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西郷隆盛は過去をすべて背負ったからこそ、偉大になった

真のやる気とは何か(9)問題を切り捨てず、受け入れよ

対談 | 執行草舟田村潤
概要・テキスト
企業も人も「良い部分」だけ残して、「悪い部分」を切り捨てるのでは大成しない。あの西郷隆盛もまた、親の借金から逃げずに、生涯をかけて返済しようとしたそうだ。組織が窮地に陥ったとき、逃げずに宿命を背負う覚悟のある人だけが、運命を動かすことができる。 (全14話中第9話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:10:31
収録日:2020/04/10
追加日:2020/08/28
キーワード:
≪全文≫

●サラリーマンは「志」で考えれば「楽」になる


執行 僕なども自分の理念に基づいて、僕の場合は個人だから「志」ですね。自分の志以外のことは、もう一切人生にない。志というものがドーンと立ったら、それ以外のものはありません。

田村 楽になりますよね。

執行 それ以外のものがなくなるのを志というのです。だから、志は立ったけれど、「ああだから志ができない」とかいうのは、志ではない。

田村 平凡なサラリーマンが、だんだんと志が持てるようになったのです。これは「現場」です、「行動」です。これは口で、「志を持て」といっても駄目ですよね。行動するじゃないですか…。

執行 サラリーマンの場合は、会社の「理念」をまず受け入れるところからです。僕は立教出身だから、立教という学校が建った理念を勉強する。でも、立教の校史を読んでも駄目。日本で立教という学校を建てた人間の「魂」と対面しなくては駄目なのです。だから、立教の創設者のウィリアムズという聖公会の主教の伝記を日々読んでいる。それが立教出身の人間の理念になるのです。

田村 「立教の拠って立つもの」「キリンの拠って立つもの」、ここに入れたのですね。

執行 慶應 義塾大学なら福沢諭吉、早稲田大学なら大隈重信になるのでしょう。僕は、こういう人たちは、「昔の人」ではないと思う。何百年経とうが、その学校を建てた人の魂は、その学校に生きています。

 会社も同じですよ。だから、キリンでも同じことなのです。田村さんは割と知らず知らずにやっていますね。

―― 志ということを考えると、先ほど議論が出た「自由」が重要なのでしょうね。

執行 そう、「自由」です。そうなるのです。社員は僕を見て、「すごく自由だ。柔軟だ」といいますよ。

田村 自由があると楽で、これがないと不安なのです。同期より出世が遅れた、偉くないとか、不安におののいて、定年を迎えてしまうのです。でも、「志」があると、あとは自由ですから、「ここに向かえばいいのだ」ということになる。これは、先ほどからいっているように、現場のいろいろなやり取りをしながら、できることなのです。


●親の借金を背負った西郷隆盛


執行 だから、その志は、今までずっと話してきたように、一番汚いものを引き受けた人間が掴んでくる。

 家族でもそうです。各家に欠点もありますよね。その一番の欠点を引き受...
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