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「自己信頼」と「わがまま」の違いをもたらすものは何か?

真のやる気とは何か(2)エマーソンの「自己信頼」に学べ

対談 | 執行草舟田村潤
概要・テキスト
ラルフ・ウォルド・エマーソン
「真のやる気」というものは、簡単そうでいて、実は簡単ではない。そのことを考えるのに参考になるのが、アメリカの詩人で哲学者のラルフ・ウォルド・エマーソンが説く「自己信頼」の考え方である。エマーソンの「自己信頼」は、アメリカ・プロテスタンティズムに立脚したものだが、これは日本の武士道とも濃厚な共通点がある。「下品なやる気」にならないために必要な「歴史を重んじる精神」について取り上げる。 (全14話中第2話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:10:20
収録日:2020/04/10
追加日:2020/07/10
カテゴリー:
≪全文≫

●自己信頼は「アメリカの武士道」


執行 今、田村さんがおっしゃった「おいしいビールを絶対つくるんだ」という決意が、真のやる気なのですが、簡単そうで実は簡単ではないのです。

 思想的にいうと、僕が好きなアメリカのラルフ・ウォルド・エマーソンの言葉で「自己信頼」というものがあります。この「自己信頼」というのは、アメリカの武士道だと、僕は思っています。この自己信頼が「本当」にないと、おいしいビールをつくるための挑戦は絶対にできない。あとからいうのは簡単だけど、仕事は周りを見ながら、損得勘定を含めいろいろなものがあってやっているもので、「絶対においしいものをつくる」というのは、1つの思想なのです。そして、キリンビールの挑戦を聞いて、きれいごとではなく、真のやる気だと思えるのは、あの工場のロマンティシズムを知っているからなのです。

田村 もしかしたら、キリンビールの創業者が武士だというのも関係しているかもしれないですね。津山藩の藩士とか、そのあたりがキリンビールの創業時を担っているのです。

執行 やはりキリンは武士道ですね。

田村 ありがとうございます。

執行 武士道の「やる気」というものは品格があると、僕は思っています。単なるやる気ではなく、武士道の人間的な潔さとか勇気とか、そういうものから生まれた文化が、経済界に対するやる気に変わっていくようなものが真のやる気だと思います。

田村 そうですね。

執行 それを「自己信頼」という1つの思想にまとめているのが、エマーソンという人です。明治の日本人のあいだではエマーソンは非常に流行っていましたし、戦前の日本人で、エマーソンを読んでいない人はほとんどいないくらいなのですが、今はもうほとんどの人が読んでいない。僕は好きでたくさん読んでいますが、エマーソンの自己信頼を通して、本当のやる気というものを知ってほしい。また、キリンビール創業のころの人たちのやる気を理解するためにも読み直すといいと思います。

田村 「利益ではない。最高の原料と最高の設備で、日本一、世界一おいしいビールをつくっていく」それしかいっていないのです。

執行 あとからいうのは簡単だけど、本当の挑戦としてやるのは、とても勇気のいることです。そして、その勇気は、自然に出てくるものではないのです。

 セルフリライアンス(自己信頼)というのは、エマ...
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