睡眠:体、脳、こころの接点
この講義は登録不要で無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
「理想の睡眠は8時間」に根拠はない
睡眠:体、脳、こころの接点(2)睡眠と覚醒のメカニズム
尾崎紀夫(名古屋大学大学院医学系研究科特任教授/医学博士)
睡眠薬の効果のメカニズムに関わる睡眠のメカニズムはどうなっているのだろう。そもそもわれわれはどのぐらい眠ればいいのか。シリーズ第2話では、睡眠と覚醒のメカニズムにフォーカスして、最新の研究成果を解説する。(全8話中第2話)
時間:5分53秒
収録日:2018年8月24日
追加日:2019年1月18日
カテゴリー:
≪全文≫

●睡眠と覚醒のメカニズムと薬剤


 その後、さまざまな研究により、最近では睡眠系と覚醒系にリズム系というものを加えた三つが、われわれの脳にあることが分かってきました。

 「睡眠系」は、疲れたら休むというもので、「覚醒系」は、危険なときに目をさますというものです。さらにリズム系の「クロック(体内時計)」というものがあり、夜になるとからだが眠るというものです。現在では、睡眠と覚醒のメカニズムとしてこの三つの系が考えられています。

 これらに働く薬が、世の中にはたくさん出てきています。薬ではなくても、まずは、疲れたら休む「睡眠系」をブロックして、起こしてくれるのが、皆さんもお飲みになるだろうカフェインです。一方、「睡眠系」を促進するのは、以前から用いられている一部の睡眠薬や、お酒(後で詳しくお話をします)などです。「GABA」という脳内物質の働きを強めるタイプです。

 それから、「覚醒系」をブロックする薬剤として、花粉症などでは抗アレルギー剤である抗ヒスタミン薬を服用されることがあると思います。この薬を服用すると眠くなるのは、「覚醒系」に働くヒスタミンの働きを低下させるためです。さらに最近、「オレキシン」というものが筑波大学の柳沢正史教授によって発見されました。オレキシンの作用をブロックすれば覚醒がブロックされるため、眠ることになります。

 もう一つ、「リズム系(体内時計)」ですが、これは「メラトニン」という脳内物質が司っています。このリズム系を促進する形で、睡眠に持っていきます。

 このように、われわれの睡眠覚醒のシステムが分かってきたことから、それに対する薬剤も多様に開発されています。


●睡眠時間は年齢や季節とともに変化する


 これは、われわれがどのぐらいの時間眠るかを表したグラフです。小さい頃は長く眠り、10時間以上眠っていることもありますが、睡眠時間は年齢とともにどんどん減っていきます。特に「SWS:Slow Wave Sleep」と書いてある深い睡眠(記憶の整理・定着に非常に重要な睡眠)が減っていきます。これはわれわれとしてはとても残念ですが、致し方ないところでしょう。

 もう一つ。「リズム系」がだんだん悪くなってくるため、ちょっとしたことで夜と昼が逆転したり、夜眠らずに昼間に...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「健康と医療」でまず見るべき講義シリーズ
50代からの親の介護~その課題と準備(1)突然やってくる介護の問題
「親の介護」の問題…優しさだけでは続かない
太田差惠子
睡眠:体、脳、こころの接点(1)睡眠とは?
なぜ睡眠は生きるために必要?脳にある覚醒中枢と睡眠中枢
尾崎紀夫
健診結果から考える健康管理・新5カ条(1)血管をより長く守ることが重要な時代
健康診断の結果が悪い人が絶対にやってはいけないこと
野口緑
オートファジー入門~細胞内のリサイクル~(1)細胞と細胞内の入れ替え
ノーベル賞受賞「オートファジー」とは?その仕組みに迫る
水島昇
知られざる「脳」の仕組み~脳研究の最前線(1)脳科学と「ミクロのマクロの隔たり」
脳が生きている、死んでいるとは?最新研究で迫る脳の秘密
毛内拡
歯科の健康づくり(1)「噛める」ようになると人が変わる
噛み合わせや歯の健康が人間の健康にとっていかに大事か
河原英雄

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(37)長谷川眞理子先生の公開収録!
【アンケート&公開収録】長谷川眞理子先生:男と女でどう違う?能力の高め方
テンミニッツ・アカデミー編集部
ロシア人の見る「ロシアの歴史」(2)タタールのくびきと「第三のローマ」
なぜロシアが「第三のローマ」なのか?…東ローマ帝国とモンゴル帝国の根深い影響を探る
上月豊久
『「甘え」の構造』と現代日本(1)「甘え」のインパクト
「甘え」は現代においてダメなものなのか…名著『「甘え」の構造』への2種類の誤解とは?
與那覇潤
『万葉集』と律令社会~官僚の心得と歌宴(1)国守・大伴家持と地方社会の日常
『万葉集』でわかる奈良時代の貴族と地方豪族の関係と日常…歌人・大伴家持の歌に秘められた国守時代の苦労話
上野誠
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
「満洲」から考える日本とアジア(1)「満洲」を知る意義とは
「満洲史」はなぜ現代日本でタブー視されるのか?…王道楽土の夢とアヘンなどの裏面から見えてくる現代への教訓
宮脇淳子
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
「進化」への誤解…本当は何か?(1)進化の意味と生物学としての歴史
実は生物の「進化」とは「物事が良くなる」ことではない
長谷川眞理子
万葉集の秘密~日本文化と中国文化(1)万葉集の歌と中国の影響
『万葉集』はいかなる歌集か…日本のルーツと中国の影響
上野誠
江戸とローマ~日本酒とワイン(2)ローマの酒文化とファストフード
ポンペイのファストフード店、遺跡が物語るローマの酒文化
本村凌二