宗教で読み解く「世界の文明」
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
ナショナリズムというやり方で出来上がったキリスト教文明
宗教で読み解く「世界の文明」(4)キリスト教
橋爪大三郎(社会学者/東京科学大学名誉教授/大学院大学至善館教授)
キリスト教は、聖書およびGodとJesusの関係によって説明される。聖書は法律ではないため、人々が世俗の法に従うことを許した。その結果、主権国家やナショナリズムの成立を促し、ヨーロッパ・キリスト教文明が確立した。(2019年11月12日開催日本ビジネス協会JBCインタラクティブセミナー講演「宗教で読み解く世界」より、全9話中第4話)
時間:11分16秒
収録日:2019年11月12日
追加日:2020年5月17日
カテゴリー:
≪全文≫

●キリスト教の立場


 キリスト教には、GodとJesusがいます。GodとJesusの関係は、少し複雑なのですが、まずGodが父であり、Jesusが子どもです。しかし、旧約聖書にはGodに子どもがいるとはひと言も書いていません。しょうがないので、新約聖書というものをこしらえて、そこにJesus、つまりナザレのイエスのことを書きました。そして、神の子どもだと書いたのです。旧約聖書と新約聖書の2冊を合わせて聖書だというのが、キリスト教の立場です。

 ですから、なかなかややこしいのですが、イエスが神の子どもだということは、キリスト教にとって証明済みの事実で、済んだことになっています。新約聖書に福音というものがあり、ここには、イエスの言葉があります。それに、みんな従いなさいという教えです。


●社会秩序の維持・安定のため、ローマ帝国とキリスト教が協働


 さて、コーランはイスラム法ですが、新約聖書に書いてあるのは、福音です。福音書は4冊あるのですが、イエスが「みんなを救いますよ」ということが書いてあります。

 それでは新約聖書は、法律なのでしょうか。実は、法律ではありません。それでは、キリスト教徒はどういう法律に従うのでしょうか。これは聖書に書いておらず、決まっていません。決まっていないので、適当な法律に従います。

 福音書の次に、「ローマ人への手紙」というものがあります。パウロが書いたのですが、そこには「さしあたりローマの法律に従いなさい」と書いてあります。なぜなら、ローマ帝国にいるのですから、もしローマの帝国の法律に従わなかったら、反政府運動ということになります。たちまち弾圧されて、ライオンに食べさせられたりして、駄目になってしまいます。ですから、おとなしくローマの法律に従い、ローマ帝国の政府に協力するという態度なのです。これにより、キリスト教徒の人数は増えました。

 おとなしいキリスト教徒が、「社会秩序の維持・安定に協力します」といって出てきたら、ガタガタになりかかっていたローマ帝国にとっては、大変都合が良いのです。そこでキリスト教を公認して、「キリスト教は社会秩序の維持・安定に協力しなさい。その代わり特権をあげるからね」と言いました。こうしてローマ帝国とキリスト教は一緒になり、安定しました。これは3~4世紀の話です。

 さて、これでうまくいったかというと、ローマ帝国は結局、滅ん...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
道徳と多様性~道徳のメカニズム(1)既存の道徳の問題点
多様性の時代に必要な道徳とは…科学的アプローチで考える
鄭雄一
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝
人の行動の「なぜ」を読み解く行動分析学(1)随伴性
「なぜ人は部屋を片付けられないか」を行動分析学で考える
島宗理
世界神話の中の古事記・日本書紀(1)人間の位置づけ
世界神話と日本神話の違いの特徴は「人間の格づけ」にある
鎌田東二
神話の「世界観」~日本と世界(1)踊りと物語
世界の神話の中で異彩を放つ日本神話の世界観
鎌田東二
もののあはれと日本の道徳・倫理(1)もののあはれへの共感と倫理
本居宣長が考えた「もののあはれ」と倫理の基礎
板東洋介

人気の講義ランキングTOP10
「進化」への誤解…本当は何か?(1)進化の意味と生物学としての歴史
実は生物の「進化」とは「物事が良くなる」ことではない
長谷川眞理子
歌舞伎はスゴイ(1)市川團十郎の何がスゴイか(前編)
市川團十郎の歴史…圧倒的才能の初代から六代目までの奮闘
堀口茉純
「次世代地熱発電」の可能性~地熱革命が拓く未来
地熱革命が世界を変える――次世代地熱の可能性に迫る
片瀬裕文
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(序)時代考証が語る『豊臣兄弟!』の魅力
2026年大河ドラマ『豊臣兄弟!』秀吉と秀長の実像に迫る
黒田基樹
過激化した米国~MAGA内戦と民主党の逆襲(1)米国の過激化とそのプロセス
トランプ政権と過激化した米国…MAGA内戦、DSAの台頭
東秀敏
戦略的資本主義と日本~アメリカの復活に学ぶ5つの提言
戦略的資本主義とは?日本再生へアメリカに学ぶ5つの提言
片瀬裕文
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典
戦争とディール~米露外交とロシア・ウクライナ戦争の行方
「武器商人」となったアメリカ…ディール至上主義は失敗!?
東秀敏
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
新しい循環文明への道(1)採掘文明から循環文明へ
2026年頭所感~循環文明の「三つの柱」…いよいよ実現へ
小宮山宏