

人気の講義ランキングTOP10
高市政権の進むべき道…可能性と課題(3)外交への懸念と経済復活への提言
「強い経済」へ――実現への壁は古い日本と同調圧力!?
島田晴雄
「Fukushima50」の真実…その素顔と誇り(1)なぜ日本人は突入できたのか?
福島第一原発事故…日本の危機と闘った吉田昌郎と現場の人々
門田隆将
インフレの行方…歴史から将来を予測する(4)10年後の物価…5つのシナリオ
5つのシナリオ分析…10年後の日本の物価水準はどうなる?
養田功一郎
編集部ラジオ2026(3)高市政権の行方と「明治維新」
高市政権の今後は「明治維新」の歴史から見えてくる!?
テンミニッツ・アカデミー編集部
戦前、陸軍は歴史をどう動かしたか(1)総力戦時代の到来
日英同盟の廃棄、総力戦…世界秩序の激変に翻弄された日本
中西輝政
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
明治維新から学ぶもの~改革への道(1)五つの歴史観を踏まえて
明治維新…官軍史観、占領軍史観、司馬史観、過誤論の超克
島田晴雄
いま夏目漱石の前期三部作を読む(8)『門』の世界観と日本の近代化
伊藤博文暗殺…日本近代化で本当にいいことがあったのか
與那覇潤
内側から見たアメリカと日本(6)日本企業の敗因は二つのオウンゴール
日本企業が世界のビジネスに乗り遅れた要因はオウンゴール
島田晴雄