●体と頭を同時に扱う「コグニサイズ」が浸透しつつある
国立長寿医療研究センターは愛知県大府市にあるのですが、大府市では「コグニサイズ」という認知症予防のエクササイズを積極的に取り入れています。
コグニサイズは、足踏みや散歩などをしながら数を数えるのですが、その際に3拍子ごとに手を叩いたり足を上げたりするなど、頭と体を使うエクササイズです。このエクササイズによって、認知症になりにくいというデータが出てきました。検査結果では、1年後に認知機能が改善され、4年後に認知症になりにくくなるというデータが上昇しています。そうしたことから、認知を意味する「コグニ」(コグニション)とエクササイズから採った「サイズ」を合わせた造語である「コグニサイズ」が、愛知県や神奈川県で浸透しつつあります。
この絵を見ても分かるように、コグニサイズでは、ステップをしながら3秒ごとに拍手をしたり手を挙げるといったタスクをどんどん増やしていきます。認知症予防には良い方法であると考えられています。
「コグニウォーク」もあります。お年寄りの方が歩きながらしりとりや掛け算をやってみたり、向かい側からくる車のナンバーを足し算したりするといったものです。これも頭を使いながら運動するものなので、良い方法であるといえます。
この写真は、コグニサイズを行っている実際の現場なのですが、愛知県大府市で行われているものです。週1回90分の運動なのですが、みんなで楽しく運動しながらクイズを出し合って頭を使うというもので、とても良い活動となっています。最近ではお年寄りの方を対象としたジムなどで、運動しながらしりとりのようなゲームをするといった試みも行われています。そういうところに通うのもオススメです。
この写真は、私自身が「コグニバイク」を実際に行っているところです。30分間これを漕ぎながらタッチパネルで検査を行ったり、ゲームをしたりして頭を使います。これも認知症予防のために開発されました。1台105万円です。
実際にこうしたコグニサイズやコグニバイクなどを行うと、1年後に記憶のテストの点数が改善したというデータが出ています。
このグラフは、運動によって脳の萎縮が抑えられるというデータを示したものです。お酒を飲むと脳の萎縮は進んでしまうといわれているので、お酒を飲む人はより多くの運動をすると良いということが分かっています。
●認知症予防に効果があるクルクミンやノビレチン
続いては食事についてです。
福岡県の久山町で行われた九州大学の調査によれば、10年間で大豆、牛乳、野菜、海藻類を取ると、40パーセントほど認知症が減ったというデータが出ています。やはり食事による予防が重要であるといえます。他にも、地中海のオリーブオイルやDHA、イチョウの葉も特定保健用食品など健康食品として認められています。
その他にも、カレーライスに含まれるターメリックの主成分であるクルクミンも認知症予防になるようで、インド人とアメリカ人を比べると、インド人は4分の1ほどしかアルツハイマー病にならなかったというデータもあります。私は実際に、カレーライスを週2回食べることを実践しています。おそらく定期的にクルクミンを取っていると、βアミロイドが溜まりにくくなるのです。実際に動物実験で、ネズミの食事にターメリックを入れると、βアミロイドがたまりにくくなったというデータもあります。
また、沖縄のシークワサーのような柑橘類の皮や実を食べると、長生きしたり、認知機能を維持するという検査結果があり、ほぼ毎日などたくさん食べると認知症発症リスクが14パーセントほど減ったというデータもあります。
こうした柑橘類に含まれるノビレチンは、神経細胞を活性化したり、活性酸素による神経毒性を抑制する効果があります。最近、ある会社と協同でノビレチンを抽出したものを認知症の予防に有効かどうかを調べ、食品としても売り出しています。ノビレチンはどうやら、認知症における記憶の維持や保護に役立つ可能性があるようです。
このように、食べ物による認知症の予防は、これからますます研究が盛んになっていくでしょう。
またこれらに加えて、...