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「行動分析学」という心理学の面白いポイントとは

人の行動の「なぜ」を読み解く行動分析学(3)時空間分析

島宗理
法政大学文学部心理学科教授
概要・テキスト
行動分析学という心理学の面白いポイントは、どんな行動でも「ABC分析」など同じ方法論でほとんど全てにアプローチできるところだと島宗理氏は言う。今回、そのことを「時空間分析」によって示しているが、はたしてそれはどのようなものなのか。(全7話中第3話)
時間:09:17
収録日:2019/02/21
追加日:2019/08/29
カテゴリー:
≪全文≫

●心理学は通常、専門分野のテーマのみを扱う


 行動分析学の基本というのは、行動の説明に心の概念を使いません。そして、ABC分析の他にもAB分析というのもあるのですが、今日はABC分析のお話だけをしています。行動と環境の関係性から仮説をつくって、実験をし、検証していくというところは同じです。このシリーズでは「なぜ、部屋が片付けられないのか」についてのお話をしていますが、人間の行動のほとんど全てに同じアプロ―チが用いられています。ここがまた行動分析学という心理学の面白いところでもあります。

 さて、心理学と聞くといろいろな心理学を思い浮かべる方が多いと思います。一般によく知られているのは、カウンセリングのようにしていろいろ心の問題を抱えたときに、それを相談したり治療の支援をしてもらったりといったカウンセラーの仕事が、世の中ではよく知られています。さらに、他にもいろいろな心理学があります。

 現在の心理学は、その研究者が興味を持っているトピックによって分かれています。例えば、子育てについて関心のある人が発達心理学をやってみたり、犯罪に興味のある人が犯罪心理学をやってみたり、それから、青少年の発達に興味のある人が青年心理学をやってみたり、あるいは、もっと脳のメカニズムに興味のある人が、大脳生理について研究したりと、いろいろな分野に分かれているのです。

 さまざまな分野に分かれていて、それぞれの先生がそれぞれの理論をもっていろいろな研究をされています。なので、心理学の学会というのはどちらかというと1つのテーマで1つの学会というように出来上がっています。ですから、例えば先ほど申し上げたような犯罪の心理学の学会に行くと、テーマは全部犯罪の話になります。発達心理学の学会に行くと、赤ちゃんの話だとか子どもの発達の話になり、あるいは、今は「ゆりかごから墓場まで」といわれますから、お年寄りの心理学についてもやることがあります。ですが、心理学ごとにそれぞれのテーマに分かれているために、お互いに同じような学会で話をするようなことがないのです。


●行動分析学はABC分析で多岐にわたるテーマにアプローチする


 ところが、行動分析学の学会の面白いところは、前回お話ししたようなABC分析を、例えば動物の行動と関連付けたりする点にあります。愛犬がほえてほえてしょうがない。どうすれば静かに暮らせる...
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