宗教で読み解く「世界の文明」
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人民元や中国語の国際化は新しい中国文明を生み出すためか
宗教で読み解く「世界の文明」(9)質疑応答編その3
哲学と生き方
橋爪大三郎(社会学者/東京科学大学名誉教授/大学院大学至善館教授)
中国は2010年代から、人民元や中国語を国際的に根付かせようとしている。こうした動きは、新たな中国文明の展開として理解することができるのか。講演後の質疑応答編その3。(2019年11月12日開催日本ビジネス協会JBCインタラクティブセミナー講演「宗教で読み解く世界」より、全9話中第9話)
時間:6分49秒
収録日:2019年11月12日
追加日:2020年6月21日
≪全文≫

●中国が仕掛ける最近の試みをどのように評価すべきか


―― 中国は、人民元や中国語の国際化をアフリカ諸国などで試みています。こうした動きは新しい中国文明を生み出すという狙いがあるように見えますが、いかがですか。

橋爪 余裕が出てくると、そういうことをしたくなるのです。

 日本も第一次大戦で南洋諸島を統治する際、南洋庁をつくりました。日本に組み込むつもりではなかったかもしれませんが、日本風の教育を施しました。朝鮮半島や台湾でも同化政策を取ったりしていました。

 一帯一路は同化政策ではありません。友だちといえるような同盟関係に近い関係をつくり、中国のファン、あるいは子分をつくることが目的です。国連では、やはり国の数がものを言う側面もあるので、仲間が増えると国力は強くなります。そうした計算で取り組んでいるのでしょう。その原資は豊富な外貨です。こうした動きに巻き込まれて借金漬けになる国でも、他の国がもう少しお手柔らかにお金を貸してくれれば、何も中国にお金を借りたりしません。しかし、現在は世界的な不景気で、そんなことができる国はどこにもありません。だからこそ、中国が出張っているのです。

 ですから、このやり方をやめさせるためには、中国にボディブローを与えて、資金をショートさせてしまえばいいでしょう。そこで現在、アメリカはそれに取りかかっているのではないでしょうか。

―― もともと歴史的に中国は朝貢外交で、要は恵んでやると言いながら、利権を取ってきたのですね。

橋爪 昔からやってきたがゆえに、国際秩序に関しては、自然とそういう発想にならざるを得ないのでしょう。とはいえ、それには原資が必要です。中国が資金の借り換えを維持できなくなったとすれば、他のカネ親が出ていき、代わって払ってあげればいいことになります。そうすれば、その国も喜ぶし、中国も資金が回収できます。


●第三世界の腐敗と中国の腐敗では何が違うのか


―― 講演のなかで、忠孝の原理について中国の腐敗のことを説明されました。東南アジア諸国でも、腐敗がすごくはびこっています。こうした状況は、孝の忠に対する優先だけでは説明しきれないように思いますが、いかがですか。

橋爪 法の支配などという考え方は、非常に特別なものです。放っておけば、みんな腐敗していきます。ですから、第三世界では腐敗はとてもノーマルなもので...

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