宗教で読み解く「世界の文明」
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
腐敗という深刻な問題を抱える中国が経験した歴史の教訓
宗教で読み解く「世界の文明」(8)質疑応答編その2
橋爪大三郎(社会学者/東京科学大学名誉教授/大学院大学至善館教授)
腐敗によって特徴づけられるという中国は、今後どのような動きを見せていくのか。重要なのは、すでに中国はアメリカとの戦いを本格化させているということである。講演後の質疑応答編その2。(2019年11月12日開催日本ビジネス協会JBCインタラクティブセミナー講演「宗教で読み解く世界」より、全9話中第8話)
時間:6分47秒
収録日:2019年11月12日
追加日:2020年6月14日
≪全文≫

●コーランに対して聖書はなぜ法律にならなかったのか


―― コーランが法律になっているのに対し、聖書は法律にならなかったというのは、どういうことなのでしょうか。聖書が法律になる流れはなかったのですか

橋爪 まず、旧約聖書は法律です。これはユダヤ教の聖典で、モーセの律法という法律です。それに従っているのがユダヤ教徒で、ユダヤ法に従っています。だから旧約聖書はそのまま読めば、神の命令であり、法律なのです。

 そんななか、イエスが出てきて、こうした細かい法律に従うと、従えない人がいじめられて、差別になるから、ほどほどにしようと言いました。「神さまはそんなことを望んでおられない」という主張です。ですから、割礼などは基本的に全てやめてしまおうと決めました。パウロが、それで良いという論文を書きました。

 いくらユダヤ教を素晴らしいと思っても、ギリシア人のような異教徒は、改宗できません。割礼などのさまざまなルールがあり、敷居が高いためです。しかし、こうした法律をやめてしまったキリスト教の場合、ルールがなにもありません。イエス・キリストを信じて、洗礼を受けるだけです。割礼は痛いものですよね。それに対して洗礼は、水を垂らすだけなので、痛いということはありません。これにより、信者が増えていきました。

 ですから、それまでのユダヤ法は、聖書では律法であると書いてあります。それに対して、イエスは律法などなしにすると言いました。神の命令です。神に言ってもらわないと、律法はなしにはできません。しかし、イエスが律法をなしにしたから、キリスト教は法律ではないのです。


●中国の腐敗という根本問題


―― 中国は、腐敗という、すごく深刻な問題を抱えています。中国は、これからどうなっていくのでしょうか。

橋爪 いろいろありますが、まず民主化・自由化して、ヨーロッパ並みの、あるいは少なくとも日本並みの国になるかどうかが問題となります。アメリカは、中国が1979年に改革開放を始めてから、ずっと関与政策を行ってきました。関与政策とは、マルクス主義・社会主義のやり方ではなく、本人たちがやろうとしている市場経済を肯定的に捉えるものです。最初に経済の自由化を促し、その後に政治的な自由化と民主化を実現させるということを、アメリカは政策プログラムとして想定していたので、経済が発達していけば、だんだん自由...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
「怒り」の仕組みと感情のコントロール(1)「キレる高齢者」の正体
「キレやすい」の正体とは?…ヒトの「怒り」の本質に迫る
川合伸幸
もののあはれと日本の道徳・倫理(1)もののあはれへの共感と倫理
本居宣長が考えた「もののあはれ」と倫理の基礎
板東洋介
イスラム教におけるシーア派とスンニ派の違い
イスラム教スンニ派とシーア派の違いとは?
山内昌之
北欧神話の基本を知る(1)世界でもっとも悲観的な神話
世界滅亡を予言!?人類史上もっとも悲観的な北欧神話とは
鎌田東二
キリスト教とは何か~愛と赦しといのち(1)「イエス」とは一体誰なのか
「イエス・キリスト」という名前の本当の意味は?
竹内修一
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ

人気の講義ランキングTOP10
徳と仏教の人生論(1)経営者の条件と50年間悩み続けた命題
宇宙の理法――松下幸之助からの命題が50年後に解けた理由
田口佳史
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(2)戦争省とチャーリー・カーク暗殺事件
チャーリー・カーク暗殺事件とは?その真相と政権への影響
東秀敏
エンタテインメントビジネスと人的資本経営(6)評価制度設計と「夢」の重要性
なぜ二本立ての評価制度が必要か…多種多様な人材の評価法
水野道訓
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
いま夏目漱石の前期三部作を読む(1)夏目漱石を読み直す意味
メンタルが苦しくなったら?…今、夏目漱石を読み直す意味
與那覇潤
クーデターの条件~台湾を事例に考える(1)クーデターとは何か
台湾でクーデターは起きるのか?想定シナリオとその可能性
上杉勇司
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(2)言葉を理解するプロセスとスキーマ
なぜ子どもは教えられても理解できないのか?鍵はスキーマ
今井むつみ
トランプ・ドクトリンと米国第一主義外交(1)リヤド演説とトランプ・ドクトリン
トランプ・ドクトリンの衝撃――民主主義からの大転換へ
東秀敏
組織心理学~「不満」を生かす(1)不満・相談・予防
職場への不満は6割以上~ポイントは隠蔽、心理的安全性…
山浦一保