少子高齢化と財政の役割
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
00年代に再び財政悪化した先進諸国が行った改革とは
少子高齢化と財政の役割(5)リーマンショック以降の改革
田中秀明(明治大学公共政策大学院専任教授)
明治大学公共政策大学院ガバナンス研究科教授・田中秀明氏の連続講義「少子高齢化と財政の役割」。第5回目では、リーマンショック以降、各国が行った財政改革とその攻防が焦点となる。財政規律遵守のための切り札として、イギリスやドイツはどのような策を取ったのか。日本はそれに学べるのだろうか。(全12話中第5話)
時間:12分42秒
収録日:2017年8月9日
追加日:2017年9月17日
カテゴリー:
≪全文≫

●英・ブレア労働党政権の改革の成功と失敗


 少子高齢化と財政の役割の、第五回の話をしたいと思います。前回、1990年代に財政再建に成功した多くの先進諸国で、2000年代に入ると再び財政が悪化していると申し上げました。特にリーマンショック以降、多くの国の財政が悪化したことを受けて再び、多くの国で財政再建が取り組まれているわけです。今日はイギリス、ドイツといった2000年代に再び悪化した国が、いわば失敗を反省して新たな取り組みを行っている事例について、紹介したいと思います。

 最初に、イギリスの例について、紹介します。新たな改革を説明する前に、90年代後半のブレア労働党政権の改革について、簡単に紹介します。

 労働党政権は90年代後半に誕生しますが、市場は労働党政権を信頼していませんでした。労働党というと、歳出が増えて財政赤字が再び増えるだろうと市場は予測していたのです。これに対して、労働党政権は「いや、それは違う」ということを説明するために財政構造改革を開始します。あるいは予算制度改革として新しい財政ルールを導入し、また透明性を高めるためにいろいろな取り組みを行ったのです。

 その結果、2000年代前半に財政が黒字になりました。しかし、リーマンショックを受けて、再び赤字は膨れ上がります。イギリスの財政政策は、世界でもベストプラクティスといわれてきたのですが、なぜうまくいかなくなってしまったのか。それを考える必要があります。

 財政赤字の直接的な原因は、医療・教育等の分野への歳出増ですが、ブレア労働党政権が新しく導入した仕組みは、経済のいろいろなリスクを十分に緩和するものではありませんでした。簡単にいうと、「成長率」に対して楽観的であったために、景気がいったん悪くなると、財政赤字が膨れ上がってしまったのです。


●英の保守・自由連立政権の取り組み


 そこで、2010年に選挙が行われて、保守・自由連立政権が誕生しました。この政権は、ドラスティックな改革を導入しました。例えば、医療・教育等を除く歳出の25パーセントを削減するという非常に驚くべき改革を行ったのです。また、新しい法律を導入して、新しい財政ルールを導入しました。それから成長戦略、法人税の減税など、矢継ぎ早に改革を行ったわけです。

 この改革を簡単にまとめますと、まずは危機的な状況に対応するための非常に強い政治的な...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
これからの社会・経済の構造変化(1)民主主義と意思決定スピード
フラット化…日本のヒエラルキーや無謬性の原則は遅すぎる
柳川範之
日本人が知らないアメリカ政治のしくみ(1)アメリカの大統領権限
権限の少ないアメリカ大統領は政治をどう動かしているのか
曽根泰教
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
トランプの誤謬…米国製造業を壊した犯人は米国の経営者
島田晴雄
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
ポスト国連と憲法9条・安保(1)国連の構造的問題
核保有する国連常任理事国は、むしろ安心して戦争できる
橋爪大三郎
台湾有事を考える(1)中国の核心的利益と太平洋覇権構想
習近平政権の野望とそのカギを握る台湾の地理的条件
島田晴雄

人気の講義ランキングTOP10
こどもと学ぶ戦争と平和(1)私たちに必要な想像力と戦争体験
なぜ戦争が起こるのだろう…大切なのは想像力と生の声
小原雅博
AI時代と人間の再定義(7)AIと倫理の問題と法整備の可能性
人間のほうがAIに寄ってしまう?…関係性と倫理のあり方
中島隆博
哲学から考える日本の課題~正しさとは何か(1)言葉の正しさとは
「正しい言葉とは何か」とは、古来議論されているテーマ
中島隆博
編集部ラジオ2026(2)「時代の大転換期の選挙」特集を解説!
「大転換期の選挙」の前に見ておきたい名講義を一挙紹介
テンミニッツ・アカデミー編集部
逆境に対峙する哲学(8)白隠の覚悟
宮本武蔵「型を捨てろ」と「守破離」が教えてくれること
津崎良典
おもしろき『法華経』の世界(9)「如来寿量品」と三身論
仏の寿命は無量で久遠に実在する…「如来寿量品」の神秘
鎌田東二
これからの社会・経済の構造変化(4)日本企業の課題と組織改革の壁
日本の場合、トップダウンよりボトムアップで変えるべき?
柳川範之
平和の追求~哲学者たちの構想(7)いかに平和を実現するか
国際機関やEUは、あまり欲張らないほうがいいのでは?
川出良枝
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(5)共存・共生のための理性
共生への道…ジョン・ロールズが説く「合理性と道理性」
齋藤純一
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦